稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

十石山 - 残雪の穂高、乗鞍を眺めたくて、つらい登りの先へ

十石山:山登りの記録

 日程:2021. 4. 3(日帰り)

 天候:晴れ

 

コースタイム

 白骨温泉スーパー林道登山口) 6:45 → 湯沢ノ平 7:50 → 十石山 10:15 - 10:25

 → 十石峠避難小屋 10:30 - 11:45 → 湯沢ノ平 12:40 → 白骨温泉 13:25

 登山時間:6時間40分

Introduction:乗鞍岳の北側にある好展望の一座

あまり意識したことはなかったが、飛騨山脈北アルプス)の南端に位置する乗鞍岳は23ある峰の総称なのだそうだ。

一般的に「乗鞍岳」と認知されているのは、主峰の剣ヶ峰や畳平を中心としたエリアだろう。

 

今回登った十石山は、乗鞍の中でも北側にある峰になる。

それほど知名度はないと思うが、とにかく穂高と乗鞍の眺望が素晴らしすぎる。

4月頭ではまだ雪に埋もれているが、白骨温泉から登山道があり、そのルートを辿る。

樹林帯の急登を黙々と行く

登山口は白骨温泉から上高地乗鞍スーパー林道に入って3個目のヘアピンカーブのところ。

到着時には5台ほどの車があり、思ったよりも人気の山みたい。

ここまで道路に雪はなかった。

6:45 白骨温泉スーパー林道登山口(登山開始)

登山口の看板は、山頂まで5kmの表示。

マイナーな山ではあるが、無雪期はしっかり整備されているようだ。

 

 

歩き始めると数分ですぐに雪が出てきた。

この看板を過ぎたところで左手の尾根に取り付くトレースがあったので、それに乗っかったが、結果的には失敗となる…

 

 

尾根に出たら雪がなく、プチ藪漕ぎに…

残雪の状態にもよると思うが、地図上の夏道ルートと同じ感じで入って行くのが正解だった。

帰りはしっかり雪が繋がっていたので。

 

 

藪を抜けて雪があるところまで来たが、今度はめちゃくちゃ急登が待っていた。

途中でアイゼンを付けて行く。

 

 

7:50 湯沢ノ平

急登を終えて、湯沢ノ平手前の巨木のある広場で小休憩。

藪漕ぎから早く脱出したい気持ちでペースが乱れたせいか、まだ序盤なのにかなりの疲労感。

これが最後まで尾を引くことになる…

 

 

湯沢ノ平のあたりは、トレースはあったけど不明瞭だった。

横に広い地形なので、どこを歩いても大丈夫とは思う。

あまり踏まれていないトレースに乗ってしまい、時々踏み抜いて、ここでも体力を消耗…

夏道ルート上でレトロな道標を発見。

再び急登が始まる。

ずっと樹林帯の中で、イベントらしいことはなく淡々と登って行く。

気温が高く、メリノウールの長袖Tシャツ一枚だったが、それでも大汗かきまくり。

 

 

木々の間から霞沢岳が見えた。

かなりシンドイ登りなので、これだけでも少し気持ちが晴れる。

 

 

さらに登ると乗鞍岳も。

剣ヶ峰はまだ真っ白だ。

登りの傾斜がやや緩くなると、森は明るい感じになって雰囲気が変わる。

 

 

登る視線の先に真っ白な雪原が見えて来た。

あのあたりが山頂の稜線なのだろうか? 意外に近くて心が軽くなる。

実際にはまだまだ辛い登りが待っていたが…

 

広い景色の待つ山頂に向けて、もうひと頑張りの時間

右手には格好いい吊尾根を配する穂高が登場。

これには気持ちが高鳴る。

 

 

ただ、そう思えたのも束の間。

木々が少なくなって陽当たりが良いせいか、踏み抜きが多くなって、また体力消耗…

 

 

近そうで、でも、なかなか近づかない山頂部を仰ぐ。

 

 

いつしか樹林帯を突破して、だだっ広い雪の斜面を登って行く。

かなりの傾斜ではあるが、穂高を横目にゆっくり一歩一歩。

 

