御前山:山登りの記録
日程:2012. 5. 1(日帰り)
天候:曇り 時々 雨
アクセス
駐車場:小河内ダム(→ 奥多摩湖バス停)→ バス(奥多摩駅行):境橋バス停
※ 御前山登頂後、小河内ダムに下山して周回コースに。
コースタイム
境橋バス停 8:40 → 栃寄沢 登山口 9:00 → 奥多摩都民の森 トチノキ広場 10:00
→ 御前山 11:25-12:00 → 惣岳山 12:15 → サス沢山 13:10 → 奥多摩湖 小河内ダム 14:10
登山時間:5時間30分
Introduction:新緑とカタクリの花を目当てに
御前山は大岳山、三頭山とともに ”奥多摩三山” と呼ばれる山のひとつである。
「花の百名山」の中では、カタクリの咲く山として推薦されている。
例年だとGWはカタクリの見頃としてはすでに終盤だが、今年は遅れているようなので、ちょうどいい時期かなと期待を持って出掛けた。
加えて、登りのルートに使う栃寄沢の新緑も楽しみのひとつ。
クルマは小河内ダム湖畔の駐車場に停めた。
御前山登山のルートは奥多摩湖から登って、奥多摩都民の森経由で境橋のバス停に下る場合が多いようであるが、僕たちは逆ルートを取ることにした。
奥多摩湖の空はどんより曇りで、雨が降ったりやんだり。
天気予報は悪くなかったのだが…
まず、誰も乗っていない上りのバス(奥多摩駅行き)で境橋のバス停へ。
このバス停は橋の上にあって、覗き込むと新緑が綺麗だった。
新緑の溢れる栃寄沢
8:40 境橋バス停(登山開始)
境橋から奥多摩都民の森に向かって林道を登って行く。
雨はとりあえず大丈夫そうである。
林道を歩きはじめると、まずはヤマブキに出会う。
20分ぐらい歩き、林道がヘアピンカーブで大きく登っていくところから登山道へ。
栃寄沢沿いのルートが始まる。
わさび田を横目にしばらく歩くと、道は新緑の中に入って行く。
ところどころに巨木があって、頭の上から瑞々しい新緑が降り注いでくるような。
雨上がりのおかげで、いっそう輝いて見える。
そんな巨木の根本を見れば、小さく可憐なニリンソウも。
誰かが「もののけの世界」と言ってたっけ。
そんな雰囲気の中、苔と沢音が心地よい山歩きだった。
”ひとりずつ渡って下さい”
少し頼りない感じで、結構ドキドキした。
ちょっと珍しい構造の滝があった。
手前に並んだ大岩が流れを隠し、その全体を見ることはできない。
滝壺に落ちる水音が反響して、なんだか不思議な空間だった。
栃寄沢はそれほど大きな期待をしていた訳でなかったのだが、新緑の美しさは嬉しい誤算だった。
ひと際、存在感のある巨木にも出会った。
雑木林を歩いていくと、ふと森が開けて、その真ん中に根を下ろす大きな木。
トチノキだと思うのだが、どうだろう?
上の方の幹が枝分かれしていて、独特の雰囲気というか、何とも言えぬ風格があった。
この木の周りは、空気が凛と張りつめている感じで、でもどこか温かい。
また会いに行きたくなる木だった。
新緑の森はまだまだ続く。
新緑の葉っぱって、この透明感が好き。
小さな花、そして新緑色の森。
季節がめぐって、またここで新たな生命が始まっていく。
生きる力で満ち溢れている感じ。
そんな季節に、この場所を歩けたことは、それだけで幸せな気持ちになれた。
雨に濡れるカタクリも愛おしく
栃寄沢を抜けて都民の森のトチノキ広場を過ぎたあたりから、お目当てのカタクリが見られるように…
しかし、この天気では(ポツポツ雨も…)、ほとんどの花は閉じたまま。
そんな中、頑張って少しだけ開いてくれていた花もあった。
このあたりまで登って来ると、木々の芽生えもまだなし。
雨も降ってきて、淡々と山頂を目指す。
11:25 御前山・山頂
最後の登りはけっこう急で、それなりに疲れを感じながら御前山の山頂に到着。
晴れていれば富士山も見えるようだが、ガスガスで当然、何も見えなかった。
山頂付近はカタクリの数も多かったが、結局、しっかりと花が開いている姿は見られず。
この天気では仕方ない。
でも、雨粒に濡れても健気に咲く姿、なんだか愛おしく感じてしまう。
雨の大ブナ尾根を下る
ランチ休憩後、奥多摩湖に向けて下山を始めると、しっかりとした雨に…。
雨具を着て、大ブナ尾根を下っていく。
大ブナ尾根の上部は広くなだらかな下り。
雨は嫌いだけど、霧に煙る風景や雨粒を抱える木々の芽吹き、これは嫌いじゃないかも。
サス沢山では奥多摩湖の眺望が得られた。
このあたりで雨は上がったので、雲を被っていたのは山の上の方だけだったのか。
ここから先、奥多摩湖に向けての最後の下りはロープ付きの急坂。
疲れた足にはかなり堪え、一気に膝にきた…。
最後はダムの上を通って、無事にゴール。
栃寄沢の新緑は一番いい時期に歩けたかも知れない。
個性的な巨木もたくさんあり、ぜひお薦めしたいのコースである。
カタクリはちょっと残念だったが、雨の中、伏し目がちに咲くかのような姿は、それはそれで可愛かった。
ちなみに、途中、避難小屋で会った登山者の話だと、この年は花自体の数が少なく、ちょっとハズレだったようだ。
いずれまたの機会に、今度は元気に春を謳うカタクリに会いに来よう。