稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

金峰山 - 夏山はじめ、神々しい五丈石と夏の雲

金峰山:山登りの記録

 日程:2012. 8. 4(日帰り)

 天候:晴れ 時々 曇り

 

コースタイム

 瑞牆山荘 7:25 → 富士見平小屋 8:00 → 大日岩 9:25 → 砂払いノ頭 10:15

 → 金峰山 11:25 - 12:20 → 金峰山小屋 12:35 - 12:45 → 大日岩 14:15

 →  富士見平小屋 15:30 → 瑞牆山荘 16:15

 登山時間:8時間50分

Introduction:五丈石を目指す山行

梅雨明けて、8月。

ちょっと出遅れたけど、山登りをはじめて最初の夏山シーズン。

会社の仲間と「ちょっとレベル上げたいね」って感じで決まったのが金峰山だった。

 

金峰山は大弛峠からのルートが比較的平坦で、距離も長くないのでメジャーのようだ。

それだと、ちょっと物足りなさそうだし、眺めのいい稜線歩きに惹かれて、瑞牆山荘からのルートを選択した。

 

千代ノ吹上といわれるあたりでは断崖の岩稜風景を見ることができる。

そして、その先の山頂には、金峰山のシンボルともいえる巨石「五丈石」が鎮座する。

夏山らしい山岳風景の魅力が詰まった金峰山登山のはじまり。

まずは岩稜の稜線を目指してひたすら登る

7:25 瑞牆山荘(登山開始)

その名前の通り、金峰山ともうひとつの百名山でもある瑞牆山への登山口にもなっている瑞牆山荘。

多くの登山者で賑わっていたが、駐車場は広く、半分ぐらいの入り。

登山口は気持ちのいい雑木林から始まる。

 

 

序盤から結構、急な斜面を登って行く。

まだ温まり切っていない体には堪える…。

木々の間から瑞牆山を望めるポイントがあった。

 


30分ちょっと喘いで、富士見平小屋に到着となる。

 


少し休んでリスタートしたら、調子が上がってきた。

富士見平小屋からは苔むしたシラビソの樹林帯。

雰囲気のいい登山道である。

 


途中、一瞬だけ南アルプス方面の展望が開けた。

正面に甲斐駒ヶ岳が構える。

 

 

順調に高度を上げて行く。

大日岩の下のあたりからも、なかなかの眺めだった。

ただ、麓には早くも雲が出てきている。

稜線に着くまで、天気が持ってくれるか?

 


大日岩は結構な迫力だった。

登ることもできるようだが、ここは眺めるだけにしておく。

 


大日岩からは、なかなかの急登が続く。

このあたりは石がゴロゴロでちょっと歩きづらい。

金峰山のハイライト、五丈石に向かって

10:15 砂払いノ頭

スタートから3時間弱掛かって、砂払いノ頭へ到着。

すでに1000m近くを登って来たが、幸い疲れはあまり感じない。

ここで森林限界を越えて、いよいよ稜線歩きのスタート。

しかし、時遅く、やっぱりガスに覆われてしまっていた…

 

…と思ったら、ガスの流れが速く、一気に視界が晴れて下界が見えた。

南アルプスは雲に隠れてしまったけど、もしかしたらずっとガスの中かもと思っていたので嬉しい。

 


山頂付近には雲が掛かっていたが、瑞牆山を見下ろすことができた。

 

 

八ヶ岳も雲が優勢。

雲が切れてほんの少しだけ見えた瞬間にシャッターを切った。

 


そして、稜線の先に金峰山のシンボル、目指す五丈石を確認。

ガスの流れる気持ちのいい稜線を進んでいく。

右側(山梨側)は深く切れ落ちているが、怖さはない。

千代ノ吹上。切り立った岩稜が格好いい。

少しずつ、だけど、なかなか近づかない五丈岩を見つめながら、一歩一歩、焦らずゆっくりと。

 


北側は廻り目平の岩場が見える。

あのあたりはロッククライミングの聖地らしい。

 


五丈石はもう目前である。

ネットやガイド本の写真で思い描いていたものよりも、ずっと大きいことに気づく。

タイミング悪く、ガスが優勢になって来てしまった。

五丈石のある山頂は特別な雰囲気

11:25 金峰山・山頂

そして、金峰山の山頂に到着。

ちょうど4時間での登頂で、程よい疲労と確かな達成感である。

 

広くて平らな山頂に大きな岩の塊がある風景。

とにかく、五丈石の存在感がすごい。

この景色がどういう風に出来あがったのか、まったく想像が付かない。

 


山頂は五丈岩からちょっと離れたところにあって、いちおうタッチしておいた。

山頂は結構な賑わい。

登ってくる途中はあまり人に会わなかったけど、やっぱり大弛峠から登ってくる人が多いようだ。

廻り目平からの人も、そこそこいる感じだった。

 

山頂に点在する岩に腰掛けて、五丈石を見上げながらお昼にしていると…

着いてからずっとガスで覆われていた空が、不意に晴れてきて、五丈石の背景は夏雲に。

岩に登頂した人たちのシルエットで、五丈石の大きさがわかるだろう。

たくさんの人が五丈岩にアタックしていた。

自分には、とてもじゃないけど無理だな。

 

花は少ないけど、小さな花が咲いていた。

おそらくタカネニガナ。

 


こちらは、トウヤクリンドウ。

 


下山は金峰山小屋(トイレを借りる)経由で、砂払いノ頭の稜線を戻る。

 

 

これで五丈石とお別れ。

富士山や南アルプスの展望は叶わなかったけど、楽しい稜線歩きだった。

 


どんどん下って、富士見平付近に咲いてたマルバダケブキと蝶。

 


最後は足に来ていたので、富士見平小屋から林道経由で。

小屋で「林道の方が楽」と聞こえたのでそっちに行ったけど、距離は結構長いので微妙…

 

 

思えば、山登りをはじめる前にイメージしていた“登山”って、こういう感じだったかも。

今までに登ってきた山だって、色んな心が動かされる風景に出会ってきたし、めちゃくちゃ疲れたし。

 

でも、この金峰山で感じたことは、単純に「山を歩くのって楽しいな」ってこと。

下界を見下ろしながら、一点を目指して稜線を越えていく。

そこで風を感じる。

山そのものを感じる。

 

次はどんな山で、どんなことを感じることができるだろうか?

 

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<参考>

・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)

 

金峰山小屋:冬季も営業。今度は雪の五丈石も見に来てみたい。