稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

霊仙山 - 咲き誇る福寿草とカレンフェルトの台地 (2017.4.16)

 

ルート : 榑ヶ畑 → 落合 → 西南尾根 → 霊仙山 → 榑ヶ畑 (周回)
天候 : ガス のち 晴れ


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私事だが、この4月から単身赴任で名古屋在住となった。
4年前にも1年半の間、愛知に住んでいたことがあって、その時にいくつか鈴鹿の山々を登っている。
そして、東海地方での復帰戦に選んだのが 「霊仙山」 である。

霊仙山は鈴鹿山脈の最北部に位置する。
「花の百名山」に数えられており、花シーズンの開幕を告げるこの時期の主役は福寿草である。
例年だと3月末から4月初めが盛りのようだが、雪の多かった今年は開花が遅れている模様。
願ったり叶ったりのタイミングとなった。

今回、スタートとするのは米原に近い「榑ヶ畑登山口」である。
ここまでは醒ヶ井養鱒場から狭い林道を10分ぐらい走って到着する。
駐車スペースはあまり広くなく、10台分程度しかない。この日は、6時の到着時点で2台先着だった。
なお、下山時にはかなり下の方まで路駐の列が続いていた。


準備を整えて、6:20にスタート。
真っ直ぐに広い林道を進み、最初のヘアピンカーブから登山道に入る。
植林の森を10分ぐらい歩くと「山小屋かなや」が見えてくる。


分かりやすい看板があったので記録として。
今回は汗拭き峠から落合・今畑に向かい、西南尾根登山道で山頂に向かうルートを選択。


山小屋からは本格的な登りになって、10分で汗拭き峠。
ここから落合へはいったん下りとなる。降り始めはなかなかの急斜面だった。
ちなみに、このルート、現地に表示や規制線はなかったが、
米原市のHPには数年前の台風被害で通行止めと表記されていることを記しておく。


これが台風の爪痕。ルートはやや高巻きを迂回するので、問題なく通ることができた。


やがて沢が近づいて、ひとつめの徒渉。
過去のレポートなどを読むと水量によっては苦労することがあるようだ。
夜のうちは雨が降っていたのでちょっと心配していたけど、思っていたよりも楽に渡ることができた。


ふたつめの徒渉は水没した飛び石を使い、靴を半分ぐらい水に浸して通過。
もっと水量があるとやや苦戦するポイントかもしれない。


汗拭き峠から30分と少しで、廃村の落合集落まで降りてきた。
ここからは少し車道を行くことになる。
人気のない集落を歩くのは、あまり気持ちのいいものではなかったが、
神社などは手入れが行き届いている感じで、まだ完全に忘れられた場所という訳ではなさそう。


そして今畑登山口。ここからが本当のスタートも言える。


西南尾根コースを登り始める。
植林、廃村を抜けると、だんだんと自然林に変わって行く。
日差しがあれば、もっと透き通ったような緑色に見えるのだろうけど、それでも十分にきれいな新緑だ。


標高を上げていくと、鈴鹿の山らしい石灰岩が目立つようになってくる。


笹峠が近づくと視界が開けるが、あれれ、山頂方面はガスの中…。
天気は回復傾向のはずなので、青空を信じて登り続けるしかない。


近江展望台に向けて、なかなかの急斜面を登って行く。
風景は御池岳の方角だと思うが、霞で遠望は効かず。


やがて周囲は真っ白に…。基本、尾根通しでいいと思うが、ルートミスしないよう慎重に登って行く。
足下は岩々していて、歩きやすいとは言えない。 


風景を楽しむことはできないので、小さな花に励まされるように、ひたすら前へ進み続ける。


ネコノメソウもたくさん咲いていた。


そうして、今畑から1時間半ぐらいで近江展望台に到着。
しかし、当然のように何も見えない。晴れていれば、琵琶湖なんかが良く見えるのだろうけど…。


ここからは山稜に向けて稜線を辿るルートになるが、
実際の道(踏み跡)は稜線筋の少し下、東側の斜面にトラバース気味に付いていた。
それも錯綜しているものだから、ガスに巻かれている状況ではルート選択に注意が必要だった。

