稜線に吹く風のむこうへ

その場所だけにしかない風景と出会うために山へ。写真で綴る山登りの記録と記憶。

塔ノ岳・鍋割山 - 初冬の丹沢へ、山より鍋焼きうどん

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塔ノ岳・鍋割山:山登りの記録

 日程:2011. 12. 25(日帰り)

 天候:晴れ のち 曇り

 

 コースタイム

 表丹沢県民の森 7:00 → 二俣 7:30 → 鍋割山稜・小丸尾根分岐 9:15 → 金冷シ 9:35

 → 塔ノ岳 9:50-10:25 → 鍋割山 11:35-12:10 → 後沢乗越 13:05 → 二俣 13:55

 → 表丹沢県民の森 14:20 

 登山時間:7時間20分

Introduction:ホームグラウンドの丹沢へ初陣

12月最後の日曜日、丹沢の塔ノ岳、鍋割山へ。

丹沢は自宅からもその山並みを望むことができるホームグラウンド。

といっても、登るのは初めてなわけであるが。

 

ターゲットは、塔ノ岳からの富士山の眺め、というのは建前で、

よく雑誌などにも出ていて気になっていた鍋割山荘の “鍋焼きうどん” が最大の目当てであったりする。

 

塔ノ岳に登るルートは大倉尾根やヤビツ峠からの表尾根がメジャー。

鍋割山を周回するとなると大倉尾根が第一候補となる。

ちなみに、大倉尾根は登り一辺倒で長く階段が続くことから “バカ尾根” なんて呼ばれている。

 

大倉尾根だと秦野ビジターセンターがスタートとなるが、鍋割山から下山する場合には、最後に長い林道歩きが避けられなくなる。

これを避けるため、今回は表丹沢県民の森を起点として、小丸尾根を登ることに。

”バカ尾根” から逃げたわけではなく…、それは次の機会に。

小丸尾根から鍋割山稜を目指す

県民の森へのアクセス路は狭めで、駐車場もそれほど広くないが、無事に駐車。

下山時には駐車場の周辺に路駐も見られた。

 

7:00 表丹沢県民の森(登山開始)

県民の森から15分ぐらい歩いたところで、大倉から来る林道に合流する。

しばらく進むと旧登山訓練所の建物が見えて来る。

天気は予報どおりの晴天で、見上げた空が眩しい。

 

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二俣で勘七ノ沢を渡った少し先、右側に向かって鋭角な分岐があり、これが小丸尾根(訓練所尾根)の入り口。

ここから鍋割山稜まで800mを一気に登り上げる。

小丸尾根の登りはじめは植林の杉林だが、朝の光が差し込んで柔らかな雰囲気。

 

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しばらくは眺望もなく、かなりキツイ急登が続く。

足元も木の根が蔓延っていて、歩きやすいとはいえない。

誰にも会わない、静かな山歩きだった。

 

1時間ちょっと、淡々と登り続けるとやっと展望が開けて富士山が見えた。

少し雲があるけど、いい眺め。

 

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雪の付き方が個人的には一番好きな具合。

振り返ると相模湾が眩しくて直視できないくらいに輝いていた。

ちなみに、この風景の中に、僕の家も映っているはず。

 

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9:15 鍋割山稜・小丸尾根分岐

小丸尾根を1時間45分、登りっぱなしで、鍋割山から続く稜線に出る。

すでに結構ヘトヘト。

はじめての丹沢、思っていた以上に登りごたえがあった。

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小丸尾根(二俣方面)への道標はないので、鍋割山稜から下る場合は注意。

鍋割山稜は冬枯れブナのトレイル

ここからは鍋割山稜を東へ、塔ノ岳に向かう。

このあたりはブナに囲まれた気持ちのいいトレイル。

 

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見上げるとすっかり葉を落とした冬枯れのブナが、空を覆っている。

 

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山の魅力は何も劇的な風景だけじゃないんだよな。

ありのままの “生命” がそこにあるような気がする。

 

だから、例えばこの森なら、新緑や紅葉、雪の季節にはどんな姿を見せてくれるのか、それを思い描いて、また歩いてみたくなるのだ。

 

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塔ノ岳からの空と湘南の海

9:50 塔ノ岳・山頂

金冷シで大倉尾根に合流すると一気に登山者が多くなり、最後は意外と長く続く階段を登って、広い塔ノ岳の山頂に到着。

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頭上を低く流れて行く雲がなんだか心地よい。
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山頂からの眺望を楽しみに西側に駆け寄ると…

うーん、ちょっと雲が増えてしまい、富士山は少し残念な結果に。

それでも遮るもののない視界の先に大きく広がる裾野を眺めることができ、やっぱり富士山はいいな、なんて思った。

 

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相模湾は冬の低い陽射しが逆光となって眩しいが、視界はクリアで、横浜や東京方面を遠くまで見渡すことができた。

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住人としての贔屓もあるけど、やっぱり湘南の海はいい。

こちらは、いつか歩いてみたい蛭ヶ岳方面。

檜洞丸まで続く稜線は、見るからに歩きごたえがありそう。

 

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蛭ヶ岳の写真を撮りに尊仏山荘の方へ行くと、普通に鹿が草を食べていてビックリ。

 

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さすがに12月終わりの風は冷たく、ちょっと座って休憩していたら体がどんどん冷えていくので、早々に鍋割山を目指すことに。

 

来た道を戻り、左手に輝く相模湾を見下ろしながら、再び静かな鍋割山稜を行く。

海を見ながらの山歩きもいい。

 

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途中、木々の間から蛭ヶ岳が良く見えた。

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望遠で覗くと山頂の蛭ヶ岳山荘もくっきり。

緩やかにアップダウンを繰り返して、鍋割山の山頂(=鍋焼きうどん)へ最後の登り。

気分はすでにワクワクし始める。

 

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メインイベント、鍋割山の鍋焼きうどん

11:35 鍋割山

山頂標識を写真に撮ることも忘れて、山荘を目指して一直線だった(苦笑)。

入り口にはお目当ての「鍋焼きうどん」の幟が揺れている。

 

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事前に12月初旬の様子をネットで調べると “1時間待ち” なんて時もあったようだが、(下界の某有名ラーメン店よりも待つのでは…?) この日は注文から5分ちょっとで出来上がった。

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これが ”鍋割山” の ”鍋焼うどん” 

うまい! 以上!! (料理の味を伝えるのは苦手なので、余計な説明はなし…)

山で食べるものは何でも、というのもあるだろうが、かなり美味しかった。

カボチャの天ぷら、キノコ、油揚げなど具だくさんで、お腹は大満足。

体も芯から温まった。

 

うどんを食べ終わる頃、空はいつしか黒い雲に覆われ、気温もぐんと下がり、折角温かくなった体が冷えてしまう前に下山を始めた。

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富士山もこのとおり。ちらちらと小雪まで舞ってきた…。

さらば、鍋割山荘。
また、鍋焼うどんを食べに来よう。

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下りは眺望もなく淡々と降りて、鍋割山から2時間で下山完了。

 

富士山は少し残念だったが、美味しい鍋焼きうどんに大満足の山行となった。

今度は鍋割山荘のボランティア歩荷にも挑戦してみよう。