稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

竜ヶ岳・雨ヶ岳 - 新緑萌ゆる候、五月晴れの富士見登山

f:id:masa_o-chiku:20220404232024j:plain

竜ヶ岳&雨ヶ岳:山登りの記録

 日程:2012. 5. 13(日帰り)

 天候:晴れ

 

コースタイム

 本栖湖キャンプ場 7:35 → 石仏 8:30 → 竜ヶ岳 9:10 - 9:25 → 端足峠 9:50 

 → 雨ヶ岳 10:55 - 11:55 → 端足峠 12:45 → 端足峠入口(本栖湖畔)13:30

 → 本栖湖キャンプ場 14:10

 登山時間:6時間35分

Introduction :富士山を眺めるためにある山

唐突だけど、何月の富士山が一番好きかと問われたら、5月と答える。

どこか手頃な山の上から富士山を眺めたいなぁと思って探したところ、見つけたのが天子山塊の北のはずれにある「竜ヶ岳、雨ヶ岳」だった。

竜ヶ岳は正月のダイヤモンド富士で有名なのだが、新緑の季節も良さそう。

竜ヶ岳だけだと山歩きとしては少し物足りなさそうだったので、お隣の雨ヶ岳とのセットで登ることに。

 

登った感想としては、とにかく 富士山を眺めるためにあるような山 だということ。

 

今回は竜ヶ岳を越えて雨ヶ岳で折り返しているが、車2台とかで行けるなら、その先に続く毛無山まで稜線を辿って、朝霧の “ふもとっぱら” に降りるのもいいかと思う。

できるだけ長く富士山を眺めていたい、そんな風に思える山なので。

さっそく富士山と対面する

7:35 本栖湖キャンプ場(登山開始)

まずは竜ヶ岳に向けて、本栖湖畔のキャンプ場からスタート。

駐車場から見上げる空は、まさに五月晴れ。

これなら富士山の眺望も期待できそう。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405001342j:plain

 

キャンプ場の敷地内を何度か曲がりながら進み、登山道が始まる。

少し登ると気持ちのいい新緑の道となった。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405001815j:plain


それ程きつくない斜面をひと登りすると、早々に富士山の登場である。

ただし、ここでは木が邪魔していて、まだ完璧な姿ではない。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405002358j:plain

朝の時間は逆光もきつい。

やがて樹林帯を抜けて、笹原の混じる開けた道に変わる。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405223306j:plain

 

そして、振り返ると、楽しみにしていた富士山の大展望。

まだ太陽の位置が低く、逆光で写真映えはイマイチだけど、実際には美しい姿であった。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405223609j:plain


小さな社にお地蔵さんのいる“石仏”というところに出ると、たおやかな山容の竜ヶ岳が目の前に。

f:id:masa_o-chiku:20220405223844j:plain

ちょっと平ら広場になっており、休憩には最適な場所。

石仏からは山の斜面をジグザグに登って行く。

振り返れば、西湖とその背後に三ッ峠山、黒岳、節刀ヶ岳などが連なる御坂山地が見える。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405224353j:plain

 

高度が上がるにつれて遮るものはどんどんなくなり、富士山の眺めもいっそう良くなる。

写真を撮ってばかりでペースが遅いけど、気にしない。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405224957j:plain

 

本栖湖から登って来る別の登山道との分岐あたりでは、富士山とは反対側の展望も。

本栖湖を見下ろし、その奥に八ヶ岳金峰山、奥秩父方面の山々が良く見渡せた。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405225045j:plain


八ヶ岳を望遠で。

f:id:masa_o-chiku:20220405225156j:plain

この季節、雪はもう少ないようだ。

竜ヶ岳山頂にて、富士山と南アルプスの大展望

9:10 竜ヶ岳・山頂

本栖湖方面との分岐から山頂へは10分ちょっと。

スタートから1時間半ぐらい、それほど疲れることもなく竜ヶ岳に到着した。

広くて平らな山頂からは当然、富士山。

思いっきり逆光だけど…

 

f:id:masa_o-chiku:20220405225700j:plain

 

