稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

入道ヶ岳 - 小粒でも展開の楽しい鈴鹿の名峰 (2017.5.21)

 

ルート : 椿大神社 → 北尾根コース → 入道ヶ岳 → 二本松尾根コース (周回)
天候 : 晴れ(高曇り)


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会社の後輩たちが山登りを始めてみたいとのことで、それならとアテンドを引き受けた。
それ程きつくなく、景色がいい山はないかと探して見つけたのが鈴鹿の入道ヶ岳だった。
初登山の2名と、普段からトレッキングをしている1名を加えて、4人パーティで出発。

自分としては、ちょっと物足りないと思っていたが、目まぐるしく雰囲気が変わって、なかなか展開の楽しい登山コースで、結果的には満足感のある山行となった。

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入道ヶ岳登山ではいくつかのルートがあるが、最も一般的な椿大神社からのコースを選択。
駐車場は神社のものを使わせてもらえる。
神社の手前500メートルぐらいにある第三駐車場(無料)が登山者用にあてがわれている。

8:35 椿大神社(登山開始)
ちゃんと調べて来なかったけど、椿大神社(つばきおおかみやしろ)は伊勢国の一之宮らしい。
一之宮とは、その地域で最も格式の高い神社のことであるが、そしたら伊勢神宮ではないの?
と思ったら、お伊勢さんは別格扱いで、諸国の神社とは同列には並ばないみたい。


入道ヶ岳は山そのものが御神体なので、登山前にしっかりお参りをするべき。
朝の空気が清々しく、とても神聖な雰囲気のある境内だった。


杉並木を抜けると現れる本殿は、さすがに立派である。
心穏やかに登山の安全を祈願。


神社の境内を出て車道を少し歩くと、右手に愛宕社への石段が登っていく。
ここが北尾根コースの登り口となる。


この石段がなかなかの強者…。上に行くほど、斜度がきつくなる。
ちなみに、下山時に気づいたのだけど、石段の鳥居を少し過ぎた先につづら折りの迂回路があった。
距離は長いだろうが、そちらを使えばちょっとは楽なのかも知れない。


10分弱、石段を喘ぎ登って愛宕社。ここにも小さなお社が祀られている。
この先は普通の登山道になる。


北尾根コースは何度かアップダウンがあって、なかなか登り応えあり。
道標は番号(北の頭が10番)が付いていて、いい目安になる。


距離は短いものの、随所に急登が待っている。


登り初めから1時間で避難小屋に到着。山頂まではあと1.3km。
この避難小屋、外観は頼りないが、中はまずまずしっかりしていた。(泊るって感じではないけど)


登るにつれて、木々が広葉樹中心に変わって行く。
もう新緑とは言えないかも知れないが、だいぶ色濃くなってきた初夏の木の葉が気持ちいい。


見上げるとカエデの葉を透けて通る光。
自然豊かで、紅葉の季節も良さそうなコース。


広葉樹林を登って行くと、頭上までアセビが張り出して来てトンネル状に。
なんだかトトロの森みたい。


アセビのトンネルを抜けて、今度は公園か庭園の雰囲気になり、視界が開ける。
このあたりは目まぐるしく様相が変化して、歩いていてもなかなか面白い。


ツツジの花も咲いていた。


再びアセビのトンネルをくぐって進む。


左手に木々の間から目指す山頂が見えはじめた。


望遠で覗くと山頂の鳥居が白く輝いていた。
平らな山頂部はすでに登山者で賑わっていそうだ。


すっかり傾斜の緩やかになった道を進んでいくと、大きく視界が開けて笹原が広がるようになる。
ここまで来ると北の頭はもうすぐ。


スタートから2時間15分で北尾根を登り詰めて、北の頭に到達。
休憩多めでちょっと時間が掛かっているかも。
ここからの景色は一級品で、笹原の向こうに鈴鹿の主稜線・県境尾根がずっと連なっている。
高曇りで霞も強く遠くはぼやけているけど、釈迦ヶ岳まで見えていた。


鋭角の鎌ヶ岳に、なだらかな山容の御在所岳が対照的な姿で目の前に横たわる。
御在所のロープウェイの駅と鉄塔も見える。


左の宮越岳から鎌ヶ岳に繋がる鎌尾根は、吊り尾根のようでかっこいい。
そのうち縦走してみたいと思っている。


展望をじっくり楽しんだら山頂へ。


北の頭から山頂まではあっという間だけど、このルートで最も気持ちのいい区間かな。


開放的な風景の広がる左手の笹原を登ってくるのは井戸谷コース。
かなりの急登に見え、なかなか大変そうである。


10:50 入道ヶ岳・山頂
そして山頂に到着。
真新しい、ピカピカの鳥居に出迎えられた。
実は古くなった木の鳥居が交換されたばかりで、建立は一週間ほど前だった模様。
味のある古い鳥居を写真で見慣れていたので、ちょっと違和感がある。
まだ風景に馴染んでいない感じで、これから長い時間を掛けて風格が出てくるんだろうな。


鳥居の傍らにある小さな碑。
実際の奥宮は山頂から離れたところにあるのだが、山頂部全体が奥宮と思っていいのかな?


山頂からの眺望は最高。
この日は霞が掛かっていて、残念ながら伊勢湾は見えなかったけど、それでも十分すぎる開放感。
写真の先は結構な急斜面なので、ここでお弁当を食べる時は「おむすびころりん」とならないように注意が必要である(笑)


ちょうどパラグライダーがテイクオフ!
上昇気流に乗って、より高いところまで上がっていき、上空をずっと旋回していた。
あれって、麓までゆっくり降りて行くだけじゃないんだ、って初めて知った。
気持ちよさそうだけど、自分がやったら、恐怖の方が上回りそう。


今回は初登山の後輩たちを連れてきたので、ちゃんと山メシを作ってみた。
といっても、冷蔵の餃子鍋に野菜炒めセットを入れただけだけど。
山で食べれば何でも美味いんだろうけど、味に間違いはないので、秋から冬の山行では、この手の鍋はレギュラー化しそうな予感。


あとは後輩提供のフリーズドライのカレー。
それと、初めて山にノンアルビールを持ってきてみたんだけど、これが癖になるほど美味かった。
ひとりで登る時の昼食って、いつも簡単に済ませちゃうけど、仲間と一緒なら、こういう時間も大切にしたいと思った。


山頂から鎌ヶ岳方面。入道ヶ岳は900mしかない山だけど、山は標高じゃないな。
後輩たちもこの眺望、そして、山の雰囲気を楽しんでくれたようで良かった。


お腹いっぱいで眠たくなってきたけど、本格的に動けなくなる前に下山開始。
帰りは二本松尾根コースを行く。


下り初めてすぐに樹林帯へ突入。楽しい時間は終わって、あとは修行。


初登山の後輩は膝がガクガクだったようだが、2時間掛からずに下山できた。


下山後は菰野湯の山温泉に入って、夕方、名古屋に戻ってから打上げの焼肉パーティ。
しっかり山に嵌まりつつあるようで、山談義で盛り上がった。
ひとり登山とはまた違った楽しさがあって、これはこれでいいもんだな。

入道ヶ岳は少し侮っていった。
ストーリー性がしっかりあるとでも言えばいいのか、展開の変化を楽しみながら登ることができた。
自分としては、鈴鹿セブンマウンテンが今回で6/7に到達。
あとは雨乞岳を残すのみ。今年中に達成できるかな?

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