稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

白馬三山縦走 - 心震える山旅、憧れの稜線を越えて (Day 1 ; 2015.8.7)

 

ルート :
(1日目) 栂池 → 白馬乗鞍岳 → 白馬大池白馬大池山荘 泊)
(2日目) 白馬大池 → 白馬岳 → 杓子岳 → 白馬鑓ヶ岳 → 天狗平 (天狗山荘 泊)
(3日目) 天狗平 → 鑓温泉 → 猿倉 

天候 : 3日間 ずっと晴れ!

 

詳細な山行記録は … ヤマレコ

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「この場所を歩いてみたい。」

NHKドラマ 『坂の上の雲』 のエンディング。
サラ・ブライトマンの歌声に乗せてバックに流れる山の風景。
天に続くような稜線に惹かれて、ここはどこなんだろうと検索してみる。
きっと海外だろうと思っていたのだけれど、意外や日本の北アルプス、小蓮華山という場所らしい。

その後の経緯はよく覚えていないけど、
自分の中で 「山に登ってみたい」 という気持ちが生まれるきっかけとなったのが、その映像だった。

そして今夏、憧れにも近いその稜線を歩くことができた。
2年前から計画していたのに予定と天気が合わず、やっと叶った悲願の山行。
これ以上にない天気に恵まれた3日間、最高の山旅となった。

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はじめて白馬岳に登るなら、やっぱり大雪渓からの人が多いに違いない。
でも、僕の場合、小蓮華山の稜線を辿って白馬の頂に立つというプロセスを大切にしたかった。
なので、大雪渓は次回以降にお預けとして、白馬大池経由のルートを選ぶことになる。

計画したルートはこうだ。
初日は栂池から入山して白馬大池に泊まる。
そして、2日目に白馬岳、杓子岳、白馬鑓ヶ岳と白馬三山を縦走して天狗山荘へ。
3日目は鑓温泉を経由して猿倉に下山。

8月最初の金曜日に有休を取って、白馬に向かう。
入山と下山の場所がが異なるので、車をどこに停めるかを考えなければならないが、
白馬の場合は八方を起点としてバス移動ができるから悩むことはない。

八方のバスターミナル最寄りの無料駐車場に着いたのは8時ちょっと過ぎ。
8:45の栂池高原行きのバスを狙っていたので、ちょうどいい時間だった。
20分ぐらいで栂池スキー場に着き、ここからゴンドラとロープウェイを乗り継ぐことになる。
ちなみに運賃は片道1920円で、なかなかいい値段…


この日の天気予報は晴れだったが、上の方はすでにガスが湧いているようだ。

ロープウェイを降りて車道を10分ぐらい歩くと栂池自然園のビジターセンター。
ここから登山道が始まる。
時刻は10時を回ったところで、ちょっと遅いスタートだが、
宿泊地の白馬大池までは3時間半かからないぐらいのコースタイムなので問題ない。


まずは展望の利かない樹林帯のジグザク登りが続く。
山に行く機会を逸して、ゴールデンウィーク越後駒ヶ岳以来の山登りなので、かなり体が重い…
まぁ、最初のひと登りが辛いのはいつものことだけど。

蒸し暑い樹林帯を黙々と歩き、1時間と少しで不意に天狗原の湿原に飛び出る。
進む先に白馬乗鞍岳が壁のように横たわっているのが見えるので、それに備えて小休憩。


お花もちらほら。イワオトギリかな?


タテヤマリンドウ?は淡い色。


天狗原の湿原を抜けると、白馬乗鞍岳に向かって、やはりなかなかの急登り。
体は悲鳴を上げるが、見上げた空は徐々に青空が支配的になってきて嬉しい。

 
安山岩の大きな岩塊がゴロゴロしてて、登れば登るほど大きくなっていく感じ。
足場はちょっと悪いので、雨が降ったりして濡れたら、いやらしいかも。
振り返れば眼下に天狗原が広がっていた。


