稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

小秀山 - 滝めぐり、シャクナゲ祭り、そして御嶽の眺め

小秀山:山登りの記録

 日程:2021. 6. 11(日帰り)

 天候:曇り

 

コースタイム

 乙女渓谷キャンプ場 6:10 → 和合の滝 6:45 - 7:05 → 夫婦滝 7:50 - 8:10

 → カモシカ渡り 9:40 → 兜岩 10:20 - 10:40 → 小秀山 11:35 - 12:30

 → 兜岩  13:15 - 13:25 → 三ノ谷登山口 15:30 → 乙女渓谷キャンプ場 16:00

 登山時間:9時間50分

Introduction:新緑映える渓谷と御嶽山の展望の山

岐阜の下呂温泉の近くに位置する小秀山

その目玉は御嶽山を正面に捉える眺望にあるのだが、楽しめるのはそれだけでない。

スタートとなる乙女渓谷の滝めぐり、山頂に向かうなだらかな稜線歩きで愛でることができるシャクナゲの花。

 

メインの登山路は乙女渓谷を起点とする「二ノ谷ルート」と「三ノ谷ルート」の二つ。

これとは別に長野側の王滝から登る比較的新しいルートがある。

美しい渓谷歩きができ、上部には岩場の急登もある二ノ谷ルートを登りに使うのが一般的となる。

 

ちょうど2000mほどの山ではあるが、標高差は大きく、行動時間も長くてなかなかハード。

しかし、変化に富んだコースは登山の魅力が詰め込まれている。

しっかりとヘトヘトになったが、登り終えて振り返ると、とても楽しい記憶が残っている。

まずは新緑の乙女渓谷で滝めぐり

スタートの乙女渓谷キャンプ場。

駐車場近くの管理棟に行って駐車料金(500円)を払う。

この日は無人だったので、料金はポストに投函。

6:10  乙女渓谷キャンプ場(登山開始)

管理棟横の橋を渡り、二ノ谷に向かって歩き出す。

梅雨に入っていることもあり、青空は望めなさそうではあるが、瑞々しい新緑が気持ちいい。

 

 

早速、二ノ谷の渓流に沿った道となる。

 

 

しっかりとした造りの木橋が続く遊歩道を行く。

水のせせらぎに癒される。

 

 

乙女渓谷はとにかく水がきれい。

小さな滝にもついつい足を止めて写真撮影してしまう。

 

 

欲を言えばもう少し光が欲しいところだが、深い谷の中なので、朝方は難しそう。

 

 

それにしても、すごいところに道を通している。

ここなんて、完全に渓流の中で、足元を水が流れている。

 

 

若葉の色が清々しい。

紅葉の時期に写真撮影だけに来てもいいかも。

 

 

この階段はなかなかハード、というか、やっぱり造りがすごい。

 

 

この滝はねじれ滝と名前がついているようだ。

木々が邪魔をして隠れ気味だが、なかなか個性的な流れ。

 

 

6:45 和合の滝

最初の大きな滝、和合の滝に到着。

いい雰囲気なので、ここで暫しの撮影タイム。

 

 

 

 

淵のグラデーションがすごくきれい。

新緑と清い水音が心地よく、ここだけでも満足しちゃいそうだったが、先に進む。

名のない小さな沢でも、どこも美しいので、ついつい足が止まってしまう。

 

 

和合の滝からはしばらく渓流を離れて、しっかり登るルートに。

 

 

これは…、大きな落石が行く手を阻んでいた。

前方の階段も壊れている。

ここは手すり部分の足場を使って慎重に通過。

 

 

この二ノ谷ルート、小さい落石は他にも数箇所であった。

険しい地形に無理くり木道を通している感もあるので、こういう危険は常に隣り合わせなのかも知れない。

 

7:50 夫婦滝

奥に乙女渓谷最大の滝、夫婦滝が見えて来た。

 

木々の間から覗く夫婦滝。

今までの滝とはスケールが全然違う。(落差は80m)

ちなみにこれは男滝で、夫婦滝というからには女滝があるわけだが、ルート上からは見えない。

途中に展望台への分岐があったけど、近くで見えるからいいや、とスルーしたのは失敗…。

 

夫婦滝からは急登になる。

観光目的のトレッキングなら夫婦滝までかな。

 

 

流れの先がなくなっているが、ここが夫婦滝の落ち口みたい。

滝の上を見ることって初めてかも知れない。

 

 

次々と小さな滝が出てきて、これは子滝

 

 

そして最後の滝、孫滝に到着。

写真の撮り過ぎでコースタイムを大幅にオーバーしているが、ここでもしっかり撮影タイム。

 

 

楽しい滝めぐりは、これでお終い。

カモシカ渡りの岩場を越えて、シャクナゲ満開の稜線へ

孫滝を過ぎると、ここからは山頂から続く尾根まで一気に登り上げる。

まずは巨大な鎧岩は巻くように通過。

 

