稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

大岳山 - 海沢渓谷から、滝めぐり、花めぐり (2016.4.16)

 

ルート : 白丸駅 → 海沢探勝路 → 大岳山 → 御岳山ケーブルカー
天候 : 晴れ 時々 曇り


詳細な山行記録は … ヤマレコ

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昨年の9月、赤岳からの下山中に捻挫して、それ以来、半年ぶりの山登りである。
足自体は2週間ぐらいで日常生活に問題はなくなっていた。
しかし、仕事がめちゃくちゃ忙しくなってしまい、それに伴って心の余裕もない…
って感じで、自然と山から足が遠のいていた。

でも、山に登りたいって気持ちは冷めたわけでなく、
そろそろ歩き始めないと夏シーズンに間に合わなくなるので、とりあえず近場の奥多摩で復帰戦!

以前から歩いてみたかった海沢渓谷から大岳山へのルート。
下山は御岳山からケーブルカーを使って楽ちんする周回コースである。

車で現地入りして、この周回を達成するには、色々と公共交通機関を駆使する必要がある。
まず、JR青梅線御嶽駅に車を置いて、電車で移動。
山を歩いて、ケーブルカー、バスと乗り継いで、御嶽駅に戻ってくるわけである。

御嶽駅の周辺にはいくつか駐車場があって、
御岳橋・右岸の無料駐車場を狙っていたが、あいにくの満車。(10台も置けないぐらいのスペース)
少し駅まで歩かないといけなくなるが、第二候補に考えていた御岳苑地駐車場に向かった。
こちらはなかりの台数を停めることができ、料金は1日800円。
ちなみに、ケーブルカー駅からバスで戻って来る時は、「檜沢」バス停が目の前なので参考まで。


ここから歩いて御嶽駅へ移動。
多摩川沿いに遊歩道があり、橋も見えたので、そちらに向かったが、
最後、川面から駅までは急な階段を登ることになるので、おススメはしない…
素直に車道を歩いて、御岳橋を渡る方がきっと楽である。

10分ちょっとで御嶽駅に到着し、ここから電車で白丸駅に向かう。
座席に余裕はあったが、登山客がたくさん乗っていた。


乗車時間20分で白丸駅に到着。他に降りた者はいなかった。
ここから今回の山行がスタート。


とは言っても、登山道の始まる海沢園地までは、長い道のりが待っている。
まずは駅から国道に出て、奥多摩駅方面に少し歩くと、数馬峡橋が現れる。
これを渡って、多摩川沿いの遊歩道を行くが、特に見どころはなし。


15分ぐらい歩いた先の海沢集落は分岐が多く、どちらに行けばいいか、ちょっとわかりづらかった。
奥多摩駅の方向を示す道標は付いているが、海沢園地はどっち?
とりあえず、上に見える道路に出て、城山トンネルの方へ。
その先は、このアメリカキャンプ村の看板に従って行くといい。


トンネルの手前で脇道に入り、海沢園地まではここからまだ1時間、舗装路を歩かなればならない。
道脇にはヤマブキがたくさん咲いていた。


バブル期を連想するネーミングのアメリカキャンプ村(施設は新しく、繁盛していそう)を通り過ぎると、
こんな感じの古めかしいトンネルが出てくる。
ヘッドライトは要らないが、ひとりだと少し心細いので、歌を唄いながら通過(苦笑)


車道歩きがだんだん辛くなってくるが、山の自然は間近に感じられるようになり、少し癒される。
ところどころに山桜が咲いており、新緑とのコントラストがきれいだった。


道から見えた、なかなか立派な滝。沢音がずっと聞こえるのも救いかな。


8:50 海沢三滝
そんな感じで、白丸駅からたっぷり1時間半掛かって海沢園地に到着。結構疲れた…
ちなみに海沢は「うなさわ」と読む。
ここから3つの滝を巡って行くので楽しみ。


