稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

大川入山 - 笹原を駆ける羊たちは、どこに逃げた?

大川入山:山登りの記録

 日程:2020. 12. 20(日帰り)

 天候:晴れ 時々 風強い

 

コースタイム

 治部坂高原 7:35 → 横岳 8:40 → 大川入山 10:30 - 11:55

 → 横岳 13:30 - 13:40 → 治部坂高原 14:30

 登山時間:6時間55分

Introduction:”羊の群れ”が駆ける霧氷の山

まだ12月なのに最強クラスの寒波が襲来した2020年。

平地でも高速道路の立ち往生など、大変なことも起きていたが、山的には雪不足の心配がなさそうなシーズンの始まり。

足慣らしということで鈴鹿に行こうと思っていたが、冬型の気圧配置で雪が降りそう。

強い風が吹く予報だったので、以前から気になっていた大川入山へ向かった。

 

大川入山は「阿智セブンサミット」のひとつに数えられる。

同じくその一座である恵那山から南東方向に延びる稜線の先に位置する山となる。

 

冬の大川入山といえば、笹原の中に点在する木々に霧氷が付いて、それが”羊の群れ”に見えるという風景が有名である。

山全体で雪が積もってしまうと”羊たち”を見ることはできないので、12月がベスト。

寒さはばっちりなので、期待できそうだが…

シーズン初の雪を踏んで稜線へ

登山口は治部坂峠

治部坂高原スキー場の道路を挟んだ反対側に登山者用の駐車場がある。

飯田側から峠まで登って来たが、積雪や凍結はなし。

ただ、駐車場はカチコチに凍っていた。

 

 

7:35 治部坂峠(登山開始)

駐車場には10台以上が停まっており、まずまずの人が登っているようだ。

林道を5分ほど歩くと登山口。

スタートからしっかり雪があった。

 

グリップはある雪質なので、アイゼンなしで行く。

小さな沢に掛かる橋を過ぎると最初の目標となる横岳に向けて急登が始まる。

 

尾根に乗っかって、順調に高度を上げて行く。

このあたりの足元は根っこがすごいようだが、雪が積もっているおかげで歩きやすかった。

 

 

木々の間から目指す山頂を見ることができた。

お目当ての霧氷はしっかり付いているみたいで、ちょっと足早になってしまう。

 

 

冬枯れたカラマツの隙間から覗く青空が気持ちいい。

 

 

8:40 横岳

スタートから1時間で横岳に到着。

小さな広場になっていて休憩にはちょうどいいが、展望はない。

 

 

横岳からはほとんど標高を稼がず、平行移動となる。

視界が開ける場所はわずかにある程度で、ここは黙々と歩く。

 

 

山頂まで2kmの看板を過ぎたあたりで霧氷が現れた。

針葉樹の隙間から覗く青空と白い霧氷のコントラストがいい。

 

笹原の稜線、でも、羊はどこへ?

山頂まで残り1kmを通過。

大川入山のハイライトはここからである。

 

 

登る視線の先に空が広がって…

 

 

視界が大きく開ける。

霧氷の付き具合はまずまずだ。

 

 

きれいな所を切り取るとこんな感じ。

青空に純白の木々が映える。

 

 

さらに高度を上げるとあたりは笹原に変わっていく。

 

 

南西方面に眺望が広がる。

遠くに薄っすらと海が見えているような。

三河湾あたりだろうか?

 

 

そして、大川入山といえばこの景色。

って、あれ? 笹原の斜面を駆け上がる白い羊はどこへ?

周りの木々には霧氷が付いているのに、肝心の部分だけ霧氷がないんだけど…

 

 

右側の斜面には美しいカラマツ霧氷があるのに。

 

 

自然相手なので仕方ないが、霧氷の羊たちを見れず、ちょっとがっかり。

それでも、この開放的な風景で雰囲気は好き。

 

 

羊になるはず木(シロヤシオ)のすぐ隣にあるモミ系の木には霧氷が付いている。

木の種類によって付きやすさが違うのだろうか?

 

 

深い青色の空に伸びる霧氷の木。

 

 

こっちはクリスマスツリーみたい。

 

 

山頂へのラストスパート。

 

美しい霧氷の世界を堪能する

10:30 大川入山・山頂

登山開始から3時間で大川入山に到着。

阿智セブンサミットは恵那山、富士見台高原、南沢山に次いで4番目の登頂である。

 

 

北西方面に見えるピークの霧氷が素晴らしい。

 


中央アルプスは上部が雲で隠れ気味。

南アルプスは山頂からだと木々が邪魔で、看板のようには見えなかった。

 

 

木々の間から飯田の街並みの向こうに仙丈ヶ岳は見えた。

 

 

やや風が強くて、なかなかの寒さだが、しっかりとお昼を作った。

キムチ鍋、体が温まった。

 

 

ランチの後、山頂のちょっと先まで散策。

正面は恵那山だが、山頂部はがっつり雲に飲まれていた。

手前の山々は一面、美しい霧氷で覆われている。

 

思わず息の飲んでしまう輝くような白い世界。

氷の華が咲いているよう。

西側も大きく開けている。

 

 

中央アルプスの雲は最後まで退いてくれなかった。

 

 

こっちは少し羊っぽい?

 

 

山頂に戻って、ピストンで下山開始。

所々で眺望があり、南アルプスがしっかり見える。

左から荒川三山、赤石岳聖岳、上河内岳までかな?

こっちは北岳間ノ岳農鳥岳の白根三山。

笹原の道を戻る。

正面には太平洋が輝いて見えた。

この後は眺望もなくなるので黙々と下山するだけ。

 

 

横岳で休憩がてらにミニ雪だるまを作って遊んでみる。

てるてる坊主たちと記念撮影。

 

 

最後の下りは雪の下に根っこが隠れていて、乗っかってしまうと滑るので、少し神経を使った。

山頂から2時間半で下山完了。

 

 

残念ながら「羊の群れ」には逃げられてしまった今回の山行。

それでも、美しい霧氷は見ることができたし、雪の感触も楽しめたし、なかなか満足の雪山初めとなった。

 

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<参考>

・ ヤマレコ:山行記録(登山地図など)

 

・ 園原ビジターセンター:阿智セブンサミットの情報。登頂認定バッチの案内も。