 

道は険しくなり、木の根っこを掴みながら登る箇所も出てくる。

 

 

そんな中でも、所々にイワカガミがたくさん咲いて、風景が華やぐ。

 

 

9:40 カモシカ渡り

さてさて、小秀山登山の最大の難所といわれているカモシカ渡りまでやって来た。

 

 

一段目は木の根っこで、二段目がこの岩場。

「小秀山 ↑」の看板がなんかシュール(苦笑)。

ほぼ垂直って感じではあるが、登りに使う限り、危険なことはない。

ホールドがしっかりしていて、腕力も使ってクリアしていく。

 

 

カモシカ渡りを過ぎると随所でシャクナゲが見られるように。

 

 

引き続き足元にはイワカガミも。

 

 

下山で使う三の谷ルートと合流してからは、小秀山まで尾根道となる。

眺望はあまりないが、時々開けるところも。

あいにくガスっぽいけど、薄っすらと御嶽山の姿も見ることができた。

 

 

ちょうどガスとの境目ぐらいなんだろうか。

 

 

10:20 兜岩

行く手にひと際、巨大な兜岩が現れる。

 

 

兜岩の上に登る。

居合わせた先行者はもう一歩先まで行っていたが、自分は怖くてここまで。

先まで行けば、完全に下界が見渡せるらしい。

ガスが薄くなって、御嶽山がくっきりと見えて来た。

完全に晴れることはなさそうだが、これはいい兆候だろう。

 

 

中央アルプスの山々もなんとか見えた。

木曽駒のあたりだろうか?

兜岩を過ぎると大きな登りは無くなり、小秀山へラストスパート。

ただ、割とアップダウンはあるので、体力は徐々に削られていく…

 

 

「第二高原」と名前が付いているあたりのシャクナゲがすごかった。

ちょうどベストな時期で、シャクナゲ祭り状態。

 

 

一株一株、少しずつ花の色の濃さが違って個性的。

濃いピンク色の蕾も可愛らしい。

 

 

 

 

 

山頂に建つ避難小屋が見えたが、まだ意外と距離があって心が折れそうになる…。

 

 

細かなアップダウンが疲れた体に堪えて来たが、山頂まではもうひと登り。

 

小秀山の山頂は御嶽山の展望台

11:35 小秀山

最後は黙々と歩き続けて小秀山の山頂に到着。

スタートから5時間半近く掛かっているが、道中で写真を撮り過ぎなので、あてにしないでほしい。

 

 

小秀山は御嶽山の展望台といっても過言でない。

独立峰の裾野が一望できる。

青空が欲しかったけど、梅雨であることを考えれば、これなら十分だろう。

 

御嶽山がしっかり見えていて嬉しい限り。噴煙は少しだけ。

その他の山は残念ながら、中央アルプスが辛うじて見える程度だった。

 

 

ここで昼休憩。

本日のランチはジェノベーゼのパスタ。

バジルを持ってくるの忘れて、見映えはイマイチか…。

フォカッチャもなかなか良く合って、味には満足だけど。

 

 

ちゃんと御嶽山を見られたので、てるてる坊主たちをしっかり褒めておかないと。

 

 

さてと、ここからは長い下山の始まりである。

すでにまずまず足が終わっているんだが…。

 

 

まあ、ゆっくり下ろうと決めて、花を探しながら行く。

オオカメノキ かな?

ミツバオウレン

ゴゼンタチバナ

兜岩まで戻って来た。

行きよりも眺望があるが、かなり疲れているから岩に登る気にはならず…。

 

下山は三ノ谷ルートで。

 

 

あの尖っている山は鶏岩というらしい。

以降、眺望もなく、特段のイベントも発生しない修行の下りとなる。

 

 

三ノ谷ルートは九十九折りを繰り返すので、傾斜は緩やかで歩きやすい。

ただ、植林地の中をとにかく長くのみ…。

 

 

山の神まで降りて来れば、登山口はもうすぐ。

今回も無事帰って来れたことに、感謝のお参り。

15:30 三ノ谷登山口

山頂から3時間掛かって三ノ谷の登山口。

しかし、キャンプ場まであと2kmの林道歩きが残っている現実…。

 

 

相変わらずきれいな渓流で、水の音に疲れた体と心を癒してもらえた。

 

 

16時ちょうどに下山完了。

 

 

新緑の滝めぐり、満開のシャクナゲ、そして御嶽山の眺望。

想像以上のハードなコースではあったが、小秀山の魅力をコンプリートできた感じでお腹いっぱいの山行となった。

乙女渓谷の渓流歩きだけでも楽しめると思うので、ぜひおすすめしたい。

 

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<参考>

・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)

 

・ 付知峡倉屋温泉 おんぽいの湯:下山後の温泉。道の駅に併設。