稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

御嶽山 ‐ 秋色に染まる御嶽、変わるものと変わらないもの

 
日程 : 2020.9.27(日) 日帰り
ルート: 黒沢口・中の湯 → 御嶽山・剣ヶ峰 → 二ノ池 → 三ノ池乗越 → 黒沢口・中の湯
天候 : 晴れ 時々 ガス
 
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もともとは小屋泊で鹿島槍に行くことを計画していた週末。
紅葉も見頃を迎えて楽しみにしていたのだが、天気が良くないので泣く泣くキャンセルに…。
しかし、日曜が晴れ予報に変わって、どこかに行こうとを決めたのは土曜の夕方。
下調べをする時間もあまりなく、なんとなくで決めたのは御嶽山である。

過去に御嶽山には二度、登っている。
初めは田の原から、二度目は濁河温泉から(この時は剣ヶ峰には未登頂)だった。
いずれもあの噴火より前のことだ。
今回は開田高原の黒沢口ルートを選んだ。

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黒沢口六合目の中の湯にしたのは5時半。
登山口そばの上の駐車場はすでに満車で、少し離れた下のスペースも間もなく埋まった。

5:45 中の湯(登山開始)
剣ヶ峰までは4時間のコースタイム。
余裕があれば、登頂の後、三ノ池まで足を延ばす計画でスタート。

200927 御嶽山 (1)

山岳信仰の山である御嶽山
道中、祠や仏像が点在している。
最初のお社に手を合わせて登りに掛かる。

200927 御嶽山 (2)

序盤からなかなか手強い登りが続く。
前日に降った雨のせいで水たまりや泥んこが多く、ちょっと歩きづらかった。
苔むした森の雰囲気は好きな感じ。

200927 御嶽山 (3)

スタートから40分で七合目の行場山荘。
ここでロープウェイ駅からのルートと合流する。
始発は7時半なので、登山のアクセスとしてはちょっと遅いかな。

200927 御嶽山 (4)

高度を上げて行くと色付いた木々も見られるように。

200927 御嶽山 (5)

すでに真っ赤に染まったナナカマドもあった。
背景の空もしっかり秋晴れで、いい一日になりそうな予感。

200927 御嶽山 (6)

八合目手前で間もなく森林限界を越える。
ここからが御嶽登山の楽しみの本番となる。

200927 御嶽山 (7)

7:15 八合目・女人堂
八合目・女人堂まで来ると大きく視界が開けて、山頂部を見通すことができた。
紅葉もいい具合に進んでいるようで楽しみ。

200927 御嶽山 (8)

振り返ると麓の方は雲海気味に。
全体的にガスは多めで、遠くの山々はあまり見ることができなかった。

200927 御嶽山 (9)

真っ赤なナナカマドの実。

200927 御嶽山 (10)

山頂方面はガスが掛かったり、抜けたりを繰り返している。
眺望が得られるかどうかはタイミング次第になるかも。

200927 御嶽山 (11)

八合目から登って行くと山肌に沿うように紅葉が現れる。
ハイマツの緑色とのコントラストがなんとも鮮やか。

200927 御嶽山 (12)

特にいい色のところを望遠で。
まだ少し早いかと思っていたが、ちょうどいい時期に来ることができた。

200927 御嶽山 (13)

紅葉を横目に見ながら、火山らしい岩の道を登って行く。

200927 御嶽山 (14)

今回もてるてる坊主のおかげでいい天気。
まあ、好天を選んで登っている疑惑もあるけど、この子たちの力と信じている 笑

200927 御嶽山 (15)

九合目の石室山荘とその上の覚明堂が大きく見えて来た。
登りとしてはこの区間が一番きつい。

200927 御嶽山 (16)

険しい岩稜線と紅葉。

200927 御嶽山 (17)

石室山荘は目の前なのだが、このあたりはなかなか距離が縮まらないような感覚だった。

200927 御嶽山 (18)

石室山荘を過ぎると周囲は荒々しい風景に。

200927 御嶽山 (20)

覚明堂(小屋としては休業)の前の鳥居をくぐる。
急な登りはここでひと段落といった感じ。

200927 御嶽山 (21)

二ノ池との分岐を過ぎて、山頂に向けて緩やかに最後の登り。
時折、ガスが速いスピードで目の前を通り過ぎて行く。

200927 御嶽山 (22)

最後の階段下に慰霊碑があり、手を合わせてから山頂に登る。

200927 御嶽山 (23)

8:55 御嶽山・剣ヶ峰
登山開始から3時間と少しで山頂に到着。
7年ぶり2度目の御嶽山・剣ヶ峰登頂である。

200927 御嶽山 (24)

周囲は薄っすらとガスが掛かっている状態。
その中、一ノ池の方を覗くと、ガスの中に白い虹が架かっていた。
なんだか幻想的な光景だった。

200927 御嶽山 (25)

