- 権現岳:山登りの記録
- Introduction:八ヶ岳最南端、好展望の鋭鋒へ
- 観音平から編笠山へ、風の唸る山頂からの眺望
- 青年小屋から権現岳へ、険しく楽しい岩場登り
- 三ッ頭を経由して下山、最後はカラマツの若葉
権現岳:山登りの記録
日程:2022. 5. 28(日帰り)
天候:曇り のち 晴れ
コースタイム
観音平 5:35 → 雲海 6:25 → 押手川 7:00 → 編笠山 8:10 - 8:35
→ 青年小屋 9:05 - 9:15 → 東ギボシ 10:35 → 権現岳 10:55 - 11:05
→ 三ッ頭 12:00 - 13:00 → 八ヶ岳横断歩道分岐 15:25 → 観音平 16:00
登山時間:10時間25分(歩行距離:11.7km)
Introduction:八ヶ岳最南端、好展望の鋭鋒へ
5月末、そろそろ夏山を意識してしっかり歩きたい季節。
残雪の心配がなくて、それなりの高山… で選んだのが、八ヶ岳の権現岳である。
八ヶ岳は北部が穏やかな山容、南部が険しい峰々の連なりになっている。
山頂付近には適度な岩場となっており、いいトレーニングになりそう。
そして、八ヶ岳の端っこということで、大きく景色が開けている。
赤岳や阿弥陀岳など南八ツの中心部だけでなく、南アルプスも一望できる好立地なのである。
この眺望も今回の山行の大きな楽しみである。
編笠山から一旦、青年小屋に下り、そこから岩場も登場する急登で権現岳に向かう。
下山は三ッ頭から八ヶ岳横断歩道に出て、観音平に戻る周回コースである。
観音平から編笠山へ、風の唸る山頂からの眺望
5時半前、観音平の駐車場に到着すると、メインスペースがまさに一杯になったところだった。
林道を進んだ奥にもうひとつ駐車場があって、僕らはそちらに車を停めた。
ちなみに、下山時にはかなり下の方まで路上駐車が続いていた。
5:35 観音平(登山開始)
6月間近の5時半はすっかり明るい。
その中、最初の目的地である編笠山を目指してスタートを切る。
しばらくはゆるゆると林の中を登って行く。
歩き始めて50分ほどで「雲海」と名前の付いたポイントに到着。
地名としては珍しいが、雲海が良く発生するのだろうか?
ここからは富士山が綺麗に見えた。
雲海からしばらくすると岩のゴロゴロとした道に変わり、傾斜も増して行く。
7:00 押手川
押手川では、編笠山をショートカットする青年小屋へのトラバース路が分岐する。
体力や時間に不安がある場合は、編笠山を省く選択肢もあるだろうが、それはあまりにも勿体ない。
押手川を過ぎると、コメツガやシラビソの森が鬱蒼と広がって来る。
林床には苔が蔓延って、いかにも八ヶ岳って感じがする。
まずまずの急登を黙々と登って行くと、一瞬だけ視界が開けて南アルプスが見えた。
稜線には少し雲が掛かっているが、いい眺めだ。
編笠山の山頂が近づくにつれて、斜度はどんどん厳しくなって行く。
山頂直下でやっと樹林帯を抜ける。
逆光気味ではあるが、富士山と甲府盆地を一望できた。
南アルプスも合わせて、なかなか贅沢な眺めである。
編笠山の上空は雲が覆っているようで、頭の上では風が鳴いている。
傾斜が緩くなって山頂は目前となる。
時折、ガスが割れて青空も見えるが、強い風で一瞬のうちに通り過ぎて行ってしまう。
8:10 編笠山
そして、スタートから2時間半で編笠山に到着。
山頂は岩で敷き詰められている。
晴れていれば八ヶ岳の峰々を一望できるはずだが…、赤岳や阿弥陀岳の上部はガスの中だった。
ちなみに、編笠山には積雪期に一度、登っている。
その時は、それは素晴らしい「八ヶ岳ブルー」で、白銀の峰々を楽しめたのだが…
南アルプス側は稜線のガスが相変わらず纏わり付いて取れないが、良く晴れている。
このパノラマ感はなかなかのもの。
そして、富士山にはどうしても目が行ってしまう。
北側は雲が多め、というか、八ヶ岳が雲を作っている感じだった。
そして、爆風が吹き荒れている。
薄っすら北アルプスの山並みが見えているようだが、判然としない。
休憩しているうちに、南アルプスのガスが減って来てくれたようだ。
青年小屋から権現岳へ、険しく楽しい岩場登り
編笠山の山頂は爆風でゆっくり休憩という感じではなかったが、25分ほど滞在して先へ進む。
眼下に見える青年小屋に一旦、下る。
下って来た編笠山を振り返って。
青年小屋の近くは岩がゴロゴロとした斜面になっている。
9:05 青年小屋
「遠い飲み屋」の赤提灯がぶら下がる青年小屋。
中には入らなかったが、ボトルキープまで出来るらしい。(いつか飲みに来ようかな)
そして、小屋前には「ラブランコ」があって、青年小屋は色々と話題が多い。
青年小屋から権現岳に向かう。
少し登って振り返ると、均等が取れた形の編笠山の姿がいい感じ。
すぐにちょっとした岩場が出て来るが、ここはガンガン登って行く。
それにしても、空が青いと気持ちいい。
遠方の視界もかなり良くなって来た。
諏訪の街の向こうには乗鞍岳が見える。
青年小屋から30分ほど登ると「のろし場」という開けたピークに出る。
西ギボシへの登りは、ややザレ気味だった。
すっかり岩場中心になって、ここからがこのルートの核心部である。
足場はしっかりしているので、岩場としてはかなり歩きやすい部類。
危険を感じるような箇所はなかった。
行く先に荒々しい東ギボシの山肌。
その奥には阿弥陀岳と赤岳が見える。
ここが西ギボシのピークかな?
