稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

乗鞍岳 ー 秋色の溢れる位ヶ原、眩しいまでの紅葉を歩く

 

日程 : 2019.10.5(土) 日帰り
ルート: 畳平 → 乗鞍岳・剣ヶ峰 → 位ヶ原 → 三本滝レストハウス
天候 : 晴れ


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今シーズンの紅葉は白山に行きたいと思っていた。
岐阜側の大白川から登る平瀬道の紅葉が素晴らしいと聞き、夏過ぎから計画していた。
しかし、直前になって、大白川に至る県道白山公園線が工事で通行止めとの情報…。
もともと災害などで通行止めが多い道で、今回はそのまま冬季閉鎖にするようだ。

仕方なく代案で乗鞍岳に行こうということになった。
そして、結果的にはベストタイミングの紅葉となり、大正解の選択となる。

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代案となった時点でなんとなくお気楽モードになっていた。
乗鞍岳は「最も簡単に登れる百名山」なんて言われたりする。
その理由は山頂までコースタイム1時間半の畳平までバスやタクシーで登れてしまうからだ。

我々の山行計画は次の通り。
畳平からサクッと剣ヶ峰に登る。(個人的には積雪期に麓から登っているし、拘りなし)
そして、位ヶ原を経由して下山しながら紅葉を楽しむルートである。

今回は山頂から三本滝まで自力で下る計画なので、乗鞍高原観光センターは素通りして、エコーラインで三本滝まで上がる。
途中、乗鞍岳を望むことができた。
上の方はしっかり紅葉しているようで楽しみである。

191005 乗鞍岳 (1)

三本滝のレストハウス前から上は通年でマイカー規制となっている。
準備していると、ヒルクライムの自転車乗りたちが横を通り過ぎてゆく。
8:15のバスで畳平に向かう予定だったが、タイミング良く1台のタクシーが下って来た。
これは幸運と捕まえて、乗せてもらう。

191005 乗鞍岳 (2)

タクシーはぐんぐん高度を上げて、車窓からエコーラインの紅葉が見えるようになる。
なかなか綺麗な色付きで、この中を歩くのが楽しみ。

191005 乗鞍岳 (3)

運転手さんはサービス精神旺盛で、色々とおすすめの場所を教えてくれた。
すっかり観光気分で、労せず標高2700mの畳平に到着。
さすがに寒く、アウターを着込む。

191005 乗鞍岳 (4)

8:45 畳平(登山開始)
乗鞍岳の頂上・剣ヶ峰を目指して出発する。
山頂まではわずか300mのハイクアップである(苦笑)
周囲には早速、火山らしい風景が広がっている。

191005 乗鞍岳 (5)

夏はお花畑になる畳平は草紅葉が美しい。

191005 乗鞍岳 (6)

乗鞍はいくつものピークからなり、これは富士見岳。
しかし、今回の主目的はあくまで紅葉なので、サクッと最高峰の剣ヶ峰を目指す。

191005 乗鞍岳 (7)

ひと登りすると反対側の位ヶ原を見下ろせるようになり、眼下に紅葉の森が広がっていた。

191005 乗鞍岳 (8)

肩ノ小屋までは車も通れる砂利道を進む。

191005 乗鞍岳 (9)

小さな池は不消ヶ池で、いかにも火山ぽい地形である。

191005 乗鞍岳 (10)

摩利支天岳を回り込むと大きく剣ヶ峰が見えて来る。

191005 乗鞍岳 (11)

見下ろす左手には紅葉を縫うようにエコーラインが貫いている。
すでにたくさんのカメラマンや観光客が見える。

191005 乗鞍岳 (12)

簡単に登れてしまうとはいえ、風格を感じるようなどっしりとした山容の剣ヶ峰。

191005 乗鞍岳 (13)

疲れる間もなく肩ノ小屋に到着してしまう。

191005 乗鞍岳 (14)

剣ヶ峰口からはちょっと急な登りになる。
ここからの風景、積雪期に登って来た時のことを鮮明に思い出した。

191005 乗鞍岳 (15)

正面に見える朝日岳は左側から巻いて行く。

191005 乗鞍岳 (16)

