日程 : 2018.10.14(日) 日帰り
ルート: 馬狩(トヨタ白川郷自然学校)→ 鶴平新道 → 野谷荘司山 → 三方岩岳 → 馬狩
天候 : 晴れ
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三方岩岳は白山から伸びる北縦走路の終点に位置するピークである。
白山白川郷ホワイトロードの三方岩駐車場からだと1時間も掛からずに登れてしまう。
そんなお手軽な山であるが、麓の白川郷からガッツリ登るルートも存在する。
尾根道の紅葉が素晴らしいようで、それに期待して以前から計画を温めていた。
タイミングとしては、ほぼベストと思われる10月中旬、いざ実行である。
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白川郷からホワイトロードを少し登って行ったところにある「トヨタ自然学校」が、今回の山行のスタート。
道路脇に「P13」と名前の付いた駐車スペースがあり、そこに車を停める。
ここから鶴平新道で野谷荘司山を経由して三方岩岳に登る。
下りは三方岩岳から馬狩料金所に降りて来るルートがあるので、それを使う。
逆向きの反時計回りでもいいが、この時計回りルートをおすすめしたい。
鶴平新道の方が眺望に優れており、つらい登りの助けとなってくれるのが、その理由である。
6:45 馬狩・白川郷トヨタ自然学校(登山開始)
稜線はガスで霞んで見えるだけだが、晴天を信じて山行開始。
鶴平新道の登山口を目指して、しばらく車道を進む。
ガスの切れ間に薄っすらと見える山肌は、ちゃんと紅葉してくれていそうで、胸が高鳴る。
10分ほどで鶴平新道の入り口に到着。
この周辺にも駐車スペースがあり、すでに出発済みの数台が停まっていた。
登り始めからかなりの急斜面がつづく。
木々はまだ青々としているが、降り積もった落ち葉で足元は滑りやすく、少々難儀した。
道中には立派なブナが点在している。
急登を黙々と進むと、徐々に木々が色付き始めてくる。
朝の柔らかな陽のおかげもあって、森が優しさに包まれた感じ。
天気予報は晴れ、曇り、どちらに転ぶか分からない感じだったが、とりあえず今はしっかりと青空が見えている。
このまま晴天を保ってくれることを期待して進む。
スタートから1時間と少しで眺望が得られるようになった。
正面に見えているのは、白川郷の向かい側に位置する猿ヶ番場山。(残雪期登山で有名)
少し重なるように、その背後にある小さな三角のピークは籾糠山。
昨年の素晴らしい紅葉の記憶が甦ってくる。
北寄りは人形山などが見えているようだが、正直、よく分からない。
ブナの温かみのある紅葉を横目に見ながら登る。
向かいの尾根の紅葉は終盤なのか、鮮やかさが今ひとつに見えるが、果たしてどうか。
こちらのルートは、高度を上げるごとにしっかり紅葉が色濃くなって行くように感じる。
鮮やかな秋色を纏ったブナの木々たち。
ガスが頭上を速い速度で流れて行く。
紅葉を存分に楽しむためにも、もう少し頑張って晴れていて欲しいと願う。
とりあえず、紅葉自体はタイミングばっちりだったようで。
今シーズンの紅葉は赤系がイマイチぽい感じだったが、この発色なら合格点だろう。
登ってきた尾根を振り返ると、これはなかなかすごいではないか。
青空に映えるミネカエデの黄葉も。
正面に見えてきたポコっと丸いピークは赤頭山という。
紅葉はこのあたりが最盛期だった。
麓からガスが上がって来ている。
このルートのハイライトはこれからなので、なんとか堪えて欲しい。
いつしか周囲は灌木ばかりになって、見通しが良くなった尾根を進む。
眼下に見下ろした斜面の紅葉がなんて色鮮やかなことか。
ガスでできた影とのコントラストもいい。
谷に向かって流れて行っているかのような紅葉のグラデーション。
稜線付近は結構ザレている。
斜面を流れた砂礫が紅葉の中で浮かび上がって、それもひとつのアクセントに。
尾根の上部は切れ落ちている箇所もあるので、紅葉に見惚れ過ぎないように注意。
9:15 赤頭山
赤頭山の狭いピークから見渡す、鶴平新道のハイライトがこれ。
紅葉は少し盛りを過ぎているが、左右に大きく開けた尾根道が気持ち良すぎる。
振り返ると、素晴らしい紅葉の中を進んで来たことが良く分かる。
赤頭山で休憩したら、稜線に向けて最後の登り上げ。
左側の稜線は山肌が大規模に崩落している。
ダイナミックな風景だが、いつか山ごと崩れてしまうのではと、ちょっと心配になる。
崩落地の向こうには白山が位置しているが、ガスで御前峰が辛うじて見えるだけ。
ひと際、鮮やかだったナナカマド。
赤頭山を振り返ると、光の加減が最高で、紅葉が輝いて見えた。
黄金色と表現してもいいかも知れない。
※ 上の写真、なんとヤマレコ・Facebookページのカバー写真(週替わり)に採用いただいた。選ばれるほどの写真ではないと思うが、素直に嬉しく感謝。
なかなかの急登が続くが、景色が良くて苦にはならない。
あのピークまで登れば、三方岩岳から続く稜線に到達となる。
紅葉の中を貫く鶴平新道を見返して。
この風景を正面に眺めながらの下山も捨てがたいので、今回とは逆ルートもありかも。
ただ、少々ザレた急下りもあるので、疲れた足には注意となるだろう。
錦色の尾根の眼下に庄川の流れ。
三方岩岳から来る稜線ルートと合流し、野谷荘司山に向かう。
山頂までは400mほどの寄り道となる。
紅葉に針葉樹の混ざる稜線を進む。
10:10 野谷荘司山
分岐から10分ほどで野谷荘司山に到着。
スタートから3時間半近く掛かっているので、まずまずの疲労感だった。
山頂を示す標識はちょっと寂しい。
山頂は狭いながらも、まずまずの眺望。
白山方面は雄大な眺め。
三方崩山。名前からして、この山域は脆い地質なのだろうか?