南アルプスを一望する、堪らない開放感。
そういえば、編笠山ではあれだけの爆風だったのに、いつの間にかほとんど止んでいた。
急峻な東ギボシ。
対して、穏やかな権現岳のピーク。
これだけ見ると、今回の山行はギボシの方が主役なのかと思えてしまう。
それにしてもすごい迫力だ。
ルートは右側の中腹をトラバース気味に登って行く。
権現岳の岩に登る登山者のシルエット。
東ギボシをトラバース中。
足場は平らにならされているので、難しい局面はない。
数ヶ所で鎖場が出て来るが、どこもホールドがしっかりしているので、鎖を使わなくても行けると思う。
東ギボシのピークへは登山道を少し外れる感じで、左手の岩場を登って行く。
10:30 東ギボシ
数人が立てば埋まってしまうような狭いピークからはこの眺望。
その奥には横岳、硫黄岳も続いている。
一番目立つのは、やはり赤岳。
格好良すぎる。
いつか赤岳からキレットを越えて権現岳に縦走したいと思っていたが…
赤岳直下の斜面の険しさを見て、無理かも、と思い始めている…
北アルプスも穂高、槍ヶ岳あたりはしっかり見えるようになった。
涸沢のカールにはまだ雪がたっぷりある。
御嶽山も見えるようになっていた。
もう何度撮ったかわからない南アルプスの眺望。
たっぷり景色を楽しんだので、権現岳の本峰に向かう。
ちなみに、眼下に見える権現小屋はコロナ禍以降、休業になっているので注意。
権現岳のピークへは小屋からほぼ水平移動。
10:55 権現岳
そして、観音平のスタートから5時間で権現岳に登頂となった。
岩の間に鉄剣が刺さっているのが格好いい。
山頂からの眺望は、ギボシで十分満足しちゃったので、少しだけ。
東側、白く見えるのは野辺山のレタス畑だろうか。
南側の下山方向に三ッ頭のピーク。
富士山にはたいぶ雲が掛かってしまった。
三ッ頭を経由して下山、最後はカラマツの若葉
権現岳のピークは広くないので、昼食は三ッ頭で取ることにして、早々に下り始める。
山頂直下は鎖で急な岩場を降りて行く。
南側から見る権現岳は、また違った表情。
岩壁がそそり立っていて、迫力がある。
12:00 三ッ頭
鞍部から50mほどの登り返すと三ッ頭である。
「刀利大権現」の古そうな石碑があり、権現岳は信仰の山なんだとわかる。
本日のメニューは、ビーフンのグリーンカレー掛け(ミニトマトたっぷり目)。
カレーはいなばの缶詰でお手軽料理。
カレーの辛さ(予想以上に辛かったけど)とトマトの酸味が相性抜群だった。
山友はソーセージとベーコンをキャベツと一緒に豪快に焼く!
シンプルに美味すぎた。
デザートはわらび餅。
きな粉は半分ぐらい風に飛んで行ったような…。
冷え冷えで(体感よりも気温が低かったのかな?)これも美味。
いつもながら食べ過ぎ。
ランチ後、再出発して、すぐに三ッ頭の三角点ピーク。
赤岳、阿弥陀岳の景色はここで見納め。
天女山方面の道と分かれ、観音平に向けて尾根道を下る。
今回の山行では、花はまだほとんど咲いていなかったが、ヒメイチゲを発見。
権現岳がどんどん遠くなって行き、少し名残惜しい気分。
しばらく下ると樹林帯に入って、カラマツの新緑が気持ちいい下山路となる。
ヘリポート跡にあったベンチ。
ちょっと疲れて来たので、ここで昼寝しちゃいたい…
キバナスミレはたくさん咲いていた。
急なところがほとんどなく、下りやすい道が続く。
八ヶ岳横断歩道に出て、あとは観音平まで水平移動… ではなく、そこそこのアップダウンがある。
最後はしっかり登り返しがあって、観音平にゴール。
あとがき
今回の編笠山と権現岳の周回、かなり歩きごたえのあるコースだった。
八ヶ岳らしい深い森から始まり、ギボシ、権現岳への岩場登り、下山でのカラマツ新緑。
変化に富んでいて、飽きることはなかった。
八ヶ岳や南アルプスの眺望も抜群で、赤岳、阿弥陀岳の峰々を間近に感じることができた。
編笠山の爆風からの天候回復も幸運だったし、また山行のいい思い出がひとつ増えたかな。
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<参考>
・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)
・ 青年小屋:ご存じ「遠い飲み屋」。いつかは泊まってみたい。