稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

金時山 - 初登山は金太郎の山へ

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金時山:山登りの記録

 日程:2011.8.11(日帰り)

 天候:曇り(ガス)

 

コースタイム

 足柄峠 林道終点 9:50 → 金時山 10:50-11:20 → 足柄峠 林道終点 12:10

 登山時間:2時間20分

Introduction:山登りをはじめる

本当は北アルプス、八方尾根から唐松岳を歩くはずだった。

でも、紆余曲折あって、箱根の金時山を目指すことになった初めての登山。

 

山登りをはじめようと思った動機は写真である。

それまでも、新緑や紅葉を被写体にして、高原歩きやいわゆるトレッキングをしていた。

 

その中でよく出会うのが、『この先は登山装備が必要です』と書かれた看板なのだ。

その先にどんな景色があるかは、ネットやガイドブックで知ることができたので、僕はいつしか、“その看板の先”に憧れのような気持ちを持つようになった。

 

まずは形から、という訳でもないけど、ちゃんとした靴とザックを買った。

早朝、家の近くの湘南海岸を散歩して、靴慣らしもした。

最初の山としては、少しレベルが高いかなとも思ったけど、花がいっぱい咲いているというアルプス入門の山、唐松岳に決めて準備をしていた。

 

そんな矢先、どうもカメラの調子がおかしい…

 

一番の目的が山の写真を撮りたい、だったから、とりあえず唐松岳はキャンセル。
練習として、近場の箱根、金時山に登ることにしたのだった。

 

ちなみに、何故かカメラが一時的に直った?ので、この記事の写真は例のカメラで撮っている。結局、あとで修理に出すことになったが。。

いざ金時山

朝起きると、天気は曇り空。

昼ぐらいからは晴れ予報になっていたから、だらだらと8時に家を出る。

 

東名の大井松田から近づいて来る山を望むと、上の方はガスってるようだった。

これじゃあ、富士山の眺望は難しいかも知れない。

 

もともとの予定では、足柄峠の麓、 美味いうどん屋(帰りのお楽しみ)があることで有名な地蔵堂に車を停めて登りはじめるはずだった。

しかし、スタートが遅れたので、足柄峠から南に折れた林道の終点まで一気に行ってしまう。

ここからだと、山頂までコースタイム1時間。

 

… なんだか、初回から気合がまったく入っていない。

 

9:50 足柄峠南側 林道終点(登山開始)

なにはともあれ、準備を整えて出発。

はじめは、なだらかな林道歩き。

すぐに“標高850M”の看板があって、山頂が1213mだから、 400mぐらい登ることになるのか。

 

正直、このぐらいは余裕だと思ってたけど…

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森の中に続く道は霧に包まれていた。こういう風景は好き。

道中、花が多いってことはないけど、 ところどころに咲いていて、写真を撮りながら進む。

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20分ぐらい歩いて、いよいよ本格的な登りがはじまった。
いっそう森は深くなって、前日の雨に濡れた木々が瑞々しい。

 

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足柄駅方面に下る分岐のところで“金太郎”に出会った。

 

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金時山は金太郎伝説の山で有名である。

しばらく行くと、目の前に古い鳥居が現れた。

 

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霧はいっそう深くなり、その白さの中に浮かび上がる鳥居は凛とした雰囲気。

本当の登りはそこからだった。

岩と階段の混ざる急坂を一歩一歩、踏みしめて登っていく。

 

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ここで一気に息が上がる。

息を整えようと立ち止まると、 そこから再び歩きはじめるのが、なんと辛いことか。

低い山だからと、舐めて掛かっていた自分を少し悔いた。

初登頂はガスガスの中

10:50 金時山

したたり落ちる汗を何度も拭い、上がらない足を懸命に進めてなんとか頂上に。

歩きはじめてちょうど1時間。

わかってはいたけど、山頂からの眺望は真っ白で何も見えず。

 

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2軒の茶屋の間をすり抜け、崖に迫り出す岩の上に座って、息を整える。

そして、確かな達成感と充実感を感じていた。

それは、アルプスの山々と比べたら、小さな山であるかも知れないけど、今、この瞬間は、それはどうでもいいことになった。

 

晴れていれば、きっと目の前に富士山が迫り、箱根の山々も眺めることができるのだろう。

麓から次々と雲が登ってきて、目の前を通り過ぎて行く。

 

座ったそばには、名前を知らない花が雫をたたえて揺れていた。

 

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花の名前も少しずつ勉強していこう。

天気が回復する見込みもないので、ちょっとだけチョコレートを食べて、下山開始。

下りはやっぱり楽ちん。

登りでは辛く、足元ばかり見ていたから、気がつかなかった風景が見えてくる。

例えば、こんな立派な木が、空を覆っていたこととか。

 

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途中、金太郎さんに登頂を報告。

そこからはダラダラとした下りだったけど、そこで地味に体力を奪われた。

 

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最後は、まだ昼過ぎだというのに「カナカナ」と鳴くヒグラシの合唱に迎えられた。

このちょっとした登り返しを越えれば、駐車場に到着するはず。

 

その先に待っているのは、憧れのアルプスの稜線だ、

 

なんて一瞬思ったけど、

今日は麓で、美味いうどんが僕を待っている。

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地蔵堂の「足柄古道万葉うどん」にて。

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<参考>

・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)

 

・ 足柄古道万葉うどん:足柄峠のふもと、地蔵堂にあるおすすめのうどん屋