稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

越後駒ヶ岳 - 試練の春山からもらったご褒美 (Day 2 ; 2015.5.2)

 

(1日目) 銀山平 → 道行山 → 越後駒ヶ岳 (駒の小屋 泊)
(2日目)  越後駒ヶ岳銀山平 (ピストン)

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翌朝4:50、小屋の窓から白々と明けて行く空を確認して外に出る。
薄っすら朝もやが掛かっているが、いい天気だ。風もなく、寒さもほとんど感じない。
小屋から少し斜面を登って太陽を待つ。


日の出まではもう少し時間があるが、周囲の眺望を楽しむには十分な明るさ。
こっちは平ヶ岳尾瀬方面。


双耳峰の燧ケ岳をアップで。
残雪の尾瀬ヶ原から見上げる至仏山と燧ケ岳の風景はいつか見てみたい。
翌年以降のゴールデンウィーク山行の上位リストに入っている。


越後の山々はあまり名前を知らなかったけど、いい山がたくさんありそう。
浅草岳や守門岳の方角も徐々に明るくなっていく。


ご来光は山の稜線からでなく、朝もやの中からだった。
静かに朝が始まって行く。


奥只見湖方面。
今日も荒沢岳はいい表情を見せてくれる。


駒の小屋は、朝の風景を楽しむには最高のロケーション。
昨日の夕暮れに続いて、この時間を独り占めできる最高の時間だった。


昨日、苦労して歩いてきた稜線がほのかに赤く染まっていた。
残雪期の朝焼けは堪らん。
前年は蝶ヶ岳から槍穂のモルゲンロートに感動したが、越後駒だって負けていない。


中ノ岳方面も少しだけピンク色になった。


すっかり陽が上がって、朝食の時間に。
今回のメニューは缶詰で簡単に。
鶏肉のアヒージョはフランスパンとの相性が絶妙だった。


朝食を終えて、準備を整えたら6:40。
駒の小屋、いい場所だった。また違う季節にも来てみたい。
下山する前にもう一度、山頂に行こうかとも考えたけど、雪が緩む前に出発することに。


とはいえ、雪はすでに柔らかくなってきていて、滑りながら急斜面を下りて行く。


昨日から気になっていた谷筋に向かう模様。
あとで調べてみると雨が流れた跡だそうだ。
なんだかアーティスティック。  


前日、あれだけ苦労した登りも下りはあっという間。どんどん越後駒が遠くなっていく。
名残惜しくて、何度も振り返りながら進む。


クラック地帯を避けるように入った夏道にカタクリを発見。


駒の小屋直下から続く谷には雪崩の跡が。 
時々、崩れていく轟音が響いていた。

 
今回のルートで緊張感があったのは、この小倉山のトラバース。
難しいということはないけれど、足元はかなり緩く、雪崩もちょっと心配。
トレースの先に見えるブッシュも、越えるのに地味に体力を奪われた。


道行山への稜線も端っこを歩くのは危険。


道行山手前のこのあたりからの越後駒がベストショットかな?
 それにしても、下りは本当に早い。
登りの1/3ぐらいのスピードで、昨日の苦労が嘘みたい。


遠くに見える中ノ岳。紅葉の季節に越後駒から縦走なんかできたら最高だろうな。
谷底に向かう斜面には芽吹いたブナの木が輝いているように見えた。


わずか1時間半ちょっとで道行山まで下りてきた。
山頂には、前日はまだ蕾だったアズマシャクナゲが咲きはじめていた。


雪原に続くトレースの向こうに荒沢岳


1064mピークの手前から夏道の付いている尾根を下る。
急斜面ではあるけど、前日登った尾根よりは全然楽だった。


祝日のこの日はたくさんの登山者が入っていて、向かいの尾根で苦労しているのが見えた。
トレースに導かれて(そういう意味では僕にも責任が…)、あちらを登っているんだと思うけど、
特に雪山は 情報収集とルート計画、地図読みが重要だと、改めて感じた。

北ノ又川まで戻って来た。
雪解け水を集めた清冽な流れが心地よい。


川沿いの林道を歩いて行くと…、前日にはなかった雪崩の跡。
麓に下りてきても油断をしてはいけない。ちょっと冷や汗。


最後は石抱橋まで戻らず、手前に見えた小さな橋を渡って少しだけショートカットして、
銀山平森林公園に戻ったのは11時前だった。
白銀の湯となりにある駐車場付近から越後駒ヶ岳が最後の一枚。


今回の初日の登りは、今までで一番きつかったかも。
だけど、春山の色んな表情を見ることができて、山から贈り物をもらったような気分。
また忘れられない山行がひとつ増えた。
(End)