稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

三ノ沢岳 - 中央アルプスのポツンとピークは花の楽園

 

日程 : 2019.7.26(金) 日帰り
ルート: 千畳敷 → 極楽平 → 三ノ沢岳(ピストン)
天候 : ガス 時々 晴れ


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有休を取って計画していた夏山第一弾の縦走山行の週末、まさかの台風発生に見舞われる…。
北アルプス笠ヶ岳を予定していたが、さすがに無理はできない。
初日はまだ影響なさそうなので、仕方なく日帰り登山に変更である。
ちょっと悩んだが、前から気になっていた三ノ沢岳へ行くことにした。

三ノ沢岳ってどこ? という知名度かも知れないが、その山は木曽駒ヶ岳の隣にある。
木曽駒は残雪期と紅葉の時期に登っているが、いずれの時も目が引き付けられたピラミダルな山容。
中央アルプスの主稜線からは外れてポツンとあり、三ノ沢岳から先はルートがない。
そのためピストンしか選択肢がなく、それほど人気はないのが実情のようだ。
しかし、おかげで静かな山行が楽しめそうで、僕としては好都合かなと。

時間が許せば、下山でまだ未踏の宝剣岳もセットで回って来る計画を立てた。

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アプローチは木曽駒と同じくロープウェイで千畳敷へ。
平日にもかかわらず、木曽駒ロープウェイへの乗換え口である菅の台はなかなかの混雑。
バスの始発前から登山者の列ができていた。
バスはダイヤに関係なく順次、出発し、4台目ぐらいの便に乗ることができた。

190726 三ノ沢岳 (1)

ロープウェイは順次運行で、15分ぐらいの待ち時間で乗車。

190726 三ノ沢岳 (2)

ゴンゴラの中は満員電車状態で、あたりの風景はほとんど楽しめず。
外はこんな景色らしい。

190726 三ノ沢岳 (3)

7時半、労せずに2611mの千畳敷駅に到着。
夏は初めての千畳敷カール。
楽々とこの山岳風景を見ることができるのは、やはりちょっと反則的に思えてしまう。
天気はばっちり、と言いたいのだけど、この後のネタバレをしてしまえば、しっかりと晴れていたのはこの時まで…。

190726 三ノ沢岳 (4)

7:35 千畳敷(登山開始)
準備を整えたら、神社に参拝して安全登山を祈り、いざ出発。

190726 三ノ沢岳 (5)

ほとんどの登山者が八丁坂で乗越浄土を目指して行くが、我々は向かうのはこっち。

190726 三ノ沢岳 (6)

人の少ない極楽平方面だが、登山道は階段状にしっかり整備されていた。
歩き始めてすぐにたくさんの花たちが出迎えてくれる。
※ 今回はあまり眺望が得られなかったので、花レポが中心となることを宣言しておく。

190726 三ノ沢岳 (8)

早速、大好きなチングルマ

190726 三ノ沢岳 (7)

シナノキンバイ

190726 三ノ沢岳 (9)

スタートしてすぐなのに、さっきの青空は…?状態に。
すぐ近くのサギダルの頭もガスに消えそうだ。

190726 三ノ沢岳 (10)

30分ちょっと登ると極楽平に到着し、ここで中央アルプスの稜線に乗っかる。
この稜線からの風景を楽しみにしていたけど、悲しいかな、完全に真っ白だった…。

190726 三ノ沢岳 (11)

ガスガスの中、宝剣岳方面に進む。

190726 三ノ沢岳 (12)

三ノ沢分岐で宝剣岳に続く中央アルプスの主稜線と別れてピストンルートへ。
三ノ沢岳へのスタートはがっつり下りとなる。
ちなみに、三ノ沢岳の標高はこの分岐よりも低いという事実に混乱してはいけない(苦笑)

190726 三ノ沢岳 (13)

道脇にはまだシャクナゲが咲いていた。

190726 三ノ沢岳 (14)

非情にも雨が降り出してしまった。
結構、濡れる感じだったのでレインコートを着たが、すぐに雨は止んで、また着替え。
今回はなかなか忙しい山行となった。

190726 三ノ沢岳 (15)

ガスが抜けてきて、伊奈川源流の沢が見えた。

190726 三ノ沢岳 (16)

ガスが絡む三ノ沢岳に向かう稜線。
一部でややハイマツの藪がうるさいところもあるが、ルートは明瞭である。
まずまずのアップダウンを繰り返して先に進む。

190726 三ノ沢岳 (17)

振り返ると少し青空も。
ただし、すっきり晴れることは終始なかった。
晴れていれば、なかなか爽快な風景の尾根道だと思うのだが、残念。

190726 三ノ沢岳 (18)

所々に岩場も登場するが、特に難しい場所はなかった。

190726 三ノ沢岳 (19)

