稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

三ノ峰 - 百花繚乱、真夏の花園ハイク (2017.8.6)

 

ルート : 上小池 → 六本檜 → 三ノ峰(ピストン)
天候 : 晴れ 時々 ガス


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この週末は北アルプス(常念あたり)に小屋泊で縦走を計画していたが、台風の影響で天候が安定しなさそうだったのでキャンセル。
北陸方面は比較的、天気が良さそうだったので、代わりに日帰りで三ノ峰に行くことに。

三ノ峰は白山信仰の道のひとつ、美濃禅定道の途中に位置するピークである。
三ノ峰を目的地とするのなら、石徹白か上小池がスタートとなるだろう。
石徹白から美濃禅定道を辿るルートは、いつか別山まで歩きたいと思っているので、今回は上小池を登山口に選んだ。

上小池まではなかなか遠かった。
名古屋からだと東海北陸道の白鳥インターで降りて、九頭竜湖を通り過ぎ、JR勝原駅から狭い山道に入っていく。
20kmほどを登ったドンツキが上小池駐車場で、紅葉で有名な刈込池のアプローチ地点でもある。

7:10 上小池(登山開始)
6時半ぐらいに駐車場へ着いたが、この段階では結構強い雨が降っていた…
天気予報では晴れてくるはずなので、少しの間、待機することに。
30分ほど待って、雨がほとんど上がったタイミングで行動開始。


まずは打波川に向かって下り基調のスタートとなり、川まで降りると林道にぶつかる。
刈込池への分岐を見送り、川沿いの林道をゆるゆると登って行く。
雨上がりのせいで、とにかく蒸し暑く、本番前から大汗をかくことになった。


駐車場から 20分歩くと登山道のはじまり。


登りはじめは階段が続く。なかなかの急登で、骨が折れる。
写真では、なんだか気持ちよさそうな森に見えるが、湿気のせいで不快指数が高すぎ。
もちろん、この森に罪はないが…

 
しばらくは夏の色深い森をただひたすら登って行くのみ。


途中、特に見所もなく黙々と歩き続けて、1時間半、突然、背後の視界が開けた。
ここで稜線に到達、六本檜と名の付いている場所である。
嬉しいことに、予報通りの青空が広がっていた。
少し霞み気味ではあるが、谷筋の奥に荒島岳が見えた。


反対側は六本檜に着いた時、ガスっていたが、小休憩をしていると、いつの間にか目指す三ノ峰が見えるようになっていた。
左側の丸みを帯びたピークが三ノ峰で、右側の尖っているピークは越前三ノ峰(打波ノ頭)。


稜線に出ても、しばらくは樹林帯を進むことになる。雰囲気はいい。


六本檜からそれほど歩かないうちに、展望が開けてきた。
今日はめちゃくちゃ暑いだろうなと思っていたけど、台風の影響もあるのか、風がいい感じで吹いていて救われた。


正面に聳える三ノ峰はガスが掛かったり抜けたり。
行く先には予想よりもキツそうな登りが立ちはだかっていた。


三ノ峰は高山植物がとにかく豊富である。今回の山行はお花鑑賞がメインイベント?かも。
咲いている全種類を制覇する意気込みで行こう。
まずはノアザミ


ヨツバヒヨドリ? 道中にたくさん咲いていた。


タテヤマウツボグサ


六本檜からしばらくは穏やかな道が続いていたが、剣ヶ岩の手前は急登になる。
大きな岩を回り込むように登って行く。


剣ヶ岩の登りの途中にあった、いい樹形のダケカンバ。


剣ヶ岩の上部に登り詰めると、さらに視界は開けて、三ノ峰に続く稜線を見渡せた。
ガスに覆われたゴールはまだまだ遠いけど、見晴らしは抜群なので登っていて楽しい。


高山植物が咲き乱れる登山道を進む。


オオバギボウシの蕾

 
シモツケソウ


シシウド


オトギリソウ


マルバダケブキ


ニガナ


ハクサンジャシン


花を撮りつつなので、やたら時間が掛かっている気がするが、結構登って来た。
この稜線は、花だけでなく笹の海も気持ちいい。


「三ノ峰 1.2km」の指導標が立つ場所は、特に見晴らしが良かった。
まだ距離があるけど、確実に近づいてきた山頂。
ガスは晴れたり、また覆ったりを繰り返しているので、タイミングの勝負となりそう。


