御池岳 - ゆっくり秋色の時間、錦秋のT字尾根から草紅葉の台地へ

- 御池岳:山登りの記録
- Introduction:静かな紅葉のT字尾根からテーブルランドへ
- T字尾根、柔らかな秋色に包まれたマイナールート
- テーブルランド、草紅葉の映える山上の台地
- 下山、土倉岳からノタノ坂へ
御池岳:山登りの記録
日程:2022. 10. 29(日帰り)
天候:晴れ
コースタイム
小又谷駐車場 7:00 → T字尾根登山口 7:15 → T字尾根中心点 P918 8:30
→ T字尾根 降下点 9:40 → ボタンブチ 10:15 - 御池岳山頂 10:30
→ 東のボタンブチ付近(昼食休憩)11:10 - 12:05 → 土倉岳 12:30
→ ノタノ坂 13:30 → 小又谷駐車場 14:05
登山時間:7時間05分(歩行距離:10.8km)
Introduction:静かな紅葉のT字尾根からテーブルランドへ
紅葉ハイクを楽しみに秋の鈴鹿、御池岳へ。
鈴鹿の山と言えば、御在所岳などが名を連ねる”セブンマウンテン”が有名。
御池岳はそのリストに入っていないのだが、実は鈴鹿山系の最高峰だったりする。
山頂部には「テーブルランド」と呼ばれる広大な台地が広がっており、なかなか個性的な山である。
良く歩かれているのは、鞍掛峠を起点としたルート。
高確率でリスに会えるというコグルミ谷から山頂へ、帰りは鈴北岳を経由する周回コースが人気のようだ。
しかし、今回歩くのは、それ以上に気になっていた「T字尾根」である。
T字尾根は10年くらい前に有名な遭難事故があって、それを知っている人も多いだろう。
なので、イメージはあまり良くないのかも知れない。
当時はバリエーションルート扱いだったが、東近江市が制定した「鈴鹿10座」に選ばれてから整備されたようで、今は道標などがしっかり設置されている。
それでも、マイナーなルートであることには変わりなく、静かに秋山歩きとなった。
T字尾根、柔らかな秋色に包まれたマイナールート
7:00 小又谷駐車場 (登山開始)
スタートは御池林道の君ヶ畑集落を抜けた先にある小又谷。
かなりの山奥ではあるが、大きな駐車スペースとトイレが整備されている。

林道を10分ちょっと進むとT字尾根の登山口。
「飛び出し坊や」が目印になっている。

まずは杉林をガツンと登って行く。

植林地は長くは続かず、早い段階で広葉樹の森となる。
秋の高い空に、ほのかに色付いた木々。
上空ではかなり強い風が吹いていた。

徐々に秋色の密度が高くなって行き、期待が高まる。
紅葉に朝の光が当たって鮮やかだった。

風格のあるブナの木を見上げて。


P878は平らな小広場だった。
T字尾根の名前は、上から見た時に文字通りTの形になっているからで、ここから横棒部分に入る。

このあたりからは最高の紅葉の中を進む。
ルートは比較的平坦で、下草がなく、手入れされた公園のような雰囲気だった。

木々の間から山頂部のテーブルランドが見えた。

秋色で溢れていて、心は軽やか。


8:30 P918(T字尾根中心点 )
スタートから1時間半でP918に到着。
ここが「T字」の交点になる。
広場になっており、明るい光が差し込んで気持ちいい空間だった。

地面を埋め尽くした落ち葉に木々の影が映って、いい雰囲気。
フカフカの感触も好き。

山頂部に向かって伸びる「T字」の縦棒部分に入ると、一旦下り基調に。
こちらも明るい道で、紅葉が映える。

ちょっとした岩場や細尾根になっている箇所もあるが、特段、危ないところはない。

大きく景色が開けるとボタンブチの絶壁が見えた。
風が強くて、雲が速いスピードで流れて行く。
テーブルランドからグラデーションになっている紅葉がいい。



T字尾根のコルから谷底の紅葉を見下ろして。

まだまだ続く秋色の尾根。

テーブルランドまで最後の登り中。
もうひと踏ん張り。

T字尾根の最後には、なかなかの急斜面が待っていた。
足掛かりが少ないので、ふくらはぎに来る登りである。

一気に高度が上がった。
振り返ると鈴鹿の山々が広がっており、近くの目立つ三角の山は天狗堂。

あの先がテーブルランドだ、って雰囲気でわかるので、ちょっと足早になる。
最後はちょっとルートが不明瞭なので、下る場合は注意が必要だろう。

テーブルランド、草紅葉の映える山上の台地
9:40 T字尾根降下点(テーブルランド上陸)
スタートから2時間半で御池岳の山頂台地に到着。
テーブルランドの所以、平らな草原が広がっている。
いやいや、これは素敵な場所だ。

