- 奥大日岳:山登りの記録
- Introduction:立山と剱岳を眺めながらの紅葉散策登山
- 室堂平から、秋の深まる雷鳥沢へ
- 秋色に溢れる新室堂乗越、奥大日岳に向かう
- ガスの中の大日連山縦走、七福園は紅葉庭園
- ランプの灯る大日小屋、ギターの音色ととも
- 翌日は雨、下山は修行の時間
奥大日岳:山登りの記録
日程:2021. 9. 25 - 26(2日間;小屋泊)
天候:1日目;晴れ のち ガス,2日目;雨
コースタイム
1日目
室堂ターミナル 8:20 → 雷鳥沢 9:15 → 新室堂乗越 9:50 → 室堂乗越 10:20 - 10:30
→ 奥大日岳(三角点) 11:35 - 11:50 → 七福園 13:15 - 13:50 → 大日小屋 14:15(泊)
登山時間:5時間55分
2日目
大日小屋 5:45 → 大日平山荘 7:30 - 7:45 → 牛ノ首 8:35 → 称名滝バス停 9:40
登山時間:3時間55分
Introduction:立山と剱岳を眺めながらの紅葉散策登山
9月も終わりになって、山では秋が始まった。
早くも立山の紅葉が見頃ということで、大日連山の縦走に行って来た。
大日連山は立山主稜線の剱御前から西側に伸びる尾根の山々である。
アルペンルートで室堂平に向かう時、左手に連なって見える稜線がそれだ。
奥大日岳、中大日岳、大日岳と続く3峰が主だったピークとなる。
大日連山を縦走する場合、スタートを室堂平にするか?称名滝にするか? の選択から始まる。
まあ、“楽をする” という観点では悩む余地はなく、多くは前者の室堂平を選ぶだろう。
なにせ室堂平の標高が2450mに対して、称名滝は1000m程度だから、下り主体、登り主体の圧倒的な差がある。
今回の山行計画はこんな感じ。
アルペンルートの高原バスで室堂平に入り、雷鳥沢から最高峰である奥大日岳に登る。
そのまま稜線を辿って中大日岳と大日岳の間にある大日小屋に1泊。
翌日、大日平経由で称名滝に下る。
室堂平から、秋の深まる雷鳥沢へ
まずは立山駅から ”文明の利器” アルペンルートで室堂平へ向かう。
紅葉シーズンの土曜なので、混雑は必須。
2週間ぐらい前にWeb切符で8時の便(7:40始発便はすでに満席)の予約をしておいた。
しかし、直前にHPで7時から臨時便(Web切符限定)が出ることを知り、そちらに切替え。
これで1時間早くスタートすることができる。
美女平で高原バスに乗り換え。
車窓からは大きく大日連山の稜線が見える。
数時間後にはあそこを歩いていると思うと、ちょっと不思議な気分。
8:20 室堂ターミナル(登山開始)
観光客で賑わう室堂のターミナルで準備を整えて、いざ出発。
まずは雷鳥沢を目指して歩き始めるが、スタート直後から広がるこの風景。
立山は苦労せずにこれが見えるんだから、ほんと反則的だし。
草紅葉の向こうに、これから歩く稜線が一望できる。
右側のピークが奥大日岳である。
奥大日岳までは残雪期に登っているが、そこから先は初めで楽しみ。
室堂平の先に鎮座する立山の雄山。
朝の時間だと思いっきり逆光なのが残念ではある。
ものの数分で室堂平のランドマーク、みくりが池に。
風はなく、水鏡になっていた。
みくりが池の向こうにある剱御前から別山の稜線もばっちり。
ただ、午後にかけて天気が崩れる予報なので、いつまで持ってくれるか。
みくりが池温泉に向かうと、眼下に荒涼とした地獄谷が見えて来る。
火山活動が活発で、もう随分と前から立ち入り禁止になったまま。
もくもくと火山ガスが湧いている。
火山ガスの向こうにはチラ見せ状態の剱岳が。
雷鳥沢へは火山湖のひとつを大きく回り込むように、緩やかに石畳の道を下って行く。
