稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

藤原岳 - 御池岳はおあずけ、それでも霧氷は青空に輝く

 

日程 : 2018.2.4(日) 日帰り
ルート : 木和田尾 → 頭陀ヶ平 → 藤原岳 → 大貝戸(周回)
天候 : 晴れ(稜線は風強し)


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霧氷鑑賞を目的にした今回の山行チャンス。
一番行ってみたいのは、奈良にある明神平だった。
ただ、天気予報では青空が望めそうになかったので、天気の良さそうな鈴鹿へと計画変更。
第一候補はテーブルランドの霧氷に期待して御池岳である。

しかし、はじめに結果を言ってしまえば、御池岳は断念。
稜線に上がった段階で体力的、時間的に厳しいと判断し、藤原岳周回に予定を変更した。
でも、霧氷はばっちりで、ちゃんと満足できる雪山ハイクとなった。

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御池岳を目指す計画ルートは、白瀬峠登山口から木和田尾を登り県境尾根へ、
そして、稜線を辿ってカタクリ峠経由でテーブルランドに上がる、というものである。
帰りはトレースがあれば、コグルミ谷右岸尾根を下って国道に出てもいいかなと考えていた。

駐車場は国道306号沿いの藤原簡易パーキングが便利かと思うが、少しでも下山後の車道歩きを少なくしたいので、白瀬峠登山口に乗り付けてしまう。
水道施設(山口配水池)のそばに、いくらか駐車スペースがあるが、5台程度のキャパ。
この日は6時半過ぎで一番乗りだったが、出発の準備をしている間に、2台ほどが到着した。

7:10 白瀬峠登山口(出発)
登山口からしっかり雪があり、後で付けるのも面倒くさいのでスタートからアイゼンを装着。


しばらくは植林地の中の谷筋を詰めて、木和田尾を目指す。
はじめからキツい登りではあるが、雪がしっかり締まっていて歩きやすかった。


黙々と登って、1時間ほどで木和田尾に乗っかる頃には、朝の陽が差し込んできた。
ルートは想像以上の雪の量であった。


時折、木々の隙間から見える稜線は霧氷が付いていそうで嬉しくなる。


木和田尾を歩くのは2回目だが、明るい二次林が続いて好きな雰囲気である。
ありがたいことにトレースはしっかりあり、時々ズボっと行くが、全体的に歩きやすかった。


雪面に映る木々の影もアート感があって好き。


高圧線の鉄塔が近づいて来ると視界が開けて開放的に。


稜線方面を眺めると、どうやら霧氷確定のようである。
溶けて消えてしまう前に、急いで登らなくては。


鉄塔下で小休止。ただ、風は強いので、とても長居はできない。


鉄塔が邪魔ではあるが、見晴らしはなかなか良く、眺望は大きく開けている。
これは鞍掛峠の方角。


反対側では伊勢湾が眩しく輝いていた。


稜線上に立つ鉄塔を遠望で。おそらく、あそこが頭陀ヶ平だろう。
電線も凍っているのがわかり興味深い。


御池岳に向かうなら白瀬峠(指導標は白船峠)方向に向かうべきだが、トレースがない。
やや遠回りになりますが、直進してトレースのある頭陀ヶ平方面を目指す。
ちなみに白瀬峠へは嫌らしいトラバースとなるらしいので、意図的に頭陀ヶ平を経由するのもありかと思う。


ここからは地形のせいか、かなり雪の量が増えた。
トレースを少しでも外すと、簡単に膝ぐらいまで踏み抜いた。


鉄塔下で振り返れば、麓からかなり登ってきたのがわかる。背後は養老の山並み。


稜線が近づいて、いよいよ霧氷が付きはじめた。


やっぱり霧氷はいいな。思わず、はしゃいでしまいたい気分になる。
初霧氷の山友たちも、テンションが上がり気味だったように思う。


見上げれば、ガラス細工のように繊細な霧氷が空を覆っている。


霧氷の咲く森。


背景が青空っていうのも嬉しい要素。
陽が当たっている場所は、純白の如く輝いていて美しい。


霧氷に思いっきり寄ってみると、こんな感じ。


雪原と霧氷の森のコントラスト。
鉄塔が映り込んでしまうのは残念だけど、ちょっと感動してしまう風景だった。


ひと際、存在感のある大木を見上げながら登る。


何と言うか、もう言葉にならないんだけど、すごく澄んだ透明な空気感が堪らない。


稜線は目前に迫っているが、ここはかなりの斜度で厳しいところ。
休み休みで登って行く。


横に目を向けると、真っ白な霊仙山。


吹き飛ばされそうな突風の吹き荒れる中、県境尾根の稜線に到達。
氷の粒が襲ってきて顔が痛い…


10:15 県境尾根(頭陀ヶ平手前)
3時間掛けて稜線に立つと、真ノ谷を隔てて目の前に御池岳が大きく横たわっている。


あそこへ到達するためには、ここから県境尾根をカタクリ峠まで進んで、もうひと登りする必要がある。
御池岳の山頂まで、コースタイムは夏道で1時間40分。
テーブルランドはゆっくり散策したいから、それも加味すると時間的に余裕はなさそう。
ひとり登山なら多少、自分の責任の範疇で強行していたかも知れない。
でも、ここまでの木和田尾の登りで体力はそれなりに消費していたし、
何よりその遠さに心が折れる部分もあったので、御池岳は断念することにした。