一面に広がる草紅葉を抜けて、ボタンブチ方面に向かう。

広々とした公園のようで気持ち良すぎる。
窪地のドリーネもあわせて、唯一無二の雰囲気を作っているように思う。
御池岳は霧氷も有名で、木々が白く輝く冬にも絶対来てみたくなった。

ここは特に名前は付いていないようだが、T字尾根から見えた岩壁だろう。

見下ろすとT字尾根の形が良く分かる。

森の中を進むと、ひっそりと幸助の池があった。
青空を映し出して静かな空間。

見上げた先は奥の平。
このたおやかな斜面の風景が好きすぎて、ずっとここに居たいぐらい。

10:15 ボタンブチ
テーブルランドから突き出るような岩場、ボタンブチまで来た。
ここまで来ると鞍掛峠方面からの登山者で賑わっていた。
ちなみにT字尾根で会ったのは1組だけ。

ボタンブチから見下ろす紅葉は、美しいの一言。



思いっ切り逆光ではあるが、鈴鹿の山並みを一望できた。

ボタンブチのすぐ隣にある天狗の鼻。
大岩に跨って写真を撮る人たちで賑わっていたので、ここはスルー。

テーブルランドを満喫しちゃったので、山頂は踏まなくてもいいかなと思ったけど、ここまで来たのだから、ちゃんと行っておこう。


10:30 御池岳
ボタンブチから10分ほど軽く登れば御池岳の山頂。
すっかり忘れていたけど、ここが鈴鹿の最高峰だから、しっかり踏んでおいて正解。
ただ、多くの登山者が休憩していたので、ここは写真だけ撮って先に進むことに。

山頂付近は木々に囲まれているが、それを抜けると再び広い草原の丘になる。
このあたりは植生保護?の柵があった。

少し霞んでいるが、北側には伊吹山などの眺望。

小高い丘を登ると奥の平。
こちらまで来る人は少ないようで、とても静かな空間だった。
何もないけど、それもいい。

奥の平からボタンブチ方面の斜面を見下ろして。
この開けた風景、やっぱり好き。

そのままテーブルランドの東側に抜ける。
踏み跡が錯綜している箇所があるが、見通しが利くので安心して歩ける。

一旦、林の中を進み、P1194の小ピークを越えると、また広々とした空間に出る。

テーブルランドの淵に立つ存在感のある一本木。
ここが「東のボタンブチ」かと思ったけど、地図で見るともう少し奥だった。(今回は未踏)

真の谷を挟んで向かい側に藤原岳が良く見える。
鉄塔の立つ頭蛇ヶ平のあたりの紅葉も綺麗そうだ。

時折、強い風が吹き抜けるけど、思っていたような爆風ではなく、秋のテーブルランドを満喫。
流れる雲と一緒に草原に落ちた影も動いて、どこか情緒的な空間に感じる。
快晴の空の風景よりも好きかも。