 

頭上には気持ちのいい青空。

でも、登りは相変わらず厳しい。

 

 

左手には乗鞍岳の全貌が姿を現した。

 

 

傾斜が緩やかになって、山頂は目前。

でも、この先、雪は無くなっていて、最後にハイマツの藪漕ぎが待っていた…

もう嫌になっちゃって写真はない(苦笑)

少し遠回りになるが、避難小屋の方から迂回すれば楽だった。

そして、手にした北アルプスの大展望

そんな感じで山頂部に到達すると、それまでの苦労が完全に報われる眺望が待っていた。

穂高から笠ヶ岳北アルプスの大パノラマである。

やっぱり穂高が格好良すぎる。

あまり目立たないけど、西穂の背後に槍ヶ岳も。

 

笠ヶ岳

前穂高岳奥穂高岳西穂高岳

10:15 十石山

山頂の看板が見つからず、地図上の三角点周辺をウロウロ。

しばらく探して発見できた。

 

 

山頂看板のところからは乗鞍の中心部が大迫力でそこにあった。

 

 

剣ヶ峰をアップで。

位ヶ原にもまだしっかり雪がある。

3月に雪崩事故もあったが、今日は賑わっているだろうか?

 

 

これは四ッ岳かな?

十石山から稜線を辿って畳平まで行けるみたいだが、荒廃していて難路らしい。

 

 

遠方は霞んでしまって、あまりよく見えなかった。

雲の上に稜線を出している中央アルプス(恐らく)が辛うじて。

 

 

避難小屋の方へ移動しつつ、もう一度、穂高の眺望を楽しむ。

笠ヶ岳の手前にあるのは焼岳

焼岳がそんなに存在感を示さない穂高のスケールの大きさ。

 

 

槍の穂先は雪が付いていない。

 

 

何度見ても惚れ惚れとしてしまう穂高の風景。

岳沢から登った前穂高、吊尾根、奥穂高の縦走が思い出される。

 

 

十石峠避難小屋は、なかなかしっかりとした造りだった。

中も快適なそうなので、紅葉の時期とかに泊りに来たいかも。

 

 

小屋の裏手の丘に上がると、ここも素晴らしい展望地になっている。

 

 

遮るもののない穂高笠ヶ岳の眺望。

同じような写真ばかりで申し訳ないが、この感動を伝えたくて。

 

 

ここでランチとすることにした。

この景色を眺めながらのお昼は贅沢な時間。

 

 

今回のメニューはキムチ餃子鍋。

そろそろ鍋のシーズンも終わりかな。

 

 

4月で異動になった会社の後輩山友が贈ってくれた「ヤマノモリ」という安全登山のお守り。

写真のような感じに、靴紐に付けるシューズプレート。

導きの神である八咫烏(ヤタガラス)のデザインが刻印されていていい感じ。

いつかまた一緒に山へ登ろう!

 

 

食後のデザートは最近はまっている鎌倉小川軒の「レーズンウィッチ」。

サクサクのサブレとラムレーズンの入ったバタークリームのバランスが絶妙。

 

 

風もほとんどなく、温かな陽気が気持ち良くて、1時間以上ゆっくりしてしまった。

午後になって雲が出てきて、笠ヶ岳も隠れちゃったし、そろそろ下山しよう。

 

 

時々ズボっとはまる。

でも、適度に雪が柔らかいので、お構いなしに重力の勢いに任せて、ガンガン下って行く。

 

 

 

湯沢ノ平の広場で小休憩。

最後までいい天気だった。

 

 

帰りは早かった。

快調に下って、1時間半と少しで下山完了。

 

 

十石山は「山頂からの眺望が素晴らしい」の一言に尽きる山だった。

残雪期だと緩んだ雪の急登で兎にも角にもつらいのだが、遮るもののない穂高や乗鞍を眺めれば、それまでの苦労が吹き飛び、報われたって感じなれる。

今度は避難小屋泊を前提で、夕焼けや星空を見に来たいな。

 

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<参考>

・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)

 

・ ヤマノモリ:山友からもらった安全登山のお守りアクセサリー