山頂は西側の眺望も素晴らしい。

甲斐駒あたりから北岳を越えて赤石岳聖岳まで、残雪の南アルプスが一列に並んでいる。

f:id:masa_o-chiku:20220405230155j:plain

すべては写真に納まり切らないスケール。

少し休憩した後、最終目的地の雨ヶ岳に向かう。

ふたつ並ぶピークは左が高デッキ、そして、右がこれから目指す雨ヶ岳。

バランスが取れていて、なかなか美しい山容である。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405231047j:plain

 

芽吹いた新緑の向こうに、北岳間ノ岳農鳥岳白峰三山

いつかはあの稜線を歩いてみたい。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405231420j:plain


雨ヶ岳へは一旦、端足峠に向けて、まずまず下って行くことになる。

下りは勿体ない気分になってしまうが、眺めはなかなかで足取りも軽い。

f:id:masa_o-chiku:20220405231610j:plain

 

笹原を抜けて樹林帯に入ると、清々しい春の息吹。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405232806j:plain

 

この道も新緑が鮮やかだった。

こんなに気持ちのいい青色があるのかって思える5月の空と眩い若葉色。

 

f:id:masa_o-chiku:20220405232926j:plain


端足峠の手前から雨ヶ岳を見上げる。

山頂へは500mのハイクアップになる。

f:id:masa_o-chiku:20220405233046j:plain

山頂に向けて新緑のグラデーションになっている。

端足峠からはなかなかの急坂となる。

途中、少しだけ木々の間から本栖湖が見えるぐらいで、展望もほとんど得られないので、ここは我慢の登り。

 

f:id:masa_o-chiku:20220406224609j:plain


みっちり1時間登り続けると、不意に樹林帯を抜けて、空が近くなった。

山頂はもうちょっと。

 

f:id:masa_o-chiku:20220406224644j:plain

雨ヶ岳から五月晴れに映える富士の山

10:55 雨ヶ岳・山頂

そして、登り着いた雨ヶ岳の山頂。

視界が開けているのは富士山側だけだが、とにかか素晴らしい景色の一言。

ダケカンバと思われる木がいいアクセントになっている。

 

f:id:masa_o-chiku:20220406224951j:plain

 

富士の裾野に大きく広がる朝霧高原を見下ろす。

笹原を渡って吹き上げてくる風を両手で受け止めるように深呼吸。

ただただ、気持ちのいい時間である。

 

f:id:masa_o-chiku:20220406225129j:plain


富士山をアップで。

5月は雪の残り方がいい感じで、これが好きな理由かな。

 

f:id:masa_o-chiku:20220406225221j:plain


お昼休憩をしていたら、いつしか南側から富士山に雲が押し寄せて来ていた。

でも、それはそれでいい風景。

 

f:id:masa_o-chiku:20220406225403j:plain


雨ヶ岳、思っていた以上に、いい山だった。

f:id:masa_o-chiku:20220406225831j:plain

シンプルだけど、山頂の看板もなんかいい。

たっぷり1時間ほど休憩した後、下山に掛かる。

最高の天気の中、この山に登れた幸運に感謝しないと。

 

f:id:masa_o-chiku:20220406230134j:plain


当初の計画だと竜ヶ岳に登り返して下山するつもりだったが、同行者が「足が終わった…」と言うので、端足峠から本栖湖畔に降りるルートを選択。

ここも新緑の森を抜けて行く、気持ちのいい道だった。

 

f:id:masa_o-chiku:20220406230328j:plain

f:id:masa_o-chiku:20220406230415j:plain

若葉を透かして見れば。

ガレた沢まで下れば、本栖湖まではもう少し。

 

f:id:masa_o-chiku:20220406230857j:plain


最後は本栖湖畔の車道を40分ぐらい歩いて、出発したキャンプ場にゴール。

 

f:id:masa_o-chiku:20220406231628j:plain

 

疲れた足にアスファルトの道はきつく、最後はバテバテになってしまった。

だけど、そんなことを忘れるくらい、抜けるような5月の空と富士山が心に焼き付いている。 

 

竜ヶ岳に登ったら、ぜひ雨ヶ岳まで足を延ばしてみて欲しい。

登りごたえはあるが、静かに雄大な富士と向き合いたい人には、間違いなくおすすめできる山である。