稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

三峰山 - 霧氷の咲く森に (2014.1.11)

 

ルート :  みつえ青少年旅行村 → 三峰山・八丁平 → 新道峠 (周回)
天候 : 曇り 山頂付近 小雪

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2014年、初登りは霧氷が有名な三峰山(みうねやま)へ。

関東に住んでいた僕には今まで馴染みのない山。
地図を見ると奈良と三重の県境に続く高見山地に位置しており、
イメージ的には南の方なので、ここで霧氷がというのはちょっと意外に感じた。

山頂に広がる八丁平と呼ばれる場所。
その写真には、青空のもと広々とした樹氷の森が広がっていた。
これを見たら、行かずにはいられなくなった。

前日、ウェザーニュースのサイトを見たら近くの曽爾高原で雪が降ったようで。
道路が心配だったけど、登山口のある“みつえ青少年旅行村”まで積雪、凍結はなし。

ちょうど初日の“霧氷まつり”の幟が立つ駐車場から山頂付近を見上げると
しっかりと白くなっていて、これは霧氷が期待できそうだ。
ただ、ガスっぽくて、雪が降っているかもしれない。風も強そう。


はじめは舗装された林道。
途中、登山ルートは二手に分かれるが、不動滝コースに進む。
杉林の中をしらばく進むと鳥居が現れる。


その先にあるのが不動滝である。
なかなか立派な不動滝は、寒い冬には結氷するようだが、残念ながら凍っていなかった。
しかし、滝行も行なわれるという信仰の滝は、冷たい空気とともに凛とした雰囲気だ。


滝の上には小さな祠があった。


不動滝を過ぎると雪の量が増えてきて、杉の木も雪なのか、霧氷なのか、白くなっていた。
まだアイゼンはなくて大丈夫。


少し急になった斜面を1時間ぐらい登ると、もうひとつの登山ルートである登尾コースと合流。
ここにある避難小屋の手前で一気に雪が増えて、足元が滑り出したので、軽アイゼンを着ける。

 


ここから山頂に向けて、いよいよ“霧氷の森”がはじまる。
霧氷のトンネルが続いている。


雪が積もっているせいか、木までの距離が近い。
頭を下げて通らないとぶつかってしまうところも。


見上げれば枝にびっしりと。


まだ登山者は少なく、静かな霧氷の森。
空はガスが覆っていて青空がないのは残念だが、繊細で美しい風景だ。


どこまでも続く白い世界。
森の中は風もなく、時間が止まったかのように凍てついた木々の中を歩く。


やがて、トンネルを抜けるみたいに視界が開けると三峰山の山頂である。
曽爾高原を見下ろすことができるはずだが、何も見えない…
小雪も舞っていた。


それでも、時折、ガスが流れて薄く太陽の形が見えるので、
晴れてくることを期待しながら、楽しみにしていた八丁平に向かう。

途中、赤い実(ナナカマド?)がフリーズドライに(?)
モノクロの冬の山に、貴重な色のある写真となった。


山頂から林の中を下って行くと不意に八丁平に飛び出した。


緩やかな斜面を埋め尽くす霧氷の木々。
望んだ青空と霧氷のコントラストは叶わなず、残念ではあるが、ありのままの冬の山の姿。
ここまで登ってきたからこそ出会うことのできた風景を楽しもう。


水墨画の世界みたいで、これはこれで好きな風景。


ただ、八丁平は風の通り道のようで、雪煙とともに、激しい寒さに襲われる。
防寒対策はしっかりしたつもりだったが、じっとしていると、すぐに指先が冷たくなる。

それでも、上空はガスが流れているので、青空を期待して少し待ってみることにした。

八丁平のシンボルツリーといわれているツツジの木。
その後ろで雲が切れて、眩しい陽が差し込んできた。


陽が当たると霧氷の白さが輝いていく。


でも、この日はここまで。30分ぐらい粘ったが、結局、青空を見ることはできず。
すぐにまた次の雪雲がやって来て、景色も霞んでいく。


そろそろ寒さに耐えられなくなってきたので、ここで下山開始。
帰りはちょっと遠回りになるけど新道コースへ。
こっちも霧氷のトンネルが続いていた。


ブナの木を見上げれば、ガラス細工のように繊細な霧氷が空を覆っている。


静まり返った冬の森。
こちらのコースはまだトレースが薄く、足元の雪はフカフカで、歩くのがなんだか楽しい。


標高を下げて来たからか、いつしか空は待望の青空に。


やっぱり空が青いと霧氷の白色が映える。
そして、風が木々を揺らせば、キラキラと光り輝いて見えるのだ。

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枝先に付いた霧氷を観察してみる。
一定方向に氷が成長しているのは、やはり風のせいなのだろうか?


八丁平からゆっくり霧氷を楽しみながら歩いて、1時間で新道峠だった。
雪原のキャンバスに伸びる木々の陰影が印象的な風景。


新道峠からは一気に高度を下げていく。
途中、景色が開けるところがあり、倶留尊山など曽爾高原の山を望むことができた。


あとは舗装された林道に出て、旅行村に戻った。
霧氷まつり初日ということで、嬉しいことに野菜汁の振る舞いが行なわれていた。
具だくさんで美味しく、何より冷えた体が温まった。ご馳走様です。