奥ノ平あたりだろうか?
しっかり霧氷が付いているので、テーブルランドは素晴らしい風景だったことだろう。
ちょっと惜しい気もするが、作戦を練り直して、またいつかリトライしたい。


霊仙山の右側に伊吹山も見えてたが、上空には雲が掛かっている。
今日は鈴鹿を選ぶのが正解だった模様。


予定を変更して、県境尾根を辿って藤原岳に向かうことに。
こちら側の霧氷も抜群に美しかった。


頭陀ヶ平の鉄塔を通過。
このあたりは吹き曝しの稜線で爆風状態、立ち止まると容赦ない寒さが襲ってくる…。


これから向かう藤原岳方面も、嬉しいことに霧氷がびっしり付いている。


突風が吹くと霧氷のかけらが空を舞う。
時々、上空の高圧電線から大きな塊も落っこちて来た。
一回、思いっ切りデッドボール(?)を喰らったが、かなり痛かった…。


緩やかなアップダウンを繰り返しながら藤原岳へ。


県境尾根の積雪はかなりのもので、踏み抜きが多くなった。
フワフワの雪の感触も楽しみたかったので、ここでワカンを着用。
ちなみに、この区間だけは霧氷が付いておらず、ちょっとした地形の差なのだろうか?


鈴鹿の目映い冬景色の中を進む。


振り返ると、霊仙山と伊吹山のパノラマが広がっている。
伊吹山もなんとか晴れてきたようだ。


どっしりとした山容の伊吹山
左側の斜面に、山頂にまっすぐ続くトレースが見えているような?
最後の登りはかなりキツそう。


逆光で透けるように輝く霧氷の中を突き進む。
この凜とした冬の森の雰囲気がいい。


時折、空を見上げながら歩く。


目標の御池岳には行けなかったけど、心は十分、満たされた気がした。


霧氷には群青の空がよく似合う。


霧氷の森を抜けると不意に視界が開けて、そこは天狗岩だった。
ここまでトレースを辿って来たが、夏道とは違うところを歩いてきたようだ。
正規の登山道だと分岐から寄り道する形になるが、今回はダイレクトに天狗岩に出た。


天狗岩は藤原岳の最高点であり、開放的な眺めが広がっている。
この先は雪庇になっているようなので、近づきすぎに注意して写真撮影。


正面の白い山は1月に登った竜ヶ岳である。その後には御在所岳なども。


三角の形が目立つピークは展望台といわれている場所。
最高点はこちら側だが、一般的にはあちらを藤原岳山頂とするようである。


いくつかなだらかな丘を越えて行く。
このあたりから霧氷はなくなってしまったが、ここまで十分に楽しむことが出来たので良し。


時々、突風が吹き抜けて行く。風が強い場所のようで雪は少なかった。


カレンフェルトの向こうに雪原の斜面が広がる展望台ピーク。
雲が適度に躍動し、立体的な風景を作ってくれた。


だいぶ疲れてきましたが、終日、青空に恵まれて楽しい雪山ハイクが続く。
霧氷初体験だった同行者たちも喜んでくれたようだ。


12:10 藤原山荘
緩やかに丘を下って行くと避難小屋(藤原山荘)が見えてきた。


小屋は冬季も解放されており、中で食事にしようとしたが、なかなかの混雑だった。
風の弱い小屋の影でランチとした。
今回のメニューは、レトルトのユッケジャンクッパ
冷凍の白米を持ってきて、軽く煮込む。キムチは持参品のトッピングで、これは大正解。
なかなかの美味で、何より体が温まる。
冬山メシとしては、かなりの高得点だった。


ランチをゆっくり取ったら、時刻は13時半でそこそこの時間になっていた。
展望台ピークまでは30分程度だが、一度、登ったこともあるので、まあいいか。
ここまでの霧氷ハイクで十分に満足だったので、スルーすることに。


帰りは表登山道で大貝戸に下る。
こちら側はヤマレコなどを見ると、朝はしっかり霧氷が付いていたようだが、さすがに昼を過ぎてしまっては、すっかりなくなっている。


下りはじめは麓の町のミニチュア感がすごい。


下り斜面はかなり急降下で、疲れた足には少々堪えた。


2時間弱で大貝戸の登山口に下山できた。
しかし、車回収のために、まだ3kmちょっとの車道歩きが残っている…。


1時間弱を掛けて白瀬峠登山口に戻ると16時半。疲労感はかなりのものだった。
御池岳のテーブルランドを目指してスタートした今回の山行。
目的は果たせなかったが、県境尾根の霧氷は生涯最高の美しさで、無駄にはならなかった。
でも、御池岳への未練はやっぱり残るので、いつかは必ず。


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