雷鳥沢が見えて来た。
これはすごい風景かも、と期待が膨らむ。
池塘を彩る草紅葉も黄金色に輝くよう。
雷鳥沢の紅葉は想像以上に進んでいるようで、思わず笑顔になってしまう。
なんというか、秋色に溢れている。
個人的には穂高の涸沢にだって引けを取らない、ちょっと感動してしまうような風景だった。
9:15 雷鳥沢
この風景を噛みしめるように、雷鳥沢に降り立つ。
早くもこの山行のハイライトなのかも知れない。
雷鳥沢のテン場を通り抜けて、浄土沢を渡る。
下から見上げる紅葉もまた違った雰囲気で素晴らしい。
秋色に溢れる新室堂乗越、奥大日岳に向かう
沢を渡ってすぐに剱御前に向かう雷鳥坂と分かれ、奥大日岳へは新室堂乗越に進む。
まだ完全に色付く前で、オレンジ色が鮮やかなナナカマド。
新室堂乗越への登りも、心揺さぶられるような秋の風景が広がっていた。
草紅葉で彩られ、チングルマの穂が揺れる。
なんだかゆったりとした時間を感じる。
鮮やかに赤く色づくナナカマドたち。
奥大日岳に向かう登山者はそれほど多くなく、じっくり秋色を楽しむことができた。
草紅葉の中の木道をゆっくり行く。
というか、切り撮りたい風景ばかりで、全然進まない。
足元を見れば、チングルマの葉が真っ赤に色付いている。
いや本当に、ただただ最高の時間が過ぎて行く。
これは先を急がないとダメかも…
まもなく新室堂乗越。
剱御前に向かう稜線の斜面も程よく色付いている。
9:50 新室堂乗越
新室堂乗越に上がって、ここからは奥大日岳に向けての稜線歩きが始まる。
地獄谷方面を見下ろしながら、しばらくはなだらかな道が続く。
グラデーションがきれいなチングルマの葉っぱ。
どこか牧歌的にも思える風景の中を散歩の気分でゆったりと。
立山の稜線が低く垂れこめたガスで完全に支配されてしまった。
立山三山の縦走をしている人たちが気の毒でならない…
と言っているそばから、こちら側でもだいぶ雲が増えて来た。
なんとかもう少し天気が持って欲しいところなのだが。
右手には、晴れていれば剱岳がばっちり見えるはずだが、ガスが絡んでクリアにはならず。
それでも時々、ガスが切れて何とか頂を見ることができた。
やっぱり剱岳の持っている雰囲気は神々しい。
室堂乗越のコルを越えると奥大日岳(右側)がだいぶ近づいて来る。
目の前のピークは巻いて行くようだ。
立山の稜線は変わらず雲が蓋をしてしまっている。
上空には青空も覗いているのだが。
剱岳方面ももう少しで全部見えそうなんだけど…
でもまあ、ガスが絡む姿もなかなかいい、と思ったり。
このあたりはそれほどきつい登りはなく、奥大日岳までは本当にゆっくり風景を楽しめる。
稜線の紅葉は相変わらず鮮やかで、目を楽しませてくれる。
奥大日岳のピークには、何故かずっと陽がが当たらない。
カガミ谷乗越から奥大日岳への登りがスタート。
ガスが本格的に増えてきてしまって、ここからはちょっと残念な風景に。
大日岳へ続く稜線もガスで見えたり、見えなかったり。
奥大日岳の最高点には登山道が通っておらず、トラバースで巻いて三角点のある山頂へ。
山頂直前には小さな池があった。
ガスの中の大日連山縦走、七福園は紅葉庭園
11:35 奥大日岳(三角点)
室堂平の出発から3時間と少しで、奥大日岳の山頂に到着。
ガスで何も見えないのは残念…
ここからの剱岳、楽しみにしていたんだけどな。
少しだけ休憩した後、先に進む。
しばらくは下り基調となる。
それでも所々に鮮やかな紅葉が現れてくれるので、気持ちは前向きになれた。
赤色とまだ緑色の混ざるナナカマド。
実もなんだか可愛い。
奥大日岳から大日小屋の間には、一部に急な斜面や鎖場、梯子もあるが、どこも難しくはない。
前方に薄っすら見えるのは中大日岳のピークかな?
