稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

藤原岳 - 花盛りの孫太尾根を登って、福寿草に会いに

藤原岳:山登りの記録

 日程:2022. 4. 9(日帰り)

 天候:快晴

 

コースタイム

 孫太尾根登山口 6:40 → 丸山 7:45 → 草木 8:25 → 多志田山 9:15

 → 藤原岳 10:00 - 11:00 → 多志田山 11:55→ 草木 12:15 → 丸山 13:00

 → 孫太尾根登山口 14:00

 登山時間:7時間20分

Introduction:花いっぱいの孫太尾根から藤原岳

このシーズンは雪山を休んでしまったので、5ヶ月ぶりの登山。

新緑にはまだ早いので、春の花を探しに行こう、で、選んだのは鈴鹿藤原岳

 

藤原岳石灰岩の山。

山頂部は広々と開けており、石灰岩の浸食でできたカルスト台地が特徴的な風景を作っている。

代表的な登山ルートはふたつ。

三岐鉄道西藤原駅付近を起点とする大貝戸道(表道)と聖宝寺道(裏道)がある。

これ以外にも山頂に至るルートは豊富で、以前の山行では木和田尾から大貝戸へ周回した。

 

今回は南東側に伸びる孫太尾根を登る。

数年前までは破線ルートだったが、近年になって整備されたようで、人気になっている。

道中は春の花で溢れるらしい。

その花たちの中で、今回の主役となるのは福寿草である。

孫太尾根、足元を彩る春の花

登山口を目指して青川沿いに車を走らせると、正面に登る孫太尾根が見える。

藤原岳の山頂は一番奥に少しだけ見えるピークがそれだろう。

 

 

孫太尾根だが、駐車場が少々厄介である。

新町集落の外れに登山口があり、そのそばの墓地の空きスペースが便利だが、どうにもキャパ不足。

そんな中、「喫茶マイハウス」という古民家カフェが地主さんと協力して、春限定で店の前に臨時駐車場を開設してくれている。

ここをありがたく使わさせてもらった。

 

その駐車場の前は、ちょうど桜が満開だった。

 

 

原っぱにはヤギが放牧されていて、しっかりポージングしてくれた(笑

 

 

「マイハウス」は古民家カフェ&雑貨店で、地元猟師のジビエ料理もやっているらしい。

下山後、駐車場のお礼に寄りたかったのだが、この日は営業していなかった…

民家の庭先を抜けて孫太尾根へ。

 

 

6:40 孫太尾根登山口(登山開始)

10分ほどで正規の登山道(墓地前の登山口のすぐ先)に合流した。

序盤からしっかり標高を稼いで行く。

 

 

ひと登りして孫太尾根に乗ると、鈴鹿らしい石灰岩の風景が現れる。

 

 

青川の向こうに竜ヶ岳と藤原岳を結ぶ県境尾根が見える。

帰りは県境尾根の治田峠から青川へ下ることも考えたが、数年前の豪雨で荒れて通行止めになっているとのこと。

 

 

本日最初の花はタチツボスミレ

朝陽を浴びて気持ち良さそう。

1時間でたいぶ登って来た。

桑名方面だと思うが、逆光で眩しい。

 

 

丸山でちょっと休憩。

孫太尾根には真新しい看板が随所にあり、ルート上に不安はなかった。

 

 

丸山を過ぎると一気に花が増える。

まずはミスミソウ(雪割草)。

四方に伸びていて元気。

これはミノコバイモで、絶滅危惧種だそうだ。

花の内側の方が斑紋が濃い。

下向きに控えめに咲く姿が可愛らしい。

ヒロハノアマナは、なんかハワイ語みたいな名前(笑

 

 

孫太尾根に新緑はまだない、木々の間から青空が覗いて気持ちのいい山登り。

 

 

向かいの山肌は石灰石の採掘でこのような姿。

自然と文明の対峙、と言っては大袈裟だろうか。

こんな形でも山の恵みをもらっているんだな。

 

 

木々が開けて藤原岳の山頂が見えた。

まだまだ距離はある。

 

 

孫太尾根はいくつかピークがあって、数ヶ所では巻き道が付けられている。

どのピークも眺望があるわけではないが、行きはなんとなくすべてのピークを踏んで行くことに。

 

 

「草木」はそのピークのひとつ。

ちょっと面白い名前だが、由来は字の通り「草や木がたくさん生えている」ってことなのだろうか??