高度が上がって来ると、背後には穂高槍ヶ岳が見えるように。

191005 乗鞍岳 (17)

眼下ではハイマツと紅葉が最高のコントラストを作っている。

191005 乗鞍岳 (18)

蚕玉岳あたりまで来るとハイマツもなくなり、荒涼とした風景に。

191005 乗鞍岳 (19)

カルデラ湖の権現池はなんだか神秘的。
ちょっと「君の名は。」の御神体をイメージする。
これまでほぼ無風だったのに、風の通り道のようで、ここだけすごい風が吹いていた。

191005 乗鞍岳 (20)

振り返れば、北アルプスの峰々が奥深く連なっている。
スタートから1時間でこの風景が見られるなら、乗鞍岳が人気なのも納得である。

191005 乗鞍岳 (21)

位ヶ原の紅葉の中を何台もバスが登って来る。

191005 乗鞍岳 (22)

蚕玉岳から山頂の剣ヶ峰までは、もうひと登り。

191005 乗鞍岳 (23)

下界は雲海で覆われているようだ。
写真だと分かりづらいが、雲の上には白山も見えていた。

191005 乗鞍岳 (24)

乗鞍本宮のお社が建つ山頂までもう少し。

191005 乗鞍岳 (25)

10:05 乗鞍岳・剣ヶ峰
スタートから1時間20分であっさり乗鞍岳最高峰・剣ヶ峰に登頂。
すごい人で山頂標識はちゃんと撮れず。

191005 乗鞍岳 (26)

それでは簡単に山頂からの眺望を。
大日岳(奥の院)と背後に均等の取れた御嶽山

191005 乗鞍岳 (27)

北アルプス方面の大眺望。

191005 乗鞍岳 (28)

権現池と雲海。

191005 乗鞍岳 (29)

山頂は混んでいるので、あまり長居はしないことに。
早々に、今回の山行のメインである位ヶ原の紅葉に向かう。

191005 乗鞍岳 (30)

朝日岳は登頂禁止だろうか?
ちゃんと確認しなかったけど、登っている人はいなかった。

191005 乗鞍岳 (31)

正面にコロナ観測所の白いドームが目立つ摩利支天岳を眺めながら。

191005 乗鞍岳 (32)

肩ノ小屋まで戻って来た。

191005 乗鞍岳 (33)

今回もてるてる坊主たちのおかげ?で、しっかり晴れてくれた。

191005 乗鞍岳 (34)

小屋から肩ノ小屋口に下り、位ヶ原へ。
ここからは登山者が一気にいなくなり、静かな乗鞍岳を楽しむことができた。

191005 乗鞍岳 (35)

ここから見上げる剣ヶ峰はなかなか格好良い。

191005 乗鞍岳 (36)

肩ノ小屋口に向けて高度を下げていくと、徐々に色付いた葉っぱが見られるように。

191005 乗鞍岳 (37)

真っ赤なウラシマツツジ

191005 乗鞍岳 (38)

11:35 肩ノ小屋口
エコーラインに出合う肩ノ小屋口まで下りて来た。
ハイマツの中、斜面に沿うように点在するナナカマドがきれいだ。

191005 乗鞍岳 (39)

車道沿いにあるここの紅葉のボリュームはすごい。
逆光なのが惜しいが、黄色と赤色のコントラストがいい感じ。
同じナナカマドなのに、ここまで色が違うのが不思議。

191005 乗鞍岳 (42)

車道を横切り、ここからは沢に沿って位ヶ原に下っていく。
入り口から期待感大である。

191005 乗鞍岳 (43)

沢の両側に鮮やかな紅葉が続く。

191005 乗鞍岳 (44)

紅葉は時期的にベストだろう。
赤色、黄色が素晴らしすぎて、自然と笑顔になってしまう。

191005 乗鞍岳 (45)

真っ赤に染まった何かの葉っぱがきれい。

191005 乗鞍岳 (46)

ここは庭園のようで、とにかく美しい空間だった。

191005 乗鞍岳 (47)

秋に陽に輝くナナカマド。

191005 乗鞍岳 (48)

ここの波が押し寄せるような赤とオレンジは圧巻だった。

191005 乗鞍岳 (49)