晴れていれば、この辺りもきっと気持ちのいいルートなのだろう。
13:15 七福園
中大日岳への登りに掛かり、途中、ちょっと開けた空間に飛び出る。
ここは七福園と名付けられている場所で、岩と紅葉のバランスが絶妙だった。
なんだか造りこまれた庭園のような美しさがある。
雨が降る前に小屋に着けるように奥大日岳からは黙々と歩いて来たが、天気はなんとか持ちそうなので、ここで昼休憩とした。
今回のメニューはサラダチキン(レモン風味)と水菜を入れたフォー。
今回はてるてる坊主パワーが及ばず。
でも、前半は頑張ってくれたので、褒めておかないと。
ランプの灯る大日小屋、ギターの音色ととも
14:15 大日小屋
七福園から20分ほどで、今宵の宿、大日小屋に到着となる。
視界はほぼゼロなので、小屋の先にある大日岳のピークには行かず。
おやつを食べたりで、まったりと過ごす。
無印の「不揃い」シリーズのチーズケーキ、めちゃ美味しかった。
一緒に添えているのはイオンの「輪切りレモン」で、程よい酸っぱさと苦みが気に入った。
大日小屋はランプの宿で、夜になると温かな光が灯る。
オーナーはギター職人でもあり、押尾コータローも使っているらしい。
夕飯はハンバーグがメインのメニュー。
夕食後には、小屋番さんによるギター弾き語りのミニライブが開かれた。
ランプの優しい灯りのもと、楽しいライブだった。
『♬どんよりした曇り空でもDon't Worry』 ってフレーズが忘れられない。
あの晩、一緒にいた人たちはわかるはず(笑
曲名:引き潮
オリジナルは ”The End” というライブ活動中心のアーティストらしい。
歌詞はなかなかぶっ飛んでいるけど、メロディが耳に残るし、すごくいい。
リンクは ”ギターパンダ” によるカバー。
翌日は雨、下山は修行の時間
5:45 大日小屋(2日目スタート)
翌朝、天気は雨…
夜中はひどい雷雨だったので、下山できなかったらどうしようとビクビクしていたけど、とりあえず小雨で歩くのは問題なし。
小屋の前からは剱岳が薄っすら見えたが、気分はどうしても沈んでしまう。
天気はどんどん悪くなる予報なので、気合を入れて早々に下山を始める。
雲が高くなったので、昨日は見えなかった大日岳のピークが見える。
小屋からは往復で30分ほどだが、結局、登ることはなかった。
大日平に向けて一気に下る。
大日平は晴れていればいい場所だろうな。
雨は強くなる一方で、大日平山荘でカメラをザックにしまったため、ここからは写真なし。
土砂降りに近い雨の中、木道は時々スリップするので気を使い、精神的にも疲れて来る。
牛ノ首からの激下りで膝はガクガク。
それでも、これは修行と思い、黙々と歩いて、4時間で下山完了。
晴れていれば称名滝も楽しみのひとつだったが、この雨ではスルー。
ずぶ濡れのまま、10時のバスで立山駅に戻った。
振り返り
結局のところ、序盤の雷鳥沢と奥大日岳までの登りがハイライトになった今回の山行。
でも、紅葉は素晴らしく、たくさん秋色を愛でることができたので良し。
やっぱりアルプスの紅葉は別格だった。
大日小屋のランプやギターも心地のいい時間を過ごさせてくれた。
大日連山からの剱岳をちゃんと見ることができなかったのは残念だが、またの機会に取っておこう。
------
<参考>
・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)
・ 大日小屋:ランプとギターの雰囲気が心地よい山小屋