 

 

明るい尾根道を行く。

 

 

多志田山に近づくとまだ残雪があった。

木々の間から藤原岳のピークも見える。

 

 

存在感のあったブナの巨木。

新緑を待って、今は力を蓄えている感じ。

 

頭上には宿り木。

多志田山の登りに掛かる前の穏やかな尾根道。

新緑や紅葉の時期にも歩いてみたくなる道である。

 

小さな小さな芽吹き。

多志田山から藤原岳、春を謳う福寿草たち

9:15 多志田山

スタートから2時間半で多志田山に到着した。

藤原岳の手前、最後のピークで、ここで県境尾根と合流となる。

 

 

ここで小休止。

最近のお気に入りはナッツとじゃがりこトレイルミックス

 

 

多志田山からは少しだけ雪道を歩く。

雪山シーズンを休んでしまったので、久しぶりの雪を踏む感覚がなんだか楽しい。

 

 

藤原岳に向けて、もうすぐ最後の登りを迎える。

遠目から見ると結構きつそう。

でも、あの斜面で福寿草が待っている。

 

 

登りに入るとセツブンソウを発見。

小さくて可憐な花だ。

 

 

そして、石灰岩の混ざる急斜面を登って行くと…

 

 

いよいよ福寿草の登場である。

春の陽を浴びて輝くように咲く福寿草

やっぱりこの黄色には元気をもらえる気がする。

 

身を寄せ合うように咲く姿が可愛い。

横顔も素敵。

みんなで上を向いて、春を謳う。

まだ少し眠たい感じ?

最後にてるてる坊主と記念撮影。

色んな表情の福寿草に出会えて、なんだか温かい気持ちになれた。

 

 

藤原岳山頂、広々と続くカルスト台地

福寿草の咲く急斜面を抜けて、眺望が開ける。

背後には竜ヶ岳と、そのさらに奥には御在所岳や雨乞岳の姿が。

 

 

この石灰岩の斜面を登り切れば、山頂のカルスト台地が待っている。

 

 

山頂部に乗り上げると、広々と平らなカルスト地形が続いていた。

遠くの眺望は春霞で見えなくて、ちょっと残念。

 

 

藤原岳のピークにたくさんの人が見える。

孫太尾根はそれほどでなかったが、圧倒的に大貝戸から登って来る人が多い。

 

 

10:00 藤原岳

スタートから3時間半で藤原岳に登頂した。

看板の背景には御池岳が見える。

 

 

山頂は人が多いので、少し先まで進んで昼休憩とすることに。

正面は藤原山荘方面に広がるカルスト台地

 

 

その奥には霞んでしまっているが、伊吹山

 

 

御池岳と天狗岩を見渡せるこの場所でランチにする。

ちなみに天狗岩の方がこちらよりも標高が30mほど高く、藤原岳の最高点になっている。

 

 

腰を下ろそうとしたら、周囲には可愛らしいセツブンソウが咲いていた。

踏まないように気をつけないと。

 

 

本日のメニューはサラダチキンとネギの参鶏湯(サムゲダン)。

写真では見えていないけど、もち麦も入れている。

市販のスープを使ったが、めちゃ美味しかった。

 

デザートは春なので苺大福。

下山の孫太尾根、春の花を見つけながら

昼休憩の後、ピークに戻って下山開始。

県境尾根はところどころ残雪が見えていて、今シーズはかなり雪が多かったようだ。

いつか竜ヶ岳からのルートを繋いでみたい。

これから下る孫太尾根を見下ろして。

 

 

再び福寿草の群生地に。

急斜面で頑張って咲いている。

少し寝坊してしまった、みたいな福寿草

福寿草に混ざって、ヒロハノアマナたちも。

なんか ”五戦隊” みたいに、きれいに隊列を組んでいた。

 

孫太尾根は “難路” と記されているが、整備が進んで特に危険な場所はなかった。

花がたくさんで、春はおすすめのルート。

 

 

藤原岳に別れを告げて。

 

 

帰りは予告どおり?巻き道をふんだんに使って、少しでも楽をする。

花を探しながら行こう。

 

起きかけのミヤマカタバミ

ミヤマカタバミヒロハノアマナの競演。

タチツボスミレの群落があった。

セントウソウ。小さすぎて、ピントを合わせるのが難しい。

スハマソウ?かな。

ミヤマカタバミ

丸山を過ぎて、あとは淡々と下る。

5ヶ月ぶりの登山で、だいぶ足と膝がやられている…

 

 

カタクリが少しだけ。

ヤマザクラ

3時間で「マイハウス」前の駐車場に帰還した。

綺麗に咲くしだれ桜が出迎えてくれて、今回の山行はお終い。

 

あとがき

孫太尾根はまさに花盛り。

随所で春の小さな花がたくさん咲いていた。

主役の福寿草は、寄り合い咲く姿、上を向いて春を謳うような姿、どれも可愛くて元気を分けてもらえた。

 

大貝戸からのルートよりも静かで、花いっぱいの孫太尾根。

ぜひ春の藤原岳登山におすすめしたい。

 

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<参考>

・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)


・ マイハウス(MY HOUSE):カフェ、ジビエ料理、雑貨などを扱うお店。春には登山者向けに臨時駐車場を開放してくれている。