稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

燧ヶ岳&尾瀬ヶ原(Day1)- 梅雨の空にも、ワタスゲは風に揺れて

燧ヶ岳&尾瀬:山登りの記録

 日程:2012. 7. 13 - 14(2日間;小屋泊)

 天候:(1日目)曇り,(2日目)雨 のち 曇り

 

コースタイム

 1日目

 尾瀬御池 6:50 → 熊沢田代 8:40 - 9:00 → 俎嵓 10:05 - 10:30

 → 柴安嵓(燧ヶ岳山頂)10:45 - 11:30 → 見晴 14:20(尾瀬小屋 泊)

 登山時間:7時間30分

 

 2日目

 見晴 5:00 → 牛首分岐 6:45 → 東電小屋 7:40 - 8:30 → 温泉小屋 9:10

 → 燧裏林道分岐 10:00 → 上田代 11:40 → 尾瀬御池 12:20

 登山時間:7時間20分

Introduction:ニッコウキスゲを求めて尾瀬を目指す

会社の創立記念日+3連休初日を使って尾瀬へ。

尾瀬と言えば、♪ 遥かな尾瀬~(夏の思い出)が真っ先に頭に浮かぶだろう。

あの歌に登場するのは水芭蕉であるが、7月の尾瀬といえば、ニッコウキスゲである。

しかし、事前情報だと例年より1週間ぐらい遅れ気味のようで、どんな感じだろう?

 

尾瀬と一緒に登りたい山がもうひとつ。

尾瀬ヶ原の東側に位置する燧ヶ岳である。

燧ヶ岳はその噴火による川のせき止めで尾瀬ヶ原を誕生させた(尾瀬の成り立ちはまだ完全に明らかにはなっていないみたい)火山である。

山頂に至る途中にはいくつか湿原があり、その風景が楽しみである。

 

燧ヶ岳と尾瀬ヶ原の周回となると、神奈川からだとちょっと遠いけど、起点は桧枝岐の御池がいい。

1日目は燧ヶ岳から見晴に下って1泊。

翌日に尾瀬ヶ原を巡った後、裏燧林道を通って御池に戻る計画である。

 

天気予報では2日間とも青空は望めそうにないけど…

深夜1時半に神奈川を発って、土砂降りの首都高、東北道を北上。

栃木に入ったあたりで雨は上がって、御池への到着は6時半前だった。

 

御池は尾瀬沼に向かう最短ルートの沼山峠へシャトルバスが発着しており、大きな駐車場がある。

燧ヶ岳への登山口でもあるが、梅雨時の平日だと、さすがに閑散とした雰囲気だった。

ワタスゲ揺れる広沢、熊沢田代

6:50 尾瀬御池(登山開始)

雨は降っていないが、どんより曇り空の中スタートとなった。

 

数分で燧裏林道と道を分けると、いきなりの急登。

雨に濡れた岩や泥濘が多く、少し難儀したが、順調に高度を稼いで行く。

 


最初に出会った花はイワカガミ。

 

 

きつい登りを終えると、不意に広々とした広沢田代に出た。

静かな湿原に伸びる木道をゆっくりと行く。

 


このワタスゲも楽しみにしていた風景のひとつ。

穏やかな風に、ワタスゲが優しく揺れる木道。

なんだか気持ちまで優しくなれる風景が、そこにあった。

 


ワタスゲ以外には、タテヤマリンドウも。

小さな花だけど、曇り空の下でも鮮やかに映える青色が印象的な花。

渦巻き模様の蕾もかわいい。

道は再び樹林帯の急登を越えて行く。

途中、振り返ると、さっき歩いてきた広沢田代が下に見えた。

その向こうの山は霞んでしまっているが、あの平らな山頂部は会津駒ヶ岳だろうか?

 


そして、もう少し登っていくと、燧ケ岳の登場である。

 

天気はギリギリ雨が降らずに持っている感じ。

8:40 熊沢田代

坂を登り切ると、今度は広々とした熊沢田代に飛び出した。

木道がなんとなくフォトジェニックな風景。

燧ケ岳を正面に、雨に濡れてしっとりとした緑色の草原の中、緩やかな曲線を描いて抜けていく木道。

青空だったらなぁ。

とも思うけど、その瞬間にしか触れることのできない風景なのだから大切にしよう。

なんて、山に登ると思える。

 


ふたつの大きな池塘の間にベンチがあって、そこで小休憩。

平日っていうのもあるけど、ここまで誰とも会わず、静かな時間。

木道の傍らには、チングルマの綿毛が揺れていた。

この綿毛、”果穂”というらしい。

時期的に、花には出会えないかなと思っていたけど、少しだけ残っていてくれていた。

 


ここからは、山頂に向けて、再びの急登。

ワタスゲの丘の下に、さっき通ってきた木道。

秋には黄金色の草紅葉になるんだろうなと想像すると、また来たくなる。

 


山頂下の沢には、まだ雪渓があった。

雪が腐っていてアイゼンなどは必要なかったけど、息が上がる…

 


雪渓を登りを終えて、もうひと踏ん張りすると双耳峰である燧ケ岳の片方のピーク、俎嵓の山頂に到着。

 

残念ながらガスで下界を見ることができなかったが、となりの柴安嵓をガスがどんどん通り抜けていくので、そのうち視界が開けそうな予感。

結構、風が強く、花たちも少し寒そう。

自信がないけど、ミヤマキンバイかな?

黄色の花は似ているものが多くて自信なし…

尾瀬ヶ原を見下ろす燧ヶ岳山頂

10:05 燧ヶ岳・山頂(柴安嵓)

俎嵓から一度、少し下って、柴安嵓に登り返すと、予想通りガスが晴れてきた。

尾瀬沼を見下ろして、霞んでいるけど、その向こうには日光白根山

 


西側には、広大な尾瀬ヶ原が広がり、その先には至仏山がある。

 


尾瀬ヶ原の中を真っ直ぐに続く木道が見える。

明日はあの道を歩くのだ。

山の中にこんな大きな平地があることが、ちょっと不思議に感じた。

 


昼休憩の後、見晴に向かって下りはじめる。

 

見晴までおよそ1000mの下り。

見晴新道は石の多い急斜面がずっと続き、歩きやすい道ではなかった。

最初はいい眺望だけど、すぐに樹林帯に入ると、あとはひたすら下るのみ。

心が折れそうになった…

 

 

尾瀬小屋にて、初めての山小屋泊

14:20 見晴

ペースが上がらず、3時間ぐらい掛かって、なんとか見晴にたどり着いた。

今晩の宿は尾瀬小屋。

山小屋に泊まるのはこれが初めてだったが、平日で空いていることもあり、個室に泊まることができ、快適そのもの。

 


夕飯までまだ時間があるので、尾瀬ヶ原を少し散策。

振り返るとどっしりと燧ヶ岳が聳えていた。

 

 

ニッコウキスゲはポツポツ咲いている程度だったけど、十分にキレイ。

明日はたくさん出会えるだろうか?

 


小屋に戻り、夕飯前によく冷えた至福の一杯を。

 

 

尾瀬小屋の夕飯。

どのおかずも美味しかったが、気になるのは “謎の葉っぱの天ぷら” 。

肉厚だけど柔らかく、風味も良くて美味だった。

正体が気になる。

葉っぱの正体を聞いてみれば良かった。

明日は天気が心配であるが、ニッコウキスゲ尾瀬ハイクが楽しみ。

早朝移動の分も含めて疲れが出て、今夜は早めに布団に入った。

 

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<参考>

・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)

 

尾瀬小屋:見晴に位置する山小屋。見晴には全部で6軒の山小屋あり。