風を避けられる岩陰でランチタイムとすることに。



気持ちが良すぎて、たっぷり1時間も昼休憩をしてしまった。
藤原岳を横目に見ながら、下山に掛かろう。

下山、土倉岳からノタノ坂へ
12:15 土倉岳・降下点
テーブルランドの南端付近に土倉岳への降下点がある。
ここからノタノ坂を下って、小又谷に戻るルートを行く。

ここでテーブルランドともお別れ。
なんだか名残惜しい気持ちもする。

下山ルートは正面の土倉岳から左側の尾根に付いている。

土倉岳の手前から御池岳を振り返って。
テーブルランドからの降り始めはザレ気味の激下りで、スリップ注意だった。

土倉岳からの尾根も気持ちのいい紅葉の中を進む。


もう少しで植林帯に入ってしまうので、最後の紅葉を楽しもう。

巨大猫耳の下を通る。
強風で送電線がヒューヒュー鳴いていた。


ノタノ坂に向かって植林地をジグザグと下る。

茨川廃村との分岐点のノタノ坂には、真っ赤な紅葉が。

ノタノ坂から小又谷への下りはやや荒れ気味。
滑りやすく、高巻き箇所もあったりして、やや緊張感がルートだが、難しいところはない。

堰堤まで下りて来ると、登山道はお終い。
鉄製の橋は底が抜けている部分があってちょっと危険な匂いがする。
端っこの支柱部分を踏んだ方が良さそう。

廃林道の洗い越しは水量あり。
靴が水没しそうだったので、河原に下りて渡渉した。

テーブルランドから2時間で小又谷の駐車場に帰還。

あとがき
ちょうどいい具合の色付きで、秋色で溢れていたT字尾根。
落ち葉を踏む感覚、音まで楽しめた静かな山歩き。
そして、登り上げたテーブルランドの特別な風景。
草紅葉の広がる草原、その斜面が空との境目が描く緩やかな曲線、その上に流れ行く雲。
そこに流れる時間はゆったりとしていて、いつまでも居たくなるような空間だった。
T字尾根や土倉岳からノタノ坂の下りはバリエーションルートではあるけど、道はほとんど明瞭。
道標などが設置されて道迷いなどの不安はなかった。
とはいえ歩く人は圧倒的に少ないので、それに不安がないなら、ぜひ歩いてみて欲しい。
------
<参考>
・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)
・ 鈴鹿10座:東近江市が市政10年を記念して選定した鈴鹿の10座。
鹿島槍ヶ岳 - ガスからの逆転、過ぎゆく夏空と十五夜の月(Day2)

<1日目の山行日記>
2日目の記録
天候:晴れ 時々 ガス
冷池山荘 4:40 → 布引山 5:40 → 鹿島槍ヶ岳 6:25 - 6:50 → 布引山 7:20
→ 冷池山荘 8:00 - 8:20 → 爺ヶ岳南峰 9:40 - 9:50 → 種池山荘 10:25 - 10:35
→ 駅見峠 12:05 → 柏原新道登山口 13:00 → 扇沢 13:10
登山時間:8時間30分
鹿島槍の山頂へ、十五夜の月が残る朝
4:40 冷池山荘(2日目スタート)
ご来光は途中の布引山あたりで見れればいいかな、で、4時半過ぎにスタート。
9月のこの時期だと、日の出は5時半ぐらい。

歩き始めると、東の空はすでに朝焼け色だった。
そして、眼下には一面、雲海が広がっている。

夜明け前のブルーモーメントの空に浮かび上がる爺ヶ岳。

日は明けたが、十五夜の月がなんとも美しい。

一層、明るさを増した東の空。
うねるような雲海もわずかに朝焼けに染まる。


だいぶ明るくなって来た。
鹿島槍には雲ひとつなく、登頂が楽しみである。

立山の空もほのかにピンク色に染まり始めた。
その中を間もなく沈んで行く月もやはり美しい。

鹿島槍の前衛峰になる布引山に向かう。
ここはしっかりと登ることになる。
このあたりは稜線の西側にルートがついているので、日の出を逃すんじゃないかとヒヤヒヤ。

スタートのタイミングを間違えたかも…
と、ちょっと早足で進むと、鞍部になっているところで、ちょうど朝陽が登って来た。


荒々しい岩峰を包み込むように、剱岳にも朝がやって来た。

布引山に向けて最後の登りになると、南側にも連なる峰々が見えるように。


5:40 布引山
布引山に立つと目の前に鹿島槍が大きくそこにあった。
山肌が朝陽でオレンジ色に染まっている。

爺ヶ岳の向こうに、ほんのり朝焼け色の雲海を見下ろす。

陽の当たる南峰とまだ影になっている北峰のコントラスト。
とても重厚感のある風景を作られている。

わずかな時間でも明るさがどんどん増して行く。

それでは、鹿島槍に向かって最後の登りに掛かろう。

太陽を背に受けて、もちろん小さすぎて見えるはずもないんだけど、あのどこかに自分の影も写っていると思うと、その壮大な山の風景に、どこか心昂るものがある。

南峰に続く最高の稜線を行く。
稜線を挟んで荒々しさと穏やかさが同居する風景。
もっと時間が経つと左側にも陽が回って来て、写真的にはいいんだろうけど。

山頂が大きく近づいて来た。

すっかり青空となった立山連峰を横目に登り続ける。
いつの間には、月は消えていた。

最後の登りはそこそこ急斜面で、さすがに息が上がる。

鹿島槍山頂、全方位の眺望に心躍る
6:25 鹿島槍ヶ岳
そして、鹿島槍ヶ岳・南峰に登頂。
朝の風景を堪能しながらのゆっくりペースだったので、疲れはないけど、達成感はあり。
それではぐるっと眺望を楽しもう。

北側にはこれまで見えていなかった後立山の峰々。
五竜岳にはまだ陽が当たっていないが、大きくどっしりとした山容で存在感がすごい。
いつかは八峰キレットを越えて縦走してみたい。

五竜岳の背後には白馬三山。
白く輝く山が白馬鑓ヶ岳で、その後ろにわずかに見える三角のピークが白馬岳。
杓子岳は白馬鑓に隠れて見えていないのかな?