沢沿いなので、静かな水音をずっと聞きながら歩く。
心穏やかになり、めちゃくちゃ癒やされた。

191005 乗鞍岳 (50)

時間的に逆光になってしまい残念だが、ナナカマドの紅葉と乗鞍岳

191005 乗鞍岳 (51)

少し広くなった場所で、紅葉を眺めながらランチとした。
まずは、山友1の作った親子丼。

191005 乗鞍岳 (52)

山友2は明太子を使ったバゲットのオープンサンド。

191005 乗鞍岳 (53)

自分はジェノベーゼのパスタ。
最高の風景のおかげもあって、贅沢なランチタイムを過ごせた気がする。

191005 乗鞍岳 (54)

ランチの後は再び位ヶ原に向けて下り始める。

191005 乗鞍岳 (56)

再びエコーラインと出合ったところのナナカマド。
行きに乗ったタクシーの運転手さん一押しのポイントである。
色付きが最高の年だと、紫がかったよう濃い赤色となるそうで、それも見てみたい。

191005 乗鞍岳 (57)

まだ淡い色付きのナナカマドに真っ赤な実が映える。

191005 乗鞍岳 (58)

途中、てるてる坊主たちでちょっと遊んでみたり。
今回は山友の初号機も参戦で、合計3体のてるてる坊主。

191005 乗鞍岳 (59)

見上げたナナカマドと気持ちのいい青空。

191005 乗鞍岳 (61)

不意に視界が大きく開けて、そこで目に飛び込んできたのがこの風景。
ここまでは赤色が主役だったが、一転、見下ろす斜面一面が黄色に染まっている。
これはすごい。

191005 乗鞍岳 (62)

間違いなく、ここが今回の山行のハイライトだろう。
赤色も混ざって、秋色の密度が半端なく高い。

191005 乗鞍岳 (63)

この黄色はダケカンバのものだろう。
ちょっと心が震えるのを感じてしまう風景だ。

191005 乗鞍岳 (64)

自然とため息が出てしまう。
色の鮮やかさで言ったら、生涯最高の紅葉だったかも知れない。

191005 乗鞍岳 (65)

一枚一枚、噛みしめるようにシャッター切り続けた。

191005 乗鞍岳 (66)

眩しいまでの黄色の森に入って行く。

191005 乗鞍岳 (67)

針葉樹の緑色とモザイク模様みたいになっている。

191005 乗鞍岳 (68)

秋の高い青空に映える黄葉。

191005 乗鞍岳 (69)

エコーラインに出て、位ヶ原山荘へ向かう。

191005 乗鞍岳 (70)

14:00 位ヶ原山荘
三角屋根が目立つ位ヶ原山荘。
山荘前のバス停ではそこそこ長い列ができていた。
僕らは三本滝まで自力で下るのでスルー。

191005 乗鞍岳 (71)

写真では道路の真ん中を歩いてしまっているが、結構自転車が下って来るので注意が必要。

191005 乗鞍岳 (72)

冷泉小屋(休業中)の前に、すごい勢いで湧いている泉。
飲んでみると少し鉄っぽい味がした。

191005 乗鞍岳 (73)

三本滝が近づくと足元はフカフカの快適路。
下り中心の山行とはいえ、疲れてきた足に優しく助かる。

191005 乗鞍岳 (74)

そのまま乗鞍高原まで下るルートと別れ、三本滝に向かう。
途中にはきれいな沢が。

191005 乗鞍岳 (75)

三本滝へはメインルートから5分ぐらい寄り道となる。
そこそこ疲れてきたが、せっかくなので立ち寄ることに。
三本のうち一本は写真に写っていないが、なかなかいい雰囲気の滝で来てよかった。

191005 乗鞍岳 (76)

最後は少し登り返しがあって、息が上がった状態で三本滝レストハウスにゴール。

今回は何といっても位ヶ原の紅葉だった。
大賑わいの乗鞍岳山頂から、静かな紅葉の中へ。
序盤はナナカマドの赤が中心で、後半はダケカンバの黄色に変わり、色んな紅葉を楽しめた。
素直に感動してしまう風景がたくさんで、またひとつ忘れがたい山行が増えた、そんな感じ。

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