ちなみに、今回歩いた大岳山に続くこのルートは海沢探勝路と名前が付いている。
現地の案内板では悪路と表記されていたり、山と高原地図でも破線となっているが、
結果から言ってしまえば、特に危険な箇所もなく、普通の登山道といった印象であった。
滝めぐりを楽しみつつ大岳山に登れる、むしろ強くおススメしたいルートである。

スミレの群生に見送られてスタート。


ん? 海沢四滝? 三滝じゃないの?
よくわからなかったが、ルートは新緑の森の中に進んで行く。


歩き始めからなかなかいい森だった。
沢沿いにはかわいらしいニリンソウが咲いていた。


歩き始めてすぐに、ひとつ目の滝である「三ツ釜ノ滝」が現れる。
3段で落ちる滝は水量も豊富で迫力があった。


滝壺に近づくと、いわゆるマイナスイオンがたっぷり。
朝の空気と一緒になって、清々しい気分。


滝の上段ではミツバツツジが彩りを添えていた。


三ツ釜ノ滝を後にして、次の滝を目指す。
急な階段を登って行くと、さっき見えていたミツバツツジが近くに。


10分ちょっと歩くと、ふたつ目の「ネジレノ滝」が近づいてくる。
案内図にある “二枚岩の乗越し”は、一瞬、ここを行くの?と思うけど、
近づくとステップが切ってあって、難なくクリアできる。

この大きな岩に隠れるようにあるのが、このネジレノ滝である。
写真ではそれほど大きくは見えないかも知れないが、実際には結構な大きさがある。
両側にそびえ立つ岩壁の間を左右に絶妙ともいえる線形で捻じ曲がる水流。
上段の滝壺は見えておらず、おそらく岩の空洞のようになっているのであろう。
そこで水音が反響して、迫力を感じる。
苔むした大岩に囲まれた幽玄な雰囲気もあって、なかなか秀逸な滝だと思う。


最後の滝、大滝へは来た道を少し戻ってから、急なつづら折りを越えて行く。
この探勝路は沢沿いよりも高巻いている箇所が多く、
途中、まったく沢音が聞こえなくなることもあるので、ルートが間違ってないかちょっと不安になる…

登山道の本線から外れて、大きく下って現れた大滝。
せっかく三脚を担いで来たので、休憩を兼ねてじっくり撮影タイム。
この滝もいい。


滝の傍らに、ハナネコノメソウを発見。
ただ、時期としては遅く、赤い雄しべはすでに散ってしまっていたのは残念。
それでも、水沫を浴びて可憐に咲く様に、なんだかキュンとしてしまった。


滝壺をアップで。ここも苔がいい雰囲気を作っている。
奥多摩って、川苔山の百尋ノ滝とかの大きな滝もそうだけど、
小さな沢の流れさえも、どれもがほんとに画になって、毎回、楽しませてくれる。


個性ある滝たちが集まる海沢渓谷は、なんとも清々しい場所だった。
紅葉の時期とか、また別の季節にも来てみたくなった。

滝を堪能したら、大岳山に向かう。
新緑のシャワーが気持ちいい。


春山恒例、新しい芽吹きを陽にかざして。
この透明感のある若葉色が大好き。


大滝から戻って来た場所にある道標には「悪路」の文字。
ちょっと身構えていたけど、特に危険な箇所はなし。
道もそれなりに踏まれているので、よっぽど迷うことはないように思う。


岩陰に寄り添って咲くスミレ。


沢を徒渉する。このありは、もののけの世界みたい。
このルートで間違う可能性があるとすれば、ここぐらいかな。
写真でいうと左上に上がっていく。(赤リボンあり)

 
作業用モノレールに沿って歩いていくと、こんな山奥にもわさび田があった。
水がきれいなんだろうな。緑色が眩しい。


沢を離れると、植林の中を一気の急登。半年ぶりの山登り、これには足が止まる…。
休み休みで、自分でもちょっと嫌になるくらいの鈍足ペース。 


大滝から1時間45分掛かって、大岳山~鋸山の縦走路に出た。
ここまでほとんど人に会わなかったが、
まあまあ往来があって、奥多摩駅方面から来る人、向かう人の姿がある。
縦走路からの入り口は木で塞がれて(?)いた。
途中、新しい道標もあったので、通行止ではないと思うが、あんまり人を入れたくないのかな?


