稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

藤原岳 - 福寿草に会いに行く (2013.4.13)

ルート : 木和田尾 → 天狗岩 → 藤原岳 → 大貝戸コース
天候 : 晴れ


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2013年、春。
一年間の予定で仕事の取引先に出向となり、単身赴任で愛知県に引っ越してきた。
これをチャンスとばかりに、山に登りまくろう…
というわけにはいかないないけど、
折角なので、こちらからの方が行きやすい山に、できればたくさん登りたいと思う。

今回は初見の鈴鹿山脈
位置関係とか山のレベルで考えると、神奈川の場合の丹沢にちょうど良く似たポジションの山域。
春先の足慣らしに適当そうな山がたくさんあるが、福寿草を目当てに藤原岳に登ることにした。

藤原岳登山のメインルートは神武神社をスタートとする大貝戸道で、
その上部に福寿草の群落があるとのこと。

ただし、この時期、人が多そうなので、山と高原地図では破線になっているけど、
木和田尾(尾根でないの?)から登ることにした。
ここから県界稜線に出て、天狗岩へ。ネット情報だと、このあたりの福寿草にも期待ができそう。

車を306号線沿いの藤原簡易パーキングに止めてスタート。
空を見上げれば良く晴れていて、いい山歩きになりそう。


白瀬峠登山口から木和田尾に上がろうと思っていたが、
調べるとやや荒れているようなので、中電の鉄塔巡視路を使ってみる。
登りはじめから杉林の中を急登。
踏み跡はそれなりにしっかりしているし、木や石にたくさんマーキングがあり、不安は感じなかった。

最初の鉄塔を抜けると、明るい雑木林に変わり、木和田尾に乗っかる。
まだ芽吹きには早い木々の間から、これから歩く稜線を見ることができた。


木和田尾は開けていて、いい感じの尾根。これからの新緑や紅葉の時期も良さそう。
ここまで誰にも会わず静かな山歩き。


登りはじめて1時間半ほどで、坂本谷への分岐に到着。(坂本谷ルートは土石流で通行禁止)
ここからは白瀬峠(白船峠)へのルートでなく、頭陀ヶ平への鉄塔巡視路を行くことにした。

マーキングは少なくなり、残雪があったこともあると思うが、やや道がわかりづらかった。
特に、中電の管理小屋(?)から先は何度かルートを見失った。
ただ、空を見上げれば高圧電線があるので、それを頼りに登れば問題ない。


頭陀ヶ平の鉄塔で県界稜線に立つと御池岳が良く見えた。


ここから天狗岩への稜線歩きは、なかなか良い雰囲気だった。
薄っすらと雪があり、雪の残り方を見ると、前日に降ったのかも知れない。


やがて鈴鹿北部の特徴である石灰岩が目立つようになる。
このあたりが福寿草を期待していた場所のはずだけど…


ここで、この日初めて人に会い、福寿草はどうだったか尋ねると、
天狗岩のあたりは全然咲いていないとのこと…
残念ながら、まだ早かったみたい。
大貝戸道にはたくさん咲いているそうで、そちらを楽しみにすることにした。

天狗岩へは藤原山荘に続く道から分岐して、少し寄り道する形になる。
なかなかの展望が開け、風もそれほどなく、気持ちのいい陽気だった。


これから向かう藤原岳の展望丘は、もうそれ程、遠くはなさそう。


もと来た道を戻って、藤原山荘に向けて進路を取ると、雪解けでドロドロの中を進むことになる。
でも、そんな道の傍らには、残雪の中からコバイケイソウの芽吹きが。


やがて日当たりのいい場所に出たので、目を凝らしながら歩いていると…
やっと見つけることができた。
お日様を見上げるように咲いていて、小さく可愛らしい福寿草


山荘が近づくと、カルスト地形特有のカレンフェルトの風景が広がって来る。
草原に白い石灰岩が点在する風景はちょっと不思議な世界に感じた。


カレンフェルトの向こうに藤原岳(展望丘)。
大貝戸道と合流する山荘まで一度、緩く下って、そこからは笹原の中を最後のひと登り。


ここでも泥んこと格闘しながら山頂(展望台)へ。


頂上からはやや霞んでいたが、なかなかの眺望。
初見の鈴鹿山脈。どの山が見えているのか、さっぱりわからない(苦笑)
竜ヶ岳あたりだろうか?


こちらは御池岳方面。
手前の右端には、さっき立ち寄った天狗岩も見えている。


早めのランチ休憩の後、楽しみの福寿草を目指して下山開始。
目の前には穏やかな曲線を描く広い山頂部が広がる。


藤原山荘を過ぎて大貝戸道に入ると、すぐにたくさんの福寿草が。
しっかりと群生してくれていた。


春の陽射しを浴びて、黄色い花が光輝いていた。
唄うように。寄り添って。

 


下界の眺望もなかなか良く、楽しい下山。


まだまだ続く、福寿草の群落。
これはなんだかスマート。


仲良く並んで。


みんなで背伸びするように。


少し歩いては写真を撮り、なかなか進まないが、楽しみにしていたので。
色んな表情の福寿草を見ることができて、思わず頬がほころんでしまう山歩きとなった。


福寿草の群落が終わると、残りの下りは泥濘と滑りやすい岩で、最後は結構疲れた。
登山口まで降りて、お疲れ様。といいたいところだが、
まだ簡易パーキングまで2kmの車道歩きが残っているんだった…