北側に目を向ければ、市ノ瀬から別山に続くチブリ尾根が延びている。
以前、白山を周回した時に、ものすごい土砂降りの中を下った苦い思い出が…


望遠で覗くと、チブリ尾根の背後には白山本体の大汝峰が見えた。
最高峰の御前峰はガスの中だった。


さて、山頂に向けて最後の登りに入る。
ここからの花たちの咲きっぷりが、今まで以上にすごかった。


クガイソウ


マルバダケブキとノアザミ


写真ではちょっとわかりづらいけど、この斜面の花の密度は感動もの。


マルバダケブキ、シモツケソウ、クガイソウなど、色々と咲いている。


ずっと下の方まで続くお花畑。


タカネナデシコ


タカネマツムシソウ


シナノキンバイかな? 


ハクハンフウロ


ウスユキソウ


アザミの群生


ここがこのルートで一番のお花畑。まさに百花繚乱!


11:10 三ノ峰避難小屋
最後は打波ノ頭をトラバース気味に巻いて、スタートから4時間で三ノ峰避難小屋に到着。
山頂はガスの中なので、先にお昼を食べてタイミングを待つことに。


小屋の前にも数々の花たちが咲いていた。
ハクサンフウロの三兄弟。


ミヤマキンポウゲかな?


昼休憩に1時間を費やして天候の回復を待ったが、ガスが抜ける気配は今ひとつない。
下山の時間もあるので、仕方なく山頂に向かう。
山頂自体は小屋から目と鼻の先の距離である。


ミヤマアキノキリンソウ

マルバダケブキが花火みたい。


山頂に向かうお花畑のプロムナード。


12:30 三ノ峰・山頂
小屋からは息が上がることもなく、10分で三ノ峰・山頂に到着。
広くないピークには地味目の山頂柱がポツンとあった。


ここでの楽しみは北側に位置する別山の眺望のはずだったが、やはりガスガス…
山頂に続く裾野がわずかに見えるだけである。


ただ、ガスの流れが早いのでしばらく待ってみると、事態は一気に好転に向かう。
別山の上空に青空が広がり、徐々に雄大な稜線が姿を現しはじめたのである。


ついには、ほとんど完全な姿に。切り立った斜面に聳える別山は、なかなか迫力がある。
しつこく山頂を覆い隠している雲は、別山に沿った上昇気流で出来たもの。
次々と雲が生まれて、消えていく様子は見飽きることなく、それだけでもなんだか楽しい。


結局20分ぐらい粘って、これがこの日、一番のショット。


風景を楽しみすぎて、すっかりいい時間になってしまった。さすがにそろそろ下りないと。
避難小屋のロケーションも最高。この次は石徹白から1泊掛けて、別山まで登ってみたい。
ちなみに、三ノ峰から別山まではコースタイムで2時間(復路1.5時間)。
僕らと同じ上小池から日帰りしている人たちが結構いた様子で、とても真似できない健脚だ。


下山開始は13時。


帰りも花を愛でながら。
登りよりも陽射しがあって、花たちが一層きらめいているように感じる。


花も展望も最高の稜線だった。


下って行くと、白山の中心部が遠望できた。今度は御前峰もしっかりと見えている。


振り返って三ノ峰。思っていた以上に何倍もいい山だった。


サクサク下って、1時間半で六本檜まで戻って来ることができた。
願教寺山やよも太郎山を眺めながら、しばし休憩。


あとはいつも通りに修行の時間。
かなり気温が上がり、蒸し暑くてクラクラしながら、樹林帯をひたすら下る。
膝に堪える階段をこなして、無事に林道まで帰還。


あとは20分ほど林道を歩いて、駐車場に戻ったのは16時を少し回った頃。
駐車場には無人のジュース販売があって、もちろん購入。生き返った。


三ノ峰はとにかく花がすごい山だった。
色んな種類の花が咲き乱れ、至る所にお花畑ができ、そこはまさに花園。
やはり白山は花の山だと感じた。
この次はニッコウキスゲの時期に、美濃禅定道で別山まで歩きたい。

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