ここまで来れば大岳山までもう少し。
穏やかな道かと思っていたら、ちょっとした岩も越えて行く。


12:10 大岳山・山頂
そして、大岳山・山頂に到着。たくさの登山者で賑わっていた。
やはり御岳山方面から来る人が多いようだ。
ちなみに奥多摩三山とは知らなかったけど、他は御前山と三頭山らしい。 


眺望は南向きだけだが、なかなかの開放感である。
ただ、春霞が出てしまっていて、視界はクリアではなかった。
もう少し早い時間なら富士山も見えたかも知れない。
西側の端に見えていたのは御前山。今年はカタクリ、たくさん咲いているだろうか?
一番奥は大菩薩嶺っぽい。


昼食の後、御岳山方面に向かって下山開始。
大岳山荘(休業中)までの下りは、難しくはないけど岩場が続く。


大岳神社を抜ける。大岳山は御岳山とともに山岳信仰の山。


大岳山荘を過ぎると、少し岩場も出てくるけど、雑木林の中を進む快適なトレイル。
まだ春には早いようで、ちょっと殺風景ではあるが。
このあと、ロックガーデンに向かう。


芥場峠にはカタクリが咲いていた。今回のルートで見かけたのはここだけ。 


芥場峠から緩やかに下って行くとロックガーデンの入り口。
このあたりは御岳山からそう遠くないので、ハイキングコースとして整備されている。
観光客や小さい子連れファミリーの姿も。


最初に現れるのが綾広の滝。
滝行も行われるようで、どこか神聖な空気感を感じる場所だった。


落差は10メートルほどで、滝としては小ぶりであるが、なかなかいい。
苔むした岩に囲まれた滝は幽玄な雰囲気に包まれている。 


綾広の滝から続く沢沿いを歩く。
春が進んで新緑が色濃くなれば、もっと気持ちのいい空間になるだろう。


ロックガーデンには、随所で春の花を見ることができた。
これは、ネコノメソウの仲間ぽいけど?


ユリワサビかな?


ムラサキケマンかな?


ハナネコノメソウが花束みたい。
春の花は小さいものばかりで、マクロレンズが欲しくなってしまう。


これは? ミツバコンロンソウ? 自信なし。


こっちがミツバコンロンソウ? 同じ花かな?
花の名前は難しい…


天狗岩から七代の滝に向かう。急な階段が続いて、一気に下って行く。
ちなみに、七代の滝から御岳山にはそのまま行けるルートがあるのに、
勘違いをしてここを登り返すことに…  (案内板にもちゃんとルートが書いてある)


ガクガクの膝で下ってきて、今回の滝めぐりの最後、七代の滝。
立派な滝をたくさん見てきたせいか、ちょっと微妙…。
しかも写真、ピンボケてるし。(ごまかすために、ちょっと加工)


ミスルートで回り道して、武蔵御嶽神社に着く頃にはヘトヘト。
御岳山の山頂はこの上だけど、かなり疲れているのでパス。
神様に怒られそうだが、ここでお参りとさせていただいた。


最後は宿坊の並ぶ集落を抜けて、ケーブルカーの御嶽山駅に到着。


タッチの差でケーブルカーを乗り逃した…。
15分後、16時の便に乗って、無事に下山。


ケーブル駅からバスで駐車場に戻って、久々の山行は終了。
距離的にも、時間的にもなかなかきつく、疲労感たっぷり。
それでも、やっぱり山はいいな。
とりあえず、今回はしっかり歩けたことに満足感でいっぱいだった。