色付く尾根の対岸は、残雪期に登ってみたい猿ヶ馬場山。
小さな三角のとんがりは籾糠山。
眺望を楽しんだ後、三方岩岳に向けて稜線を辿る。
一部、足場が良くない箇所もあった。
野谷荘司山の崩落地をアップで。
秋色に輝く鶴平新道の尾根道。
前方に三方岩岳が大きく見えて来た。
なかなか存在感のある岩山である。
稜線の縦走路は小刻みにアップダウンがあって、完全お気楽な道ではなかった。
結構な登山者とすれ違ったが、ほとんどがホワイトロードの三方岩駐車場からだろう。
ほとんど横移動で素晴らしい紅葉を楽しむことができ、登山という感じではなくなってしまうが、それはそれでオススメできる山歩きかも知れない。
立ち枯れと紅葉。
三方岩岳の直下から始まる白谷の紅葉も、実に濃密であった。
これを飛驒岩と言うのだろうか?
ちょっとアメリカのモニュメントバレーのような風景で、かなり大きなスケール感。
斜面を流れ落ちるような紅葉も最高。
稜線から覗き込んだ眼下の錦色。
赤い実だけを残したナナカマド越しに飛騨岩。
ここまで来るとかなり大きく見える。
ルートは一度下って、飛騨岩に乗り上げる急登に掛かる。
ダケカンバの白い幹がいいアクセントに。
今回の山行で最も濃かった赤色を見上げて。
飛騨岩の岩壁が間近に迫る。
11:30 三方岩岳(飛騨岩)
そして、飛騨岩に登頂。
登っている時は気づいていないのだが、実はここが三方岩岳の山頂とのこと。
てっきり、この後、向かう「三方岩岳展望台」が山頂と思い込んでいた。
あとで「展望台」で山頂標識がない?、と騒ぐことになるのだが、探せばこちらにあったのだろうか?
まあ、そういうゴタゴタもあったが、それよりも眼下に見下ろす紅葉がすごい。
そして、この山頂から少し離れたところにある「三方岩岳展望台」。
ホワイトロードの駐車場からハイキングで登って来た人たちで溢れているのが見える。
眼下のホワイトロード沿道の紅葉も素晴らしい。
10分ほどで三方岩岳展望台。
ここからは石川側の山並みが赤く燃えているかのよう。
紅葉の中を縫うホワイトロードの線形美。
みんな最高のドライブを楽しんでいることだろう。
富山方面の眺望。
遠望が効かず残念だが、視界がクリアなら立山や穂高など北アルプスも楽しめるらしい。
白山は一日中、見えたり、見えなかったり。
このタイミングはガスで覆い隠されてしまった。
展望台でお昼。
子供連れも多く、みんな紅葉ハイキングを楽しんでいるようだった。
下山の前に素晴らしい紅葉の眺望をもう一度。
笈ヶ岳や大笠山に稜線が続いてる。
下山はホワイトロードの馬狩料金所を目指す。
来た道を少し戻り、稜線との分岐あたりには、広くないながらも草紅葉が美しい一角も。
こちらの尾根もいい色付きで、ボリュームのある秋色を楽しむことができた。
少し下ると、飛騨岩を見上げるポイントがあった。
紅葉の中にそそり立つ格好いい岩壁が圧倒的。
下山路は比較的なだらかな傾斜で下りやすいルートで始まる。
白川郷の集落を見下ろして進む。
しかし、中盤以降は急下りに変わり、ここで一気に膝にダメージが…
紅葉ゾーンを抜けて、ブナの木もまだ青い。
落ち葉が降り積もった斜面は滑りやすく、さらに疲労度アップ。
最後はかなり疲れたけど、三方岩岳から2時間で料金所まで下って来ることができた。
ここで恵みの自販機を発見、コーラが最高に美味かった。
後は車道を15分ほど歩いて、駐車地まで戻った。
15時ちょうど、トヨタ自然学校の合掌造りを横目にゴール。
予想していた以上のガッツリ山歩きになって、かなりの疲労感で山行を終えた。
でも、特に赤頭山の周辺は赤色、黄色、橙色、たくさんの秋色で溢れていて幸せだった。
秋の美しさを噛みしめるように、じっくりと歩かせてもらった。
道中、賑やかだったのは、駐車場に近い三方岩岳展望台だけ。
それ以外では歩く人も少なく、静かな秋山漫歩を楽しめた。
期待していた以上の秋山行をさせてくれた三方岩岳に感謝。