その右側は高妻山、乙妻山など。

なかなか険しい稜線が繋がる吊尾根の向こうに鹿島槍の北峰。
体力と時間を考えて、今回は行かなかった。

種池山荘から爺ヶ岳、冷池山荘から布引山と今回歩いて来た稜線をすべて見通すことができた。
その背後に広がる北アルプス南部の峰々がものすごいパノラマ。


近場だと針ノ木岳がなかなかの存在感を出していた。
その背後にあるのは水晶岳。

その左には薬師岳も。




いやはや、全方位の素晴らしすぎる眺望だった。
最後に、今回歩いてきた稜線をバックに記念撮影。

爺ヶ岳経由で下山、扇沢までの長い道のり
6:50 下山開始
団体グループが到着して賑やかになったので、そろそろ下山とする。
といっても、冷池山荘からは爺ヶ岳に登り返さないといけないのだが…

歩く自分の影が写り込んだ写真って、なんか好き。

少し下って振り返ると、早くもガスが通り抜けるようになっていた。
いいタイミングでの登頂だった。

進む先にもガスが絡み始めた。
まだ7時、ちょっと早すぎないか…

下山は少し花を撮りながら。



山頂から1時間と少しで冷池山荘まで戻って来て、休憩後、爺ヶ岳を目指す。
冷乗越から見上げると、かなりガスが支配的になっている。
前日に続き、爺ヶ岳とは相性良くないのかな…

それでもガスが晴れるタイミングもあり、そこそこ風景を楽しみながらの登り返し。
真っ白だった前日に比べれば、気分が全然違う。

爺ヶ岳のピークはガスで見えなかったり、晴れて見えたりを繰り返していた。

眼下に見える深い沢は棒小屋沢で、黒部峡谷の十字峡に繋がっている。

爺ヶ岳の中峰。
タイミング的にガスが来てイマイチの眺望だった。
直前まで雷鳥がいたらしいが、隠れてしまって会えなかった。

前日はピークを踏んでいない南峰に、ちゃんと登って帰ることにする。
これが今回の山行で最後の登り。

9:40 爺ヶ岳・南峰
冷池山荘から1時間半で爺ヶ岳・南峰に到着。
もっとヘトヘトになるかもと思っていたが、意外と余力を残して登ることができた。

中峰と北峰を振り返る。
爺ヶ岳も想像以上にいい山だった。
積雪期にも来てみたいな。


爺ヶ岳から種池山荘へ下って行く。

完全にはクリアにならなかったが、ガスの隙間から覗く立山、剱岳を見ながら。

10:25 種池山荘
種池山荘まで戻って来た。
名物のピザを食べている人が多かったが、一人ではさすがに手を出せなかった。
少し休憩して、柏原新道の下山に入る。

山荘前の斜面は、夏の初めには一面の花畑になるらしい。
白く見えるのはチングルマの花穂で、ぜひ咲いている時にも来てみたいものだ。

あとは淡々と扇沢を目指すのみ。
時折ガスが晴れて種池山荘が見え、遠ざかる稜線がなんだか惜しい。

柏原新道はやはり歩きやすく、それほど疲れずに下って行けた。
それでも、駅見岬から見た扇沢のターミナルはまだまだ遥か下で、ちょっとだけ萎える…

柏原新道は下の方が急なので、最後まで気を抜かずに。

さすがに最後は疲れたが、種池山荘から2時間半で下山完了。
駐車場まで5分足らずだけど、この舗装路歩きが地味にシンドイ締め括りだった。

あとがき
快晴だった朝の鹿島槍。
西の立山連峰の空に十五夜の月が沈んで行く中、東側には朝焼け色に染まる雲海。
気持ち良く到達した山頂からのどこまでも見渡せそうな全方位の眺望が心に残る。
なんとなく爺ヶ岳とは相性が良くない気もするけど、これは次に取っておこう。
夏と秋がせめぎ合うアルプス。
今回もまた、たくさんの忘れがたい風景に出会えた山行となった。
鹿島槍ヶ岳 - ガスからの逆転、過ぎゆく夏空と十五夜の月(Day1)