やや迷ったのは「南霊仙」とされる小ピークで、稜線がふたつに分かれるポイントである。
右手方向にやや下って行くのが正解だが、視界が効かず、なかなか確信が持てなかった。

そんな中、今回のお目当てである福寿草を発見。岩の間に小さく顔を出していた。


こちらは仲良く並んで。 
この透き通るような黄色の花は、癒しと元気をもらえる気がする。


岩々の稜線の北西側は灌木帯になっていて、
その中は足場に気をつけないといけないほどの大群生だった。


一生懸命に花を開こうとしている姿が愛くるしい。


寄り添うように咲いて。

 

逆光に透ける福寿草


灌木帯から出ると、これまで視界を遮っていたガスが晴れてきていた。
こういう稜線だったんだ。


今年は雪が多かったせいで、開花時期がだいぶ遅くなった。
茎が伸びて背の高い福寿草が多いのは、その影響かも知れない。


明け方までの雨のおかげもあってか、みんな活き活きと咲いているように見える。


この場を離れることが惜しく感じたが、切りがないので先に進むことにする。 
登ってきた西南尾根(何故、南西じゃないの?)を振り返るとこんな感じ。


東側の斜面は広く開けており、草原に木々が点在していてどこか牧歌的。
新緑や紅葉の時期に見てみたい風景である。


稜線の西側には、たおやかな曲線を描く霊仙山の山頂方面。 


ここまで来ると、もうきつい登りはない。
散歩気分で快適な山歩きを経て、霊仙山の最高地点まで目前。


10:20 霊仙山・最高点
福寿草の撮影に時間を掛けすぎたので、それほど疲れを感じないけど、いちおうの達成感。
少し早いけど、山頂方面が混んでいるのが見えたので、ここで昼食とした。


北側の眺望。伊吹山が頭だけ出していた。


鈴鹿方面の御池岳と藤原岳
あちらも福寿草で有名だけど、たくさん咲いているだろうか?


やたらアルペンチックな雰囲気の避難小屋と背景に伊吹山
昼食を取っている間に、ガスがだいぶ抜けて来た。


伊吹山を望遠で捉える。
これまでちゃんと意識して眺めたことはなかったと思うが、なかなかどっしりとしたいい山容だ。
雪ががっつりある時期に登ってみたい。


カレンフェルトらしい光景の広がる山頂部。


この開放的な山頂部の風景は、間違いなく霊仙山の魅力のひとつ。
何も知らずに登ってきたら、驚くだろうし、感動することだろう。


山頂の直下には、まだまだ大きな雪渓があった。


最高点から15分で山頂に到着。


山頂といっても、だだっ広い辺り一帯が山頂みたいなものだから、景色は代わり栄えしないが…。


多くの登山者で騒がしい山頂を早々に後にし、経塚山を経由して榑ヶ畑へ下山する。
このあたりもカレンフェルトらしくて好きな風景。


あちこちに穴(ドリーネ)が開いている。
もっと大きくて深いものもたくさんあって、落ちたら大変?


経塚山を振り返って、そろそろカレンフェルトも見納めとなる。


お虎ヶ池。色々と謂われがあるようだが、池自体はいたって普通。


 一気に下って樹林帯の中へ入る。


汗拭き峠に咲いていたスミレ。
福寿草以外はあまり花が咲いていなかったけど、色のある春はやっぱりいい。


山小屋かなやの周辺には、たくさんのミヤマカタバミ


山頂から1時間半で榑ヶ畑登山口に下山。
咲き誇る福寿草に、独特のカレンフェルト台地と、イベント性も高い霊仙山。
春先のトレーニングとしてもまずますの疲労感で、充実した山行となった。


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