最低鞍部を過ぎると、穏やかな登りになって山頂を目指す。
時折、ガスが抜けそうな気配もあるんだけど、なかなか青空は見えない。

190726 三ノ沢岳 (20)

石積みのケルンを通過すると最後の登りに入る。

190726 三ノ沢岳 (21)

山頂の直下まで来ると、それまでのハイマツ中心の風景が大きく変わる。
小さなカール状の地形となっている斜面がお花畑になっていて、色とりどりの花たちが咲き誇っていた。
ここが今回の山行のハイライトである。

190726 三ノ沢岳 (24)

下を見るとコバイケイソウの大群生。
今年は各地の山で当たり年だったようだ。

190726 三ノ沢岳 (25)

ハクサンイチゲ

190726 三ノ沢岳 (23)

シナノキンバイ

190726 三ノ沢岳 (26)

密度の高い黄色に、なんだか気分も明るくなる。

190726 三ノ沢岳 (27)

ハクサンチドリ

190726 三ノ沢岳 (28)

ヨツガシオガマ

190726 三ノ沢岳 (32)

明るい雰囲気で、まさに花の楽園といった感じ。

190726 三ノ沢岳 (29)

タイミング良くガスが抜けて、中央アルプスの主稜線が見えた。
正面のピークは「島田娘」だろうか?

190726 三ノ沢岳 (30)

南側は残念ながら空木岳までは見えなかった。

190726 三ノ沢岳 (31)

あの小高くなっている岩塊のところが三ノ沢岳の山頂である。
一瞬だったが、ちょうど顔を出した夏空が気持ちいい。

190726 三ノ沢岳 (33)

シナノキンバイ

190726 三ノ沢岳 (34)

コバイケイソウ

190726 三ノ沢岳 (36)

ミヤマキンバイ? キジムシロ?
黄色系はいつまで経っても覚えらない…。

190726 三ノ沢岳 (37)

チングルマ

190726 三ノ沢岳 (38)

ブーケみたいで可愛い。

190726 三ノ沢岳 (39)

10:30 三ノ沢岳
スタートから3時間で三ノ沢岳・山頂に到着。
ガスで周囲の眺望はなく残念ではあるが、花的にはいい時期に来ることができたので、今回はそれで満足することとしよう。

190726 三ノ沢岳 (40)

ランチ休憩のあと、もと来た道を戻る。
晴れていれば、正面に木曽駒が見えるはずで、最高の稜線ハイクであるに違いない。

190726 三ノ沢岳 (41)

帰りもずっとこんな感じの天気。

190726 三ノ沢岳 (42)

三ノ沢分岐までしっかりと登り返しとなり、なかなか骨の折れるコースである。
分かってはいたけど、下山で登りがあるのは精神的に好ましいことではない…。

190726 三ノ沢岳 (44)

行きに撮れなかった花の写真を回収しながら。
イワツメクサ

190726 三ノ沢岳 (43)

コイワカガミ

190726 三ノ沢岳 (45)

当初は宝剣岳を回る予定だったが、視界がないので、そのまま千畳敷に下りることに。
木曽駒界隈に来るのは三回目なのに、まだ宝剣岳は登っていないという(苦笑)

190726 三ノ沢岳 (47)

ガスの中、極楽平に戻る途中、ここにも花がたくさん。

190726 三ノ沢岳 (50)

ヒメウスユキソウ

190726 三ノ沢岳 (48)

タカネツメクサ

190726 三ノ沢岳 (49)

チシマギキョウ

190726 三ノ沢岳 (52)

ヤマハハコ

190726 三ノ沢岳 (51)

極楽平から千畳敷に下る。
時間に余裕ができたので、ここでも花の鑑賞をしながらゆるゆると。

190726 三ノ沢岳 (54)

ミヤマキンポウゲの群生

190726 三ノ沢岳 (55)

チングルマ

190726 三ノ沢岳 (56)

上空は曇っているが、麓の伊那の街はしっかり見えていた。

190726 三ノ沢岳 (57)

千畳敷カールを横から眺めながら。

190726 三ノ沢岳 (58)

今回、行けなかった宝剣岳はまたの機会に。

190726 三ノ沢岳 (59)

三ノ沢岳から2時半と少しで千畳敷に帰着。
登山者よりも観光客が多く、ロープウェイはそこそこの列ができていた。
ただ、ダイヤ関係なしの順次運行になっていて、30分ほどの待ち時間で下山へ。

190726 三ノ沢岳 (60)

天気が思ったよりも良くなく、確かにやや消化不良気味ではあった。
でも、花はたっぷり、じっくりと楽しむことができたので、三ノ沢岳の魅力の半分ぐらいは味わえたかな。
剣岳は宿題として残ったけど、しっかり成果を得られた山行になった。