- 鹿島槍ヶ岳:山登りの記録
- Introduction:夏の終わりに、美しい双耳峰を目指す
- 柏原新道、快適な登りで種池山荘へ
- 爺ヶ岳、無念のガスの中を冷池山荘まで
- 逆転の劇的展開、鹿島槍に過ぎゆく夏空、夕焼けも
鹿島槍ヶ岳:山登りの記録
日程:2022. 9. 10 - 11(2日間;小屋泊)
天候:1日目;晴れ のち ガス のち 晴れ,2日目;晴れ 時々 ガス
コースタイム
1日目
扇沢(市営第二駐車場) 5:25 → 柏原新道登山口 5:35 → 駅見峠 6:45
→ 種池山荘 8:35 - 8:50 → 爺ヶ岳南峰 9:35 → 爺ヶ岳中峰 9:55 - 10:00
→ 冷池山荘 11: 10(泊)
登山時間:5時間45分
2日目
冷池山荘 4:40 → 布引山 5:40 → 鹿島槍ヶ岳 6:25 - 6:50 → 布引山 7:20
→ 冷池山荘 8:00 - 8:20 → 爺ヶ岳南峰 9:40 - 9:50 → 種池山荘 10:25 - 10:35
→ 駅見峠 12:05 → 柏原新道登山口 13:00 → 扇沢 13:10
登山時間:8時間30分
(総歩行距離:22.9km)
Introduction:夏の終わりに、美しい双耳峰を目指す
夏の終わりの鹿島槍へ。
この夏はすっきり晴れることが少なく、最後にしっかりアルプスの風景を眺めたいと思い、天気予報と睨めっこ。
もともと金曜に冷池山荘を予約していたが、確実に雨だったのでキャンセル。
土曜になると南には台風があるけど、北日本には高気圧が出現。
高気圧の縁を回って湿気が入って来て不安定ではありそうだが、予報マークはそこそこ晴れが付いたので山行決定。
運よく冷池山荘にキャンセルが出ていて、速攻で再予約した。
鹿島槍ヶ岳は後立山連峰の主稜線に位置し、南峰と北峰を有する双耳峰である。
「槍」の名前が付くように、信濃大町側からは鋭いふたつのピークが良く見える。
一番メジャーな登山ルートは、黒部アルペンルートの起点である扇沢から柏原新道で爺ヶ岳を経由するコースである。
北側は険しい八峰キレットを経て五竜岳に続いており、登る時はぜひ縦走で、と思っていた。
しかし、今回は1泊しか取れないので、おとなしく扇沢からのピストンとなった。
柏原新道、快適な登りで種池山荘へ
午前4時半、扇沢の無料市営第2駐車場。
柏原新道の登山口は少し手前で、そのあたりにも駐車場はあるのだが、すでに埋まっていた。

一旦、扇沢のターミナル駅にトイレに行き(片道10分ぐらい)、準備を整えて出発。
登山口に向かうと針の木岳方面の稜線がモルゲンロートに。
幸先のいいスタートと、この時は思っていたが…

5:35 柏原新道登山口(登山開始)
まずは柏原新道で稜線上の種池山荘を目指す。

柏原新道は整備が完璧で、めちゃくちゃ登りやすいルートだった。
雨上がりで湿気が多いのには参ったが…

ひと登りで眼下に小さく扇沢のターミナルが見えた。
スタートから1時間も経っていないが、稜線はガスに隠れてしまった。

中盤は比較的、傾斜が緩やかな区間もあって、ひと息つくことができた。

快調に柏原新道を登って行くと、木々の間から向かいの稜線が姿を現した。
いつの間にか、ガスの上に出られたようだ。


ガスはどんどん取れて、針ノ木岳から種池山荘に続く通称「針ノ木サーキット」の稜線がはっきりと。
見えているのは岩小屋沢岳のあたりだと思う。

しばらく「水平道」と名前の付いた平坦路を行く。

柏原新道で唯一の危険箇所といえるガラ場を通過する。

種池山荘まで最後の急登「鉄砲坂」。
ここはさすがに息が上がる。

8:35 種池山荘
登山口からちょうど3時間で種池山荘に到着。
あれ? さっきまでの青空はいずこへ…

爺ヶ岳、無念のガスの中を冷池山荘まで
山荘前で小休憩した後、爺ヶ岳に向かう。
晴れていれば、背後に立山連峰の素晴らしい眺望が広がっているはずで、このガスは残念すぎる…