帰ってから調べると「白虹」とか「霧虹」とか言われる現象らしい。
虹は太陽の光が雨に反射する時、雨粒がプリズムの役割をして七色に見えるけど、
雨粒よりも細かい霧に反射する場合は、光の散乱が起こって白く見えるそうだ。

しばらくするとガスが晴れて、広大な一ノ池の全体が見えてきた。

200927 御嶽山 (26)

前回来た時は一ノ池を取り囲む火口壁をお鉢巡りしたが、今は通行止めになっている。
山頂部全体に白い火山灰が降り積もっているのがわかる。

200927 御嶽山 (27)

さて、時間は十分に余裕があるので、予定通り三ノ池を見に行こう。
二ノ池方面に下って行く。
本来なら正面に北アルプスなどの山々が見えるはずだが、遠方は雲に覆われていて残念。

200927 御嶽山 (29)

左手に二ノ池。

200927 御嶽山 (30)

山頂から20分ほどで二ノ池の畔に降り立つ。
以前は少し緑色が混ざったような美しい青色の水を湛えていた二ノ池。
火山灰が池を埋めて、大きな平地ができていた。
どこか月面ようなイメージ。

200927 御嶽山 (31)

二ノ池山荘の前を通り過ぎたあたりにあった池の畔の鳥居。
前回に登った時も印象的で、よく覚えている。
まわりの風景は変わったけど、この鳥居は変わらずにここにあった。

200927 御嶽山 (32)

その時の写真を載せておこう。
2013年の同じ場所。
静まり返った水面が風とともに動き出し、それを繰り返す光景をしばらく眺めていた。
山行記事:御嶽山 - 雲上の極楽浄土へ (2013.6.23)

御嶽山_130623 (26)

何が好きで、何が嫌い、
何かが良くて、何かが悪くて、とかじゃなくて。
時は流れてて、変わるものと変わらないものがあって。

それは我々の日常も同じで。
少し山の話から逸れるけど、じゃあ、その中で自分はどう過ごそうかなって。

色々と思うところはあったけど、これが今の御嶽山
確かにあの噴火で御嶽山の風景は変わったけど、山は変わらずそこにあって、僕らと向き合ってくれている。

なんとなく、今日こうやって登って来て良かったなって、なんだかそんな風に思った。

200927 御嶽山 (33)

二ノ池を過ぎと現れた賽の河原は荒涼とした広大な大地。
独特な雰囲気があって、異空間といった感じだった。

200927 御嶽山 (36)

正面に見えるのは、外輪山である摩利支天山

200927 御嶽山 (37)

賽の河原に点在する岩々と草紅葉。
まるで造り込まれた庭園のようである。

200927 御嶽山 (38)

クロマメノキの紅葉が真っ赤。

200927 御嶽山 (39)

実もたくさんなっていた。
何個かつまみ食い。

200927 御嶽山 (40)

振り返ると壮大な御嶽山がそこにある。
こちら側から見る剣ヶ峰はどっしりとした山容で、存在感がすごい。

200927 御嶽山 (41)

10:10 三ノ池乗越
とりあえずの目的地である三ノ池乗越に到着。
白竜避難小屋の前の祠。

200927 御嶽山 (42)

その裏手にある小高いピークに登ると眼下に三ノ池が。
この風景を見たくて、ここまで足を延ばしたのだ。
湧き立つ雲がいい演出をしてくれている。

200927 御嶽山 (43)

ここで昼食タイムに。
カップ麺とお握りだけど、いちおう記録の写真。
こちらは行き交う人も少なく、静かに御嶽の風景を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごす。

200927 御嶽山 (44)

余裕があれば摩利支天山まで行こうと考えていたが、なんだかすごく満足してしまい、ここをゴールとした。
まあ、以前、濁河温泉から登っているので、いいかなと…。

200927 御嶽山 (45)

昼休憩を終えて、来た道を戻る。
賽の河原の石は整然と並んでいるように見えるけど、人為的に積まれたものなのだろうか?

200927 御嶽山 (47)

二ノ池まで戻ってきた。
前方には、まだまだ剣ヶ峰に登る人たちの列が見えた。

200927 御嶽山 (48)

覚明堂から急な斜面を下りる。
下界からガスが押し上がって来る。

200927 御嶽山 (49)

ガスの中では紅葉も映えない…。

200927 御嶽山 (50)

ただ、ガスの時間は長くは続かず、紅葉の斜面をもう一度、楽しむことができた。

200927 御嶽山 (51)

あとは淡々と下り続ける。
木の階段は滑りそうで神経を使った。
最後は膝が痛くなりペースが落ちてしまったが、14時に中の湯へ下山完了。

200927 御嶽山 (53)

最後に。
登ったのは噴火が起きた9/27だったが、特に意識したわけではなかった。
決めたのは前日で、このぐらいの時期だったなと思って調べたら、たまたまその日だったという感じ。
山頂の慰霊碑で亡くなった方々に手を合わさせていただいた。
下山途中、噴火の時刻に防災無線で黙祷があり、ここでもご冥福をお祈りした。
同じく山を好きでいられた方々に合掌。

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