岩塊帯の登りの最後には雪渓が登場。
距離は短いし、傾斜も緩いので、アイゼンとかは要らないレベルだった。
ひんやりとした風が吹き抜けて、心地良い。


雪渓を越えると広い山頂台地に出る。夏雲がいい雰囲気を作っていた。


平らな道を進み、ケルンのある白馬乗鞍岳の山頂が見えて来る頃、
前を歩いていた登山者が数人、立ち止まり集まっている。
なんだろうと思い、近づくと…


雷鳥出現! しかも、つがい? 若しくは親子?
登山道のすぐそば、手を伸ばせば本当に触れちゃうほどの距離にいた。(もちろん触らないけど)

実は雷鳥に出会うのは初めて。
かわいい、可愛すぎる。
この丸っこいフォルム。フサフサ、モコモコの羽根。そして、くりっとした目。
かわいい要素が満載すぎて、なんというか、萌えてしまった(笑)

そんな雷鳥との出会いにほっこりしながら、足取り軽く、山頂に到着。


ここは写真だけ撮って、急ぎ先に進む。
その理由は、早くこの風景を見たかったから…


目の前に広がるのは白馬大池
雪解け水をたっぷりと湛えて、水面は静かに時間が止まっているようで、
でも、背後の雲は湧き立って躍動していて、その静と動のコントラストが心を強く惹きつける。
本当はあの雲の向こうに朝日岳雪倉岳の稜線が見えるようだが、これはこれで良いかな。

池の畔を回り込んで対岸に見えている白馬大池山荘に向かう。
岩の道なので案外、時間が掛かる。


翌日、歩く予定の小蓮華山への稜線は、残念ながらガスの中。


13:25 白馬大池山荘
栂池自然園から本日の宿泊地、白馬大池山荘まで3時間半の行程だった。
それほど疲れを感じることもなく、明日以降に余力を残して1日目を終えることができた。


宿泊の受付で、
「今日は混みますよ。5人部屋ですが、10人入れるかも知れません。」と言われ、戦々恐々。
この時期の北アルプスって、平日でもそんなに混むのか…
と思ったけど、最終的には7人で、さほど窮屈さは感じず、快適に過ごすことができた。

時刻は13時半。今日の日はまだまだ長いけど、たまには何もしないでゆっくりするのもいいよね。
部屋に荷物を置いて、まずは小屋前でラーメン作って昼食。
そのあとは小屋の周りを散策。


蓮華温泉への登山道の両側が広大なお花畑で、すごいことになってた。


ここは楽園なのでは?
大好きなチングルマに覆い尽くされている。


時期的にチングルマはちょっと遅いかと思っていたが、嬉しい誤算だった。

 
チングルマのほかにも色んな種類の花がたくさん。
ミヤマキンバイ? 黄色系は相変わらず良く分からない…


ハクサンイチゲ


イワイチョウ


白馬大池の畔に向かうと、こちらでは綿毛になったチングルマが風に揺れていた。


ゆっくりのんびり山の時間を過ごして17時、白馬大池山荘の夕食。
カツカレーを期待していたけど、今回はハンバーグカレーだった。
でも、カレーは美味で、ついついお代わりし過ぎて、お腹が苦しい…


夕飯が終わったら、大池の畔でゆっくり。
夕焼け間近のこの時間帯は風が止んで水鏡の状態に。
昼間はガスに覆われていた小蓮華山の方もクリアに見えるようになっていた。


帯状の雲がゆっくりと大池の上を流れて行った。
岩に腰かけて、空と池に映ったその雲をただ静かに見送る。
何でもないけど、やっぱり山でないと過ごすことができない贅沢な時間だ。

時間とともに雲は少しずつ色付いて行く。
白馬大池から日没は見れないけど、きれいに焼けてくれた。


明日はいよいよ憧れの稜線へ。

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(1日目) 栂池 → 白馬乗鞍岳 → 白馬大池白馬大池山荘 泊)
(2日目) 白馬大池 → 白馬岳 → 杓子岳 → 白馬鑓ヶ岳 → 天狗平 (天狗山荘 泊)
(3日目) 天狗平 → 鑓温泉 → 猿倉