爺ヶ岳は南峰、中峰、北峰の三峰からなる。
まずはガラガラと小さな岩が敷き詰められた道を登って南峰へ。

南峰には巻き道が付いていたので、ピークは華麗にスルー。
このガスでは、登っても得られるものは少ないし…

楽しみにしていた眺望が全然なく、心折れそうに進む。
紅葉の始まったウラシマツツジには、ちょっとだけ救われた思い。

爺ヶ岳最高峰の中峰は、いちおうしっかり踏んでおくことにした。
翌日の下山でも通るが、同じようにガスの可能性もあるし。

9:55 爺ヶ岳・中峰
ということで、視界皆無の爺ヶ岳・中峰に到着。

あとは淡々と冷池山荘を目指す。
北峰には登山道が付いておらず巻いて行く。
冷乗越まではガレ気味の下りで、やや神経を使った。

11:10 冷池山荘
種池山荘から2時間半ほどで本日の宿泊地、冷池山荘に到着。
晴れていれば今日中に鹿島槍へ登頂する予定だったが、このガスでは期待できないので、翌日に賭けることに。

とりあえずお昼にする。
今回のメニューは個人的に流行りのカップヌ-ドルチャーハン。
以前、カレー味でやってみて美味しかったので、今回はトムヤンクン味を試してみた。
辛さと酸味が絶妙で、個人的には大正解だった。


逆転の劇的展開、鹿島槍に過ぎゆく夏空、夕焼けも
やることないので、小屋の談話室で漫画(山と食欲と私)を読んだりでまったり。
14時頃、昼寝でもしようかなと部屋に戻ろうとすると… ガスが晴れて来てるし!

10分ほど上のテン場からは剱岳が見えるとのことなので散歩に。
上空はまだガスっぽいけど、立山、別山、剱岳の峰々がはっきり。
今日はダメかなと思っていたので、この逆転劇は嬉しい誤算すぎる。


テン場からさらに先へ進めば、鹿島槍のビューポイント。
こちらはまだガスが纏わり付いているが、いずれ晴れて来そうな気配がする。

道脇の岩に腰掛けて、のんびり待ってみる。
すると、20分ぐらいしたら一気にガスが消えて行くではないか。
劇的な展開に、ちょっと心が震える感じがする。

ついに露わとなった鹿島槍ヶ岳。
双耳峰の南峰と北峰、その吊尾根に絡むガスが画になる。

そして、ついに完全に姿を現し、目の前に広がる鹿島槍の雄姿。
格好いい、すごい。
そんな簡単な言葉しか出て来ない。

南峰の山頂には登山者の姿も見える。

振り返ると、爺ヶ岳も見えるようになっていた。

麓の信濃大町方面。
躍動する雲だって、飽きることなく、いつまでも眺めていられる。
なんだか、この晴れがいつも以上に嬉しい。

1時間半近く、のんびり風景を眺めて小屋に戻ろうとすると、爺ヶ岳は再びガスの中に。

東側から流れ込んで来るガスにブロッケンが発生。

夕飯前、空が晴れ渡っていたので、ちょっとだけ爺ヶ岳を撮りに。

17時、冷池山荘にて夕食の時間。
量は少しずつだが、豊富なメニューでどれも美味しかった。

夕食後は再びテン場まで登って、夕焼けの風景を眺める。

鹿島槍は完全にクリアとなっているが、東向きなので、もうすっかり暗くなってしまった。

稜線上の雲を抜けて、眩しい夕陽が顔を出す。

背後から流れ込んで来たガスを夕陽が照らす。
あたり一面がオレンジ色に染まって幻想的だった。

剱岳の肩のあたりに夕陽が沈んで行く。

日没後、少しずつ、でも確かに夜に向かうこの時間、この風景が大好き。


静かに時は過ぎて、今日の日の終わり。

あとがき(1日目)
種池山荘から爺ヶ岳、冷池山荘に着いても濃いガスに包まれた午前中。
楽しみにしていた鹿島槍や立山連峰を見ることができず、ちょっと憂鬱になっていた。
そこから夕刻に向かって、ちょっと大袈裟かも知れないが、劇的な展開。
諦めかけていただけに嬉しく、いつも以上に心揺さぶられるような北アルプスの風景。
こういう瞬間があるから、もっと山が好きになってしまう。
明日の鹿島槍登頂では、どんな景色を見せてもらえるだろう。
------
<つづき:2日目